教育基本法案趣旨説明

文部科学大臣

 教育基本法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 現行の教育基本法については、昭和二十二年の制定以来、半世紀以上が経過しております。この間、科学技術の進歩、情報化、国際化、少子高齢化など、我が国の教育をめぐる状況は大きく変化するとともに、様々な課題が生じており、教育の根本にさかのぼった改革が求められております。
 この法律案は、このような状況にかんがみ、国民一人一人が豊かな人生を実現し、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の平和と発展に貢献できるよう、教育基本法の全部を改正し、教育の目的及び理念並びに教育の実施に関する基本を定めるとともに、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、教育振興基本計画について定める等、時代の要請にこたえ、我が国の未来を切り拓く教育の基本の確立を図るものであります。
 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一に、この法律においては、特に前文を設け、法制定の趣旨を明らかにしております。
 第二に、教育の目的及び目標について、現行法にも規定されている「人格の完成」等に加え、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い」、「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」こと、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」ことなど、現在及び将来を展望して重要と考えられるものを新たに規定しております。また、教育に関する基本的な理念として、生涯学習社会の実現と教育の機会均等を規定しております。
 第三に、教育の実施に関する基本について定めることとし、現行法にも規定されている義務教育、学校教育及び社会教育等に加え、大学、私立学校、家庭教育、幼児期の教育並びに学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力について新たに規定しております。
 第四に、教育行政における国と地方公共団体の役割分担、教育振興基本計画の策定等について規定しております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。