ヒトの受精胚に関する研究倫理指針の改正について

令和6年2月9日

 文部科学省は、総合科学技術・イノベーション会議の示した方針に基づき、ヒトの受精胚に関する研究倫理指針を定めているところ、今般、1 ゲノム編集技術等を用いた遺伝性・先天性疾患の研究及び2 核置換技術を用いたミトコンドリア病の研究を行う場合において、研究用に受精させることが可能となるように、関連する研究倫理指針の改正を行い、本日(2月9日)付けで告示しましたので、お知らせします。
(同時発表:こども家庭庁、厚生労働省)

1.趣旨

 「「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第三次)~研究用新規胚の作成を伴うゲノム編集技術等の利用等について~」(令和4年2月1日 総合科学技術・イノベーション会議)において、ヒトの受精胚を使用して行う研究に関して、
 1 ゲノム編集技術等を用いた遺伝性・先天性疾患の研究
 2 核置換技術を用いたミトコンドリア病の研究
を行う場合に、受精胚の提供を受けて行う研究に加え、精子、卵子を入手して研究用に受精させることが可能とされました。
 これを踏まえ、文部科学省科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会及びその下部委員会において、関係する研究倫理指針の見直しに関する検討を行うとともに、パブリック・コメントにおける意見も踏まえ、下記の関係する研究倫理指針の改正を行い、これを令和6年2月9日に告示するとともに、同日施行することとしました。

・特定胚の取扱いに関する指針(特定胚指針)
 (平成31年文部科学省告示第31号)
・ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律施行規則(施行規則)
 (平成31年文部科学省令第4号)
・ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針(ART指針)
 (平成22年文部科学省・厚生労働省告示第2号)
・ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針(ゲノム編集指針)
 (平成31年文部科学省・厚生労働省告示第3号)

2.関係する研究倫理指針の改正について

(1)特定胚指針及び施行規則

 特定胚指針及び施行規則においては、受精胚の核を入れ替える受精胚核置換技術を用いたミトコンドリア病の研究に係る取扱いを規定しているところ、これまでは受精胚の提供を受けて行う研究に限定していたものを、精子、卵子を入手して研究用に受精させることを可能としました。

(2)ART指針及びゲノム編集指針

 ART指針においては、精子、卵子を入手して研究用に受精させる際の取扱いを規定しているところ、これまでは実施可能な研究を生殖補助医療研究に限定していたものを、以下の研究を可能としました。
 ・ゲノム編集技術等を用いた遺伝性・先天性疾患研究
 ・卵子の核を入れ替える卵子間核置換技術を用いたミトコンドリア病の研究
 また、これに伴い、ART指針とゲノム編集指針の適用範囲を明確化するため、ART指針の名称を「ヒト受精胚を作成して行う研究に関する倫理指針(新規胚研究指針)」とし、ゲノム編集指針の名称を「ヒト受精胚の提供を受けて行う遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針(提供胚研究指針)」としました。

3.資料

特定胚指針の改正について(PDF:425KB)
ART指針及びゲノム編集指針の改正について(PDF:522KB)

お問合せ先

研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室
電話:03-5253-4111(内線4108)

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(研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室)