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文化審議会

2001/08/08 議事録

文化審議会著作権分科会情報小委員会(第5回)議事要旨

文化審議会著作権分科会情報小委員会(第5回)議事要旨

平成13年8月8日(水)
14:00〜16:00
三田共用会議所大会議室

出席者

(委員)

紋谷主査、北川会長、金子委員、金原委員、久保田委員、児玉委員、後藤委員、齊藤委員、里中委員、杉野委員、筒井委員、中山委員、名和委員、松田委員、松村委員、水島委員、山地委員

(事務局)

佐々木文化庁長官、天野長官官房審議官、岡本著作権課長、尾崎マルチメディア著作権室長、その他の担当官

1.開会

2.事務局の異動について

  事務局の異動について、報告があった。

3.議事

(1)  事務局より、本日の議事及び配付資料の説明があった。

(2)  事務局より、各WGの検討状況について報告が行われた。

(3)  事務局より、「文化審議会著作権分科会情報小委員会の審議経過の概要」のイメージについての説明があり、その後、以下の通り質疑応答、意見交換が行われた。

【委員】

  権利制限の見直しの検討に当たっては、権利の及ぶ範囲の変更との整合性の確保に留意するということだが、権利の及ぶ範囲自体、特に「同一構内における公衆送信」についての見直しを是非検討していただきたい。

【事務局】

  その点に関しては、今年の小委員会で検討する事項ではないが、今後小委員会で検討する事項として、盛り込むことはあり得ると考える。

【委員】

  「補償金制度を構築することが可能かどうか検討する必要がある」という書きぶりについてだが、今年更に検討するということか、それともこのレベルで報告するということか。

【事務局】

  今年の本小委員会は個別の検討課題を議論する視点・観点若しくはポイントを整理することである。

【委員】

  許諾なしの利用を例外的に認める必要性として「著作物を自由に創作するために必要不可欠である場合」とあるが、これでは解釈によっては広がりやすいので、著作物の理解を深めるために必要不可欠であるという表現が適当ではないかと考える。

【委員】

  「利用行為の変化」ないしは「関連するビジネスとの関係の変化」のところにデジタル化によって技術的制限を付けられるようになったことを付け加えていただきたい。

【委員】

  デジタル技術の変化については各視点に共通したものであり、技術的制限についても既に書かれているようなものではないか。

【委員】

  技術的制限については、技術と契約の組み合わせでバランスをとることができないか検討するということである。何らかの形で技術的制限について報告に入れていただきたい。

【委員】

  「許諾を得ることの容易さの変化」の視点に、技術的保護手段や権利管理情報について入っていると考えてもよいのではないか。

【委員】

本小委員会へ各WGから報告があるということだが、これに関し改めて検討するということにはならないということなのか。

【事務局】

  法改正を前提とした報告になれば当然本小委員会で検討することになるが、今回の報告は論点整理的な報告になると思われる。

【委員】

  公衆送信権に関する権利制限については十分慎重に検討しなければならない。

【委員】

  公衆送信による利用と言う場合、具体的には言いにくいが、様々な利用形態があり得るので、その点に留意すべきである。

【委員】

  例えば電子図書館構想においても理想は高いが、そのビジョンの実現には至っていないのが現実である。現在の法律の枠組みで考えるのであれば、現在起きている問題点、あるいは予見し得る目前の将来に関して表現を集約する必要があるのではないのか。

【委員】

  「同一構内における送信」という場合においても、法制定時想定していた内容と比較すると、現在の実態はかなり幅広くなっており、同じ用語であっても技術の進歩等によって内容はかなり変化し得るので注意を要する。

【委員】

  私的領域等で行われるため権利者による介入が不適当である場合の事例で、「無料の市民音楽祭で合唱サークルが合唱曲を演奏すること」とあるが、この事例は果たして私的領域と言えるのかどうか。

【事務局】

  私的領域等の「等」に含まれると考えるが。

【委員】

  規定例としては外した方がよいのではないか。

【委員】

  図書館等におけるファクシミリ送信の事例を一般化して公衆送信権の権利制限の拡大について検討するのはどうかと思う。

【事務局】

  著作権は、技術ではなく行為に着目すべきではあるが、行為の態様や技術によって、どの程度権利者に影響を及ぼすかということはある。WGでも細かいところまで議論が行われている。

【事務局】

  本小委員会においては、既にある権利につき、ある利用形態に対して権利制限をどう考えるかという方向性で議論している。ただ今後、例えば「同一構内の公衆送信」のように権利の及び方を含めてトータルに検討する余地はあると思われる。

【委員】

  補償金について言及している部分で「著作権者の正当な利益が不当に侵害されるおそれのある場合については、補償金の支払いを義務付けることが考えられる」とあるが、反対に、コピープロテクションが係っていて私的複製ができない技術的な措置が施されているにも関わらず、私的録音録画補償金によって、補償金を払っているということも考慮していただきたい。

【委員】

  結論まではわからないが、技術的保護手段と補償金が理論的に併存し得ることはある。

【委員】

  エンドユーザーからして見れば、補償金制度はとても便利な制度である。補償金に関しては広く薄く適用することとし、それに満足できない権利者は技術的保護手段などの方策をとればよいと考える。また補償金制度に関して著作権等管理事業法による管理事業者による運用もあり得るのでそれほど問題にすべきではないと考える。

【事務局】

  著作権等管理事業法にいう管理事業者は許諾権をあずかっており、補償金とは性質が異なる。補償金を権利者に分配することは管理事業者の業務に当たらない。但し管理事業者の附帯業務として補償金を受け取る業務をすることは差し支えないが。

【委員】

  基本的には大枠として補償金制度に落ち着くと思うが、強制的にお金をとるということは、憲法上の問題も出てくるのでしっかりと詰めた議論をすべきでだろう。

【委員】

  録音図書の作成等障害者関係の権利制限の拡大については著作者人格権を考慮して、原則どおり許諾でやっていただきたい。

【委員】

  人格権があるから絶対に出来ないということはない。身体障害者に対する支援は、建物の整備等にしても公だけではなく、ある程度私人も我慢してやらなければならないことが明らかであり、効用を考えた上でじっくりとと検討すべきである。

【委員】

  パロディについて何らかの形で入れた方がいいのではないか。

【事務局】

  そういった議論があることは入れている。全体的な検討視点は拡大・縮小をあり得る前提なので、その部分にパロディを入れることは馴染まない。

【委員】

  「パロディによる創作のための利用」と明示しているということは、将来的な検討課題という位置付けと理解していいか。

【事務局】

  この明示はあくまでも要望があったという事実であり、具体に何を議論するかについては今後の小委員会が決定することである。

【委員】

  パロディはアナログ・デジタルに限らず以前からの固有の問題である。パロディに市民権を与えるかどうかは大きな問題であろう。

【事務局】

  パロディは現に許諾を得てやっている人も多く、権利制限によって無許諾ですることがいいのかどうかという問題とは少し違うと思う。ただ絶対にパロディによる利用をしてほしくないといった場合に、パロディ文化が死んでしまうことになると言うのであれば、その必要性があるかもしれない。今後の大きな検討課題になる可能性はある。

【事務局】

  補償金もMDを買ったときにのっているようなものから、個々に支払うものまで様々である。補償金に関しては、当面は著作権者の正当な利益との関係で何らかの補償金システムを構築すべきかのポイントがあるというまとめとなり、今後個別の課題に基づいて補償金制度が必要か、構築するとしたらどういうタイプの補償金制度になるかという話になると思われる。

3.閉会

  事務局から今後の日程について説明があった後、閉会になった。

(文化庁著作権課)

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