「ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針」及び「ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針」の一部改正について

令和4年3月31日

 文部科学省及び厚生労働省は、「ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針」(以下「ゲノム編集指針」という。)及び「ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針」(以下「ART指針」という。)の一部を改正し、本日(令和4年3月31日)付けで告示しましたので、お知らせします。

1.趣旨

 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(令和2年法律第44号)及びデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)の規定による改正後の個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「改正後法」という。)の一部が令和4年4月1日に施行されること等に伴い、令和3年10月にとりまとめられた「令和2年・3年改正個人情報保護法を踏まえた生命・医学系指針の見直しについて(取りまとめ)」(令和3年10月26日 生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議)等を踏まえ、ゲノム編集指針及びART指針の関係部分の改正を行いました(以下改正後のゲノム編集指針及びART指針を「新指針」という。)。
 改正に当たっては、文部科学省及び厚生労働省による専門委員会※において検討を行い、パブリック・コメントにおける意見の結果等も踏まえ、これを令和4年3月31日に告示するとともに、同年4月1日から適用することとしました。

 (※)文部科学省:科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会
            ヒト受精胚へのゲノム編集技術等を用いる研究に関する専門委員会
            生殖補助医療研究専門委員会
    厚生労働省:厚生科学審議会 科学技術部会 ヒト受精胚を用いる生殖補助医療研究等に関する専門委員会
 

2.主な改正内容

(1)用語の整理

1.指針における生存する個人に関する情報についての用語は、改正後法における用語に合わせた。(新指針の第1章第2(14)関係)
2.「匿名化」の用語は用いず、改正後法上の該当する各用語を当てるとともに、個人情報を加工したもののうち、仮名加工情報及び匿名加工情報に該当しない個人に関する情報は個人情報として取り扱うこととした。(新指針の第5章第5(2)関係)
3.「対応表」の用語は用いず、改正後法の「匿名加工情報」「仮名加工情報」の加工の方法や加工に係る削除情報等についての法の規定を踏まえ、整理を行った。(新指針の第3章第5(3)①関係)
4.その他個人に関する情報に係る用語を含む規定について、上記整理を踏まえた所要の見直しを行った。

(2)個人情報の管理主体の見直し

1.個人情報の管理主体は研究機関の長又は提供機関の長とし、その上で、機関の長については、法人の代表者、行政機関の長又は個人事業主の立場にある者として、生命・医学系指針と同様の定義を新設し、その責任の下で研究機関、提供機関が個人情報を取り扱う旨明確となるよう改めた。(新指針の第1章第2(7)・(8)・(11)・(12)、第5章第5関係)
2.上記定義の新設及び見直しを踏まえ、機関の長は当該機関において定められた規程により、ゲノム編集指針及びART指針に定める業務を当該機関内の適当な者に委任することができる旨の規定を追加した。(新指針の第4章第1の2(2)・第2の2(2)関係)
3.旧指針の第5章第5(2)に規定する個人情報管理者の設置については求めないこととし、配偶子又はヒト受精胚を研究機関に移送する前の匿名化の措置(旧指針における表記)については、機関の長が行うものとして規定を改めた。(新指針の第5章第5(2)関係)

(3)インフォームド・コンセント(以下「IC」という。)等の手続の見直し

文書によるICの取得に代えて、本人確認が適切に実施できる等の一定の事項に配慮した上で電磁的方法によりICを取得できる旨の規定を追加した。(新指針の第3章第1(3)関係)

(4)経過措置

ART指針の規定により実施中の研究については、個人情報保護関連法令及びガイドラインの規定が遵守される場合に限り、従前の例によることができることとした。

 

3.パブリック・コメント(意見公募手続)の結果

 ゲノム編集指針とART指針の一部改正案に関して実施したパブリック・コメント(令和4年1月28日(金曜日)~2月26日(土曜日))の結果は、e-Govの「パブリック・コメント(結果公示案件)」に掲載しています。

4.資料

ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針の一部を改正する告示(令和4年文部科学省・厚生労働省告示第3号)(PDF:173KB) PDF
ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針の一部を改正する告示(令和4年文部科学省・厚生労働省告示第2号)(令和4年5月26日に一部訂正して掲載)(PDF:221KB)
 ※令和4年5月17日の官報(第735号)に掲載した正誤の内容(PDF:58KB)を反映しております。

お問合せ先

研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室
電話:03-5253-4111(内線4379)

(研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室)