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文化審議会

2002/04/24議事録
文化審議会第22回総会議事要旨


文化審議会第22回総会議事要旨

 
1.日 時 平成14年4月24日(水)11時〜13時

2.場 所 霞が関東京會舘 シルバースタールーム

3.出席者:    
 
(委員) 高階会長,北原副会長,市川,岡田,川村,齊藤,関口,津田,富沢,乳井,野村,渡邊の各委員
(文部科学省・文化庁)   池坊大臣政務官,河合文化庁長官,銭谷文化庁次長,丸山文化庁審議官,遠藤文化部長,木谷文化財部長,鈴木文化財鑑査官,高塩政策課長ほか関係者


4.概要

(1)配付資料についての確認が行われた。

(2)高階会長より,池坊大臣政務官に対し,文化審議会答申が提出された。

(3)その後,次のような懇談が行われた。(○は委員,△は事務局側の発言)

本答申を受け,税制改正や予算増額などの施策の実現に取り組んでもらいたい。
 
本答申に当たり,総花的であること,文章が固くならざる得ないこと,文化と遊ぶという方法が表現しきれていないことが反省点か。
 
本答申には「経済を大切にする社会」から「文化を大切にする社会」へと社会の価値観を変えるとの大きな柱が立っている。文化予算が非常に大切であり,芸術文化の振興のためにはできる限りの公費を投入すべきである。その際,文化活動を行う者の自主性を尊重しなくてはならないが,納税者により賄われていることとの調和が非常に難しい。
 
ものの豊かさを心の豊かさに切り替えていくことが根本である。そのために省庁間の壁にとらわれず,具体的な取組をして欲しい。
 
本答申には東洋的視野が盛られ,非常に画期的である。「循環」という思想が出てくるのも非常に良かった。
 
アメリカで感じたことは,オペラ公演つまり文化が国民を本当に楽しくしていることである。国を挙げて文化振興を図るならば,特定の部分に視点を当て,芸術へお金が流れるようにすることが大切だろう。また,文化は国ごとにあるのだから,文化を愛することで本当の愛国心を養えないものか。
 
新世紀の初めに,文化を大切にする社会を作ろうとする方針が出たことに歴史的意味を感じる。日本全国へその意識を広め,世界からもそのように見られるようになりたい。
 
本答申の内容が実現できれば,心が豊かで品位ある社会ができるのではないか。しかし補助金を欲しい,具体的なモデルを示して欲しいなど陳情的な意見が中間まとめに多く寄せられたのには心もとなさを感じた。
 
日本文化を世界に発信するという項目は重要で意義深い。世界に発信しようとすれば日本人自身が日本文化を見直すことになり,その結果,もう少し相対的に日本文化を見ることができるだろう。
 
文化財保存が重要で基礎的な一角を担うものと認知され,非常に嬉しい。文化財の保存・修復に関しては教育システムや資格制度のために課題があり,社会構造全体の改革が大切だ。新しいシステムや人を創出し,それを受け取る職業団体の内容改善に尽力したい。
 
社会全体で文化振興に取り組むためには,文化を大切にする心を子供にだけ育てるのではなく,子供を教育する大人の意識改革も行わなくてはならない。また,文化的な環境を作りさえすればよいのではなく,やはり心が問題だろう。
 
答申には我が国の顔となる芸術文化を創造すると提言されているが,普遍性ある芸術の分野で日本の顔をつくるべきである。新国立劇場は一流の舞台になりかけているものの,外国人がわざわざ足を運ぶまでには至っておらず,インターネットでの発信の度合いもまだ非常に少ない。日本が経済大国でなく心を大切にする大国を目指すのならば,関係分野できちんとした発信ができるよう,国として重点的に支援すべきである。関係者の自主性や公平性への配慮も大切だが,国民の理解を考えれば,アーツプラン等の予算も重点的に使う方がよいのではないか。
 
日本の美術館・博物館では写真撮影や作品に触れることを禁止する場合が多いが,海外では展示に触れられるなど親しみやすい形式をとっている。文化芸術に子供の時から親しませるのは,心を豊かにするのに非常に良いことであり,親しまさせるスタンスに変えて欲しい。
 
写真撮影は絶対禁止でなくなってきているが,まだ日本は文化に何か近寄りがたいイメージがあるので,変えていかなくてはならない。
 
美術館等の周辺も一つの美術なので,周辺環境の良好な維持も必要ではないか。
 
美術館へ行って周辺を歩いたり,良いレストランに行けるようになればよい。
 
日本の歌舞伎(き)などは素晴らしく,外国から日本の文化に触れるツアーを旅行会社などで考えたらよい。その際,単に観るだけでなくきちんとした解説者がつき,俳優と話をすることができるツアーも望まれる。
 
ものづくりで急成長してきた日本が教育に対して学歴だけを求め,人の心を育てたり,自ら育てる気運を無くしてしまった。現在の子供たちに新しく,真の心の教育を施していけば,心の在り様が随分変わってくるはずであり,教員養成に尽力して欲しい。
 
歌舞伎(き)やミュージカルで成功するには多くの失敗を乗り超える必要があるのに,日本の現状では乗り超える人数がいない。
 
やはり子供の教育から文化は始まる。教育の中で本物の文化に触れる多様な機会を提供していきたい。また,新国立劇場などに諸外国の人が訪れたり,日本の子供の修学旅行先となるよう,主催者と国民の意識の喚起が大切である。

 
(4)事務局より,次回総会は,事務局において調整の上連絡する旨の説明があり,閉会した。

(文化庁政策課)

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