「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の制定について

令和3年3月23日

 文部科学省、厚生労働省及び経済産業省は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を制定し、本日(3月23日)の官報にて告示しましたので、お知らせします。(同時発表:厚生労働省、経済産業省)

1.趣旨

 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26 年文部科学省・厚生労働省告示第3号。以下「医学系指針」という。)及び「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成25年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「ゲノム指針」という。)については、必要に応じ、施行後5年を目途としてその全般に関して検討を加えた上で、見直しを行うものとされていること等を踏まえ、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省による「医学研究等に係る倫理指針の見直しに関する合同会議」において、医学系指針及びゲノム指針の両指針間の項目の整合性や指針改正の在り方について検討を行い、両指針において共通して規定される項目を医学系指針の規定内容に合わせる形で統一することにより、両指針を統合することが可能であるという結論が得られたことから、両指針を廃止し、新たな指針として「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(以下「生命・医学系指針」という。)を制定しました。

 

2.医学系指針及びゲノム指針と比較した主な変更点

(1)構成の見直し

 生命・医学系指針では、「第1章」において、総論的な概念や定義等を整理しました。また、「第2章」で研究者等が研究を実施する上で遵守すべき責務や考え方を整理するとともに、「第3章」から「第7章」で生命科学・医学系研究※に携わる全ての関係者が行うべき具体的な手続を研究が実施される流れに沿って整理しました。その後、「第8章」に倫理審査委員会に関する項目について、「第9章」に特に留意すべき事項である個人情報等及び匿名加工情報の取扱い等に関する項目について、上述までに規定する研究実施の手続とは分けて規定しました。
※ 生命・医学系指針では、医学系指針の適用範囲である「医学系研究」という用語を用いつつ、ヒトゲノム・遺伝子解析技術を用いた研究が様々な研究領域において行われていることを踏まえ、適用される研究領域の名称を「生命科学・医学系研究」とすることとしている。

(2)用語の定義の見直し(生命・医学系指針第1章第2)

 生命・医学系指針が適用される研究について、医学系指針及びゲノム指針の適用範囲に、医学系以外の領域で行われる研究(工学系学部の医工連携による研究への参画や、人文社会学系学部が人類学的観点から行う研究など)も含むことに留意し、「人を対象とする生命科学・医学系研究」として、定義を新設しました。
 また、研究計画書に基づいて研究が実施される研究機関以外であって、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し(侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う試料の取得は除く。)研究機関に提供のみを行う機関を、「研究協力機関」として定義し、それに伴い、新たに試料・情報を取得し、研究機関に提供のみを行う者を除くよう「研究者等」の定義を変更しました。さらに、一の研究計画書に基づき複数の研究機関において実施される研究を「多機関共同研究」として新たに定義し、手続の効率化を図るため、原則として、一の倫理審査委員会による一括した審査を求めることとしました。加えて、多機関共同研究を実施する場合に、複数の研究機関の研究責任者を代表する者として、「研究代表者」の定義を新設しました。
 さらに、ゲノム指針に規定されている「遺伝カウンセリング」の定義を一部改訂した上で規定しました。

(3)研究対象者等の基本的責務に係る規定の変更(生命・医学系指針第2章第4関係)

 研究対象者等への配慮として、地域住民等を対象とする研究を実施する場合に、その研究内容・意義について説明・理解を得るよう努めなければならないことを規定しました。

(4)研究計画書に関する手続(生命・医学系指針第3章第6関係)

 1)多機関共同研究の新設に係る変更
  多機関共同研究を実施する場合の研究代表者の選任や研究計画書の作成に係る規定を新設しました。また、多機関共同研究に係る研究計画書については、原則として一つの倫理審査委員会による一括した審査を求めなければならない旨の規定を新設しました。

 2)研究の概要の登録等に係る規定を変更
  介入を行う研究について、jRCT等の公開データベースに、当該研究の概要等をその実施に先立って登録し、更新を行わなければならない旨を規定しました。また、その他の研究についても、登録を努力義務としました。

(5)インフォームド・コンセント等の手続の見直し(生命・医学系指針第4章第8関係)

 1)インフォームド・コンセントの手続とその他の手続の項目を分離
 医学系指針の規定では、「インフォームド・コンセントを受ける手続等」に係る規定の中に、他の研究機関に試料・情報の提供を行う際又は他の研究機関から試料・情報の提供を受ける際に必要な記録の作成の手続等の規定が混在していたため、インフォームド・コンセントの手続とその他の手続とを別の項目に規定しました。

 2)研究協力機関において試料・情報の取得をする際のインフォームド・コンセントは、研究者等において受けなければならないこととしました。

 3)研究者等が研究対象者等からインフォームド・コンセントを受ける際に、電磁的方法(デジタルデバイスやオンライン等)を用いることが可能である旨、その際に留意すべき事項についての規定を明記し新設しました。

(6)研究により得られた結果等の取扱いに係る規定の新設(生命・医学系指針第5章関係)

 ゲノム指針「第3の8 遺伝情報の開示」「第3の9 遺伝カウンセリング」の規定を改訂し、新設の項目として、研究者等は研究により得られる結果等の特性を踏まえ、研究対象者への説明方針を定め、インフォームド・コンセントを受ける際はその方針を説明、理解を得なければならないことを規定しました。

(7)倫理審査委員会への報告に係る規定の新設(生命・医学系指針第8章第17関係)

 研究計画書の軽微な変更のうち、委員会が事前に確認のみで良いと認めたものについては、倫理審査委員会への報告事項として取り扱うことができることとする規定を新設しました。

(8)その他

 1)研究計画書の倫理審査委員会への付議等の手続の実施主体の変更
 研究計画書の倫理審査委員会への付議や重篤な有害事象が発生した場合の大臣への報告等、研究実施に伴う必要な手続の実施主体を、研究機関の長ではなく研究責任者としました。これに伴い、研究機関の長の責務等を変更しました。

 2)ゲノム指針の細則で規定していた事項
 より効率的な運用を図るため、内容に応じ指針本文又はガイダンス(今後公表予定)に整理することとしました。  

 3)令和3年6月30日から施行します。ただし、4)経過措置の2 の規定は、公布の日から施行します。

 4)経過措置
 1 生命・医学系指針の施行の際現に廃止前の疫学研究に関する倫理指針、臨床研究に関する倫理指針、ゲノム指針又は医学系指針の規定により実施中の研究については、なお従前の例によることができることとしました。
 2 生命・医学系指針の施行前において、現に廃止前の疫学研究に関する倫理指針若しくは臨床研究に関する倫理指針、ゲノム指針又は医学系指針の規定により実施中の研究について、研究者等及び研究機関の長又は倫理審査委員会の設置者が、それぞれ、生命・医学系指針の規定により研究を実施し又は倫理審査委員会を運営することを妨げないこととしました。 


3.パブリック・コメント(意見公募手続)の結果

 新指針の案に関して実施したパブリックコメント(令和2年6月29日~令和2年7月28日)の結果は、e-Govの「パブリックコメント(結果公示案件)」に掲載しています。

4.資料

・「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)(ライフサイエンスの広場へのリンク別ウィンドウで開きます

お問合せ先

研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室
電話:03-5253-4111(内線4108)

(研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室)