「ヒトES細胞の樹立に関する指針」の全部改正並びに「ヒトES細胞の使用に関する指針」及び「ヒトES細胞の分配機関に関する指針」の制定について

平成31年4月1日

文部科学省及び厚生労働省は、ヒトES細胞の取扱いの見直しに関して、「ヒトES細胞の樹立に関する指針」及び「ヒトES細胞の分配及び使用に関する指針」を改正し、本日(平成31年4月1日)の官報にて告示しましたので、お知らせします。

1.趣旨

 平成26年11月の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の指摘を受け、ヒトES細胞の海外機関への臨床目的での分配を可能とし、これまでのES指針の運用状況や研究機関の要望を踏まえ、計画書の記載・変更に関する手続等の合理化を行うとともに、指針の整備を行ってきました。
 昨年10月から11月に実施したパブリック・コメントにおける意見や、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会、厚生科学審議会再生医療等評価部会及びCSTI生命倫理専門調査会の意見等を踏まえ、ES指針を改正し、平成31年4月1日に告示するとともに、公布から3か月後(平成31年7月1日)に施行することとしました。

2.本指針の主な改正内容

(1)ヒトES細胞の海外機関分配関係
 1.海外機関への臨床目的での分配について(樹立指針、使用指針及び分配機関指針)
  研究に係る国際協力等の観点も踏まえ、海外機関に分配するヒトES細胞について、従来の基礎的研究目的に加え、臨床目的に供する扱いも可能とします。
 2.無償分配の在り方について(使用指針)
  使用機関からの分配については、臨床応用を目的としたヒトES細胞の使用により、当該ヒトES細胞に医療上の安全性に係る情報等の付加価値が生じる場合があるため、必ずしも無償分配は求めないこととします。(樹立機関及び分配機関からの分配については、従来通り無償を原則とします。)
 3.その他
 ・国内においても使用機関から他の使用機関への分配を可能とします。
 ・ES指針が直接適用されない海外機関への分配については、これまでの海外分配計画に替えて、ES指針に準じた取扱い要件を分配先との契約等により担保し、文部科学大臣に報告することとします。

(2)ES細胞を使った研究の進捗を踏まえた規定の見直し
 1.計画書の記載項目について(樹立指針、使用指針及び分配機関指針)
  実態に合わせた手続の合理化として、使用計画等において「研究者の氏名・略歴・研究業績」(研究責任者のみ)、「使用の終了後におけるヒトES細胞の取扱い」(使用終了報告書に記載)及び「ヒトES細胞株の名称」(国内で使用実績のないES細胞のみ確認)等の記載を求めないこととします。
 2.計画書の実質的な内容に係らない変更について(樹立指針、使用指針及び分配機関指針)
  機関の長の異動に伴う国への届出の提出は不要とするとともに、計画の実質的な内容に直接関わらない変更等(修辞の変更、法令等の名称変更に伴う形式的な変更)については、倫理審査委員会への意見聴取は特に要しない旨の規定を設けます。

(3)倫理審査委員会関係(樹立指針、使用指針及び分配機関指針)
  人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)に合わせ、倫理審査委員会の男女構成及び専門分野に関する要件等を再整理するとともに、計画内容の軽微な変更等については書面による迅速審査が可能であることを明確化します。

(4)指針の整備について
  研究機関の要望に応じて、複雑化している「ヒトES細胞の分配及び使用に関する指針」について、分配機関を対象とする規定とES細胞の使用機関・使用者を対象とする規定の整理を行った上で、同指針を「ヒトES細胞の使用に関する指針」と「ヒトES細胞の分配機関に関する指針」に分けて整備します。

(5)その他
  その他、記載の適正化・簡素化を行うなど、所要の改正を行います。

3.パブリック・コメント(意見公募手続)の結果について

本指針の案に関して実施したパブリックコメント(平成30年10月23日~11月21日)の結果は、e-Govの「パブリックコメント(結果公示案件)」に掲載しています。

4.資料

お問合せ先

研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室

高山、神崎
電話番号:03-5253-4111 (内線4394)

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(研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室)