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文化審議会

2002/07/16議事録
文化審議会第25回総会議事要旨


文化審議会第25回総会議事要旨

  
1.日  時:   平成14年7月16日(火)10時〜13時

2.場  所:   霞が関東京會舘  ゴールドスタールーム

3.出席者:  
(委員) 高階会長,北原副会長,内館,岡田,川村,齊藤,関口,津田,富沢,藤原,渡邊の各委員
(文部科学省・文化庁)   池坊大臣政務官,河合文化庁長官,銭谷次長,丸山文化庁審議官,遠藤文化部長,木谷文化財部長,鈴木文化財鑑査官,高塩政策課長ほか関係官

4.概要

(1) 配付資料についての確認があり,前回議事要旨については,意見がある場合は1週間以内に事務局に連絡することとされた。

(2) (社)日本オーケストラ連盟,(社)日本劇団協議会,(社)現代舞踊協会,(社)日本俳優協会から意見聴取の後,以下の質疑応答があった。(以下,○:委員,○:団体,△:文化庁 )

  子供たちは,土曜日を落語,歌舞伎,舞踊などの鑑賞にあてることにより生きる力になるのではないか。
  意見聴取の際にも触れられていたプロとアマへの支援の在り方は整理するべきである。日本人は裾野を広げて楽しむことと突出したプロを育てることを一緒にしている。
  若い人達が相撲や歌舞伎の美意識に関心が向かない傾向は,抑制の美意識やもののあわれの美意識からかけ離れることとなり,残念である。

  オーケストラは非常に裾野が広く,国際的に最も普遍的な言語として,文化大国を目指すために力を入れるべき分野の一つである。外国のオーケストラが商業的に成り立っているのに対し,我が国のオーケストラは採算的に苦労しているが,国際的に通用するオーケストラを育成するのであれば,評価を適切に行い,重点的に予算を配分するべきである。芸術文化の国際社会での活躍を考えると,総合的な戦略の中で重点的な支援を行うことを国の責任としてやるべきではないか。また,歌舞伎の振興に対してどのような総合的な戦略を立てるのかが問われている。基本的に歌舞伎は特定の民間会社が経営権をもち,商業演劇として成り立たせるようにしているが,国との関係をどうするのか。文楽のように,国が全部対応することになるのか。
また,芸術拠点形成事業で,ホールに対して重点的に助成するのは非常によいが,対象になるかどうかでホールの命運が左右される。各ホールで専門のスタッフを育て,自主的に企画をするのもよいが,経営体との関係をどう考えたらよいのか。

  現在歌舞伎の興行は,俳優と特定の民間会社との間に契約関係はないが,実質的には当会社が全体を統括している。

  芸術拠点形成事業では,自ら制作していこうとするホール・劇場を支援したい。どの程度のホール・劇場が要件に該当してくるか不明確なところもあり,今年度は試行的にならざるを得ない。

  オーケストラの評価方法は,第三者評価とすることもできるのではないか。また,現代舞踊関係では,創作ものについて,他人の振り付けが無断で借用されるという場合もあるのか。
  評価は文化庁の組織の一部等に,実務を修めた専門家が入って行うべきである。その際,期限や事前事後にどのような点で評価するかを明確かつ公開にすることが重要である。

  創作舞踊家は自分の創意性を出すように心がけて作品を作っており,他人のものを無断で使うことはありえない。

  評価とは選別することなので,十分納得できる形でやらなければならない。現場の者,観客代表,国も含めた意見交換の場が必要ではないか。文化支援はあまり国が干渉しすぎてもいけないが,支援自体は必要である。


(3)(社)日本美術家連盟,(社)日本文芸家協会,(社)日本漫画家協会から意見聴取の後,以下の質疑応答があった。

  税のあり方からみて,消費税の免除はいかがなものか。ナショナル・ギャラリーの使用料については,低料金にするとの意見を反映していくことも大事である。美術館,公共施設に入らない美術作品を病院,幼稚園,老人ホーム等に貸し出して楽しんでもらうというのはよいが,国が保管するのはいかがなものか。メディア芸術祭については,作品を表彰するだけでよいのか。

  美術家が残した作品の保管については,本来であれば全国の美術館が地域毎に作家の作品を保管できればよいのだが,全国の美術館の保管庫が非常に貧弱なのでできない。作品は,ある時に急に価値が認められることがあり,一定期間保管しなくてはならない。

  メディア芸術祭では規制をゆるやかにし,受賞作だけでも特別に販売することができないか。日本は自国で発表された作品は誇りをもって守るべきである。受賞しながら日本で配給されず,上映のあてがない作品があるのは残念である。大々的に宣伝する等の思い切った方策をとるべきである。

  個人に対する援助でも,団体に対する援助でも,商業主義とのバランスが重要である。個人への助成の場合,芸術家をどのように定義するか。団体に対する援助も,予算の取り合いのようなニュアンスもあるので,十分考えて予算を分配しなければならない。文化芸術振興基本法が実効性のあるものになるためには,今から育ってくる子供達の魂が磨かれるかどうかということにかかってくる。教育を柱にして,精神を磨き,わび,さび,日本人的なもの,ジャポニズムをきっちり理解でき,人との輪の中で発揮できる人間の育成を図ってほしい。

  漫画の図書館での貸し出しについては,貸し出しの度数に応じて支払いを受けるという方法もあり得るのではないか。国(例えばドイツ)では,権利者が目配りして,医者の待合室に何冊の漫画がおいてあるかまで関心をもっているところもある。
  また,相続税の問題であるが,著作物の資産評価を自ら把握しておく必要がある。税務署に対して早く評価してもらうよう主張する方法もあるだろう。

  全体的な文化戦略が必要だろう。各分野の方が集まって相談するべきである。著作権の問題も考えていかなくてはならない。

(4)事務局より次回総会の日程についての説明があり,閉会した。

(文化庁政策課)

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