(参考)今後の審議において計画に盛り込むことが考えられる具体的な政策目標等の例

(1)信頼される学校教育の確立

1一人一人の個性・能力を涵養する教育の推進

  児童・生徒の学習到達度を調査するための全国的な学力テストを実施し,その評価に基づいて学習指導要領の改善を図る。「確かな学力」を育成し,国際的な学力調査(PISA/IEAなど)での上位成績を維持する。

  少人数指導や習熟度別指導など個に応じたきめ細かな指導を推進して,分かる授業を行い,学ぶ意欲を高めるとともに,楽しい学校生活を実現する。

  学習障害(LD),注意欠陥/多動性障害(ADHD)等への教育的対応を含めた特別支援教育体制の構築を図る。

  当面,高等学校の通学範囲に少なくとも1校を目標に中高一貫教育校の設置を推進するとともに,小中一貫,幼小一貫など弾力的な学校種間連携等を積極的に推進する。

  教育委員会と大学の教員養成系学部との連携による教員養成や研修の効果的実施,教員の能力,実績を適切に評価するシステムの導入等を通じて,教員間の切たく磨を促し,教えるプロとしての使命感と能力を備えた優れた教員を育成・確保する。あわせて,学校職員の資質の向上を図る。

  学校施設の耐震化の推進など良好な教育環境の確保を進めるとともに,学校の安全管理の徹底を図る。

  私立学校における独自の建学の精神に基づく特色ある教育と多様な教育研究の振興を図る。

2豊かな心をはぐくむ教育の推進

  地域の人材の活用や体験活動等を通じて,道徳教育の充実を図る。

  いじめ,校内暴力の「5年間で半減」を目指し,安心して勉強できる学習環境づくりを推進する。また,不登校等の大幅な減少を目指し,受入れのための体制づくりを推進する。

  学校,市町村,都道府県等の各段階における教育相談体制の整備を図り,子どもの心のケアを充実する。

  学校における司法教育の充実を図り,すべての子どもに,自由で公正な社会の責任ある形成者としての資質を育てる。

  宗教に関する教育について専門的な検討を行い,教育内容の改善,指導方法や教材の研究・開発の充実を図る。

  伝統文化や現代文化を鑑賞し,体験する機会の充実を図るなど文化芸術に関する教 育の充実を図る。

  小学校就学前のすべての子どもが適切な幼児教育を受けることができるよう幼児教育体制の充実を図る。また,幼稚園・保育所と小学校以降の教育との連携の強化を図る。

  「職場体験学習」など,学校と職業生活との接続を改善し,将来の職業や働き方,生き方を考えさせる教育を,初等中等教育の各段階を通じて実施する。

3健やかな体をはぐくむ教育の推進

  生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣や意欲、能力を育成するため,教員の指導力の向上,優れた指導者の確保,運動部活動の改善・充実を図る。

  子どもの体力や運動能力の低下に歯止めをかけ,上昇傾向に転じさせることを目標として,子どもの体力向上を推進する。

  子どもたちに生涯にわたる心身の健康の保持に必要な知識や適切な生活習慣等を身に付けさせるための健康教育を推進する。

4グローバル化,情報化等社会の変化に的確に対応する教育の推進

  高校卒業段階で英語で日常会話ができ,大学卒業段階では英語で仕事ができることを目標とした英語教育など,外国語教育の充実を図る。TOEFL等の客観的な指標に基づく世界平均水準の英語力を目指す。大学入試センター試験に平成18年度入試から外国語リスニングテストを導入する。

  教員の国際性をかん養するとともに,教員の国際教育協力の経験や異文化体験等を生かした教育を実践することにより,児童生徒の国際理解を促進する。

  知識社会・高度情報化社会を生きる子どもの情報活用能力の向上を目標とし,新しい教材・教育用コンテンツ(インターネットや電子媒体等における情報の内容)の充実を図るとともに,すべての学校の教室への校内LANの設置等による校内ネットワーク化,光ファイバー,ADSL等によるインターネットの高速化を行うなどにより,学校の情報通信環境の整備を推進する。

  生涯にわたり自立的な生活を全うすることができるよう,経済をはじめ広く社会の仕組みに関する学習の機会を充実する。

(2)「知」の世紀をリードする大学改革の推進

  大学改革の流れを加速し,活力に富み国際競争力のある大学づくりを目指すため,国立大学の法人化など大学の構造改革を推進する。

  世界水準の教育研究成果の創出及び確保を目標として,大学等の施設整備を推進する。

  高等教育機関の活性化を図るため,各大学において具体的目標を定め,教員の公募 制・任期制の導入の推進を図るほか,教員の自校出身者比率の低下や大学院入学者 中の他大学出身者の割合の増加についての数値目標の設定など,各大学において具体的な目標を定め,教員・学生の多様性を高める。

  学校管理職への女性の登用や大学・大学院における女性教員比率等の飛躍的な向上を促進する。

  「留学生受入れ10万人計画」に続く新たな留学生政策を早期に策定し,高等教育の国際化及び国際競争力の強化等に資する留学生施策を推進する。

  奨学金の充実など学生支援の推進を図る。

  安易な卒業をさせないよう学生の成績評価を厳格化し,高等教育修了者にふさわしい学生の質(基礎的な教養,専門的な学力,人生観と世界観など)を保証する大学教育の実現を図る。

  優れた研究教育拠点形成等の重点的な支援とともに,博士課程学生,ポストドクター(博士課程修了者)支援の充実など優れた若手研究者の育成を推進する。

  国際的な通用性等を踏まえた高等教育機関の質を確保するための第三者評価システムの構築を推進する。

  産学官連携を推進する。

  研究開発成果等の知的財産の創出,保護,活用等を推進する。

  大学・大学院等への社会人の受入れを拡大するため,社会人特別選抜制度や夜間大学院,昼夜開講制,長期履修学生制度の充実,サテライト教室の設置など,社会人の再教育を推進する。

(3)家庭の教育力の回復,学校・家庭・地域社会の連携・協力の促進

  希望する保護者が全員参加できることを目指し,家庭教育に関する学習機会の提供や子育て支援ネットワークの形成等,家庭教育の充実のための環境を整備する。企業等に対して,雇用環境の整備など家庭教育の充実に向けた取組を要請する。

  学校の教育活動等に対する保護者や地域住民の参加・協力を促進する。

  小・中学校で全員が体験することを目指し,地域におけるボランティア活動や自然体験活動などの奉仕活動・体験活動の機会を充実する。

  すべての子どもが自主的に読書活動を行うことができるよう,家庭,地域,学校を通じた,子どもが読書に親しむ機会の提供,図書やその他の情報資料の整備などの諸条件の充実等,環境の整備を推進する。

  青少年を取り巻く有害環境の問題について,関係業界に対する一層の自主規制の要請や経済団体に対する協力要請とともに,有害情報や情報活用能力の問題への取組を推進する。

(4)生涯学習社会の実現

  地域の教育施設を活用した学習機会の提供等,社会・経済の変化や個人の学習ニーズに柔軟に対応し,生涯を通じ必要な時に必要な学習ができる環境づくりを推進する。

  学校,地域等あらゆる場面を通じて,男女共同参画社会の理念の理解とその実現に向けた学習機会の充実を図る。

  生涯にわたる学習活動の成果の評価・認証体制を整備する。

  生涯スポーツ社会の実現のために,住民が主体的に参画する地域のスポーツクラブの育成を促進し,それぞれの技術や体力に応じてスポーツに親しむことのできる環境を整える。