「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の一部改正について

令和8年8月28日

 文部科学省、厚生労働省及び経済産業省は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を一部改正し、令和8年8月27日付の官報にて告示しましたので、お知らせします。
 

1.趣旨

 人を対象とする生命科学・医学系研究については、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「指針」という。)は、人間の尊厳及び人権が守られ、研究の適正な推進が図られるようにすることを目的として、人を対象とする生命科学・医学系研究に携わる全ての関係者が遵守すべき事項を定めています。
 現行指針において、個人情報の取扱いについて所要の規定を設けていることから、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)の改正の度に指針の部分的改正を重ねた結果、指針の内容が複雑かつ難解となり、研究を停滞させる一因になっている可能性について指摘がありました。また、規制改革実施計画(令和6年6月21日閣議決定)における、多機関共同研究の実施の適否等に対する一括した倫理審査が十分に普及していないことや倫理審査委員会の審査の質のばらつき等に関する指摘を踏まえ、審査の適正化実現のため、所要の措置を講じることとされました。これらを踏まえ、「生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」(以下「合同会議」という。)において、見直しの方向性について検討しました。
 今般、令和7年12月24日に公表された合同会議の取りまとめ等を踏まえ、本日(令和8年8月27日)、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の一部を改正する件」(令和8年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「改正指針」という。)を告示するとともに、同年12月1日から施行することとしました。

2.主な改正点

(1)患者・市民参画について【指針第1関係】

  1) 指針第1章 総則 に規定する基本方針において患者・市民の視点を尊重することを規定しました。

(2)用語の定義について【指針第2関係】

  1) 「既存試料・情報等の提供のみを行う者」の定義を明確化しました。
  2) 同意手続の在り方の見直し(後述の(3)2))を受け、「適切な同意」に係る規定を削除しました。

(3)インフォームド・コンセント(以下、「IC」という)等を受ける手続について【指針第8関係】 

  1) 研究を「侵襲を伴う研究又は介入を行う研究」、「試料を用いる研究」及び「試料を用いない研究」の3つに分類し、それぞれの研究がもたらし得る研究対象者等へのリスクに応じた本人同意手続を規定しました。
  2) 同意手続については、「文書IC」、「口頭IC」及び「適切な同意」の用語を「IC」に統一した。また、研究に際しては、それぞれのリスクに応じてIC又はオプトアウト(研究対象者等に一定の事項を通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置き、
   かつ、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障する方法。以下同じ。)のいずれかを行うものとしました。
  3) 仮名加工情報、匿名加工情報及び個人関連情報の取扱いについては、個人情報保護法の規定に則って行うものとしました。
  4) 既存試料、研究に用いられる情報のうち既存のもの又は既存試料・情報の利用や提供を行う研究における同意手続について、既存情報を用いる研究にも既存試料と同様の要件を適用するため、現行指針第8の1(2)ア(エ)1)及び(3)(ウ)1)の要件を「適切な手続を経て取得された」に変更し、原則としてオプトアウトを行うこととしました。
  5) 既存試料・情報等の提供のみを行う者等が行う手続のうち、個人関連情報を提供する際の倫理審査について、提供先となる研究機関において研究計画書等の倫理審査がされていることを踏まえ、必要としないものとしました。
  6) 研究目的による既存試料、研究に用いられる情報のうち既存のもの又は既存試料・情報の外国提供について、事前に外国提供に関する包括的な同意を取得している場合、オプトアウトを行うことで提供を可能としました。

(4)倫理審査委員会について【指針第6及び第17関係】 

 倫理審査委員会の実施形態について、それぞれの研究がもたらし得るリスクに応じたものとするため、以下のとおり整理した。ただし、倫理審査委員会の判断で実施形態を迅速審査から通常審査とすることは妨げないこととしました。
  1) 新規申請の審査
   ア 侵襲・介入研究(侵襲(軽微な侵襲を除く。)のみを伴う研究又は介入のみを行う研究を含む。)について、引き続き、通常審査を実施することとしました。
    また、多機関共同研究に係る研究計画書について、一の倫理審査委員会による一括した審査を必須としました。
   イ その他の研究について、引き続き、迅速審査を可能とし、多機関共同研究に係る研究計画書について、一の倫理審査委員会による一括した審査を原則とすることとしました。
  2) 変更申請の審査
   ア 新規申請時に通常審査を実施した研究のうち、研究対象者等への影響が見込まれる変更内容については、引き続き、通常審査を実施することとしました。

3.経過措置

 現行指針及びそれ以前の指針(廃止前の「疫学研究に関する倫理指針」、「臨床研究に関する倫理指針」、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」又は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」)の規定により実施中の研究については、個人情報保護関連法令及びガイドラインの規定が遵守される場合に限り、なお従前の例によることができます。

4.パブリック・コメント(意見公募手続)の結果

 改正指針の案の概要に関して実施したパブリック・コメント(令和7年12月26日~令和8年1月25日)の結果は、e-Govの「パブリック・コメント(結果公示案件)」に掲載しています。 

5.資料

 指針の本文など、本件に関する一連の資料を以下のホームページに掲載しておりますので、御参照ください。
  
  ホームページ:人を対象とする生命科学・医学系研究:文部科学省


 

お問合せ先

研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室
電話:03-5253-4111(内線4108)
 

(研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室)