「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」の製作について

平成25年3月29日

文部科学省におきましては、科学技術の理解増進施策の一環として、科学技術週間に合わせて「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」を製作いたしました。
この「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」について、今後、科学技術週間での配布等を通じて普及を図りたいと思いますので、御協力をお願いいたします。

主な配布先は、サンプルとして全国の小・中・高等学校に2部ずつ配布(約8万部)します。また、全国の「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」配布協力科学館/博物館等を通じて、科学技術週間の始まる4月15日(月曜日)から配布(約15万部)の予定です。
このほか、科学技術週間に実施する文部科学省イベント等でも配布予定です。

◇一家に1枚鉱物 WEBページ※科学技術週間ホームページへリンク
(PDF版のダウンロードもこちらでできます。)


「一家に1枚」ポスターについては、大学附置研究所・センター、独立行政法人研究機関、研究学・協会に企画応募を呼びかけました。提案のあった企画について、平成24年8月20日に行われた「一家に1枚」企画選考委員会での審議の結果、日本鉱物科学会からの企画が選考されました。
選考委員会のメンバーは以下の通りです。

(五十音順・敬称略)

石井 雅幸  大妻女子大学家政学部児童学科准教授
北村 文昭  科学ジャーナリスト
森田 由子  日本科学未来館 科学コミュニケーション専門主任
湯本 博文  学研科学創造研究所所長

「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」の製作にあたっては、下記の方々及び各機関の御協力をいただきました。

製作・著作:文部科学省(科学技術週間 ※科学技術週間ホームページへリンク
企画・監修:日本鉱物科学会
編集・デザイン・イラスト:有限会社サイテック・コミュニケーションズ
制作協力:一家に1枚「鉱物-地球と宇宙の宝物-」制作ワーキンググループ
奥山康子(代表:産業技術総合研究所)、宮嶋敏(埼玉県立深谷第一高等学校)、鮎沢潤(福岡大学)、赤井純治(新潟大学)、川手新一(武蔵高等学校・中学校)、貴治康夫(大阪府立箕面東高等学校)、黒澤正紀(筑波大学)、田中陵二(相模中央化学研究所)、𡈽山明(京都大学)、長瀬敏郎(東北大学)、宮島宏(糸魚川フォッサマグナ・ミュージアム)、宮脇律郎(国立科学博物館)、山田隆(日本医科大学)
写真・図版提供:NASA、糸魚川フォッサマグナ・ミュージアム、井上徹(愛媛大学)、入舩徹男(愛媛大学)、宇宙航空研究開発機構、池下章裕、産業技術総合研究所地質標本館、土屋卓久(愛媛大学)、日本電波工業株式会社、PHP研究所、豊遙秋(東京大学)、津南町教育委員会/小川忠博、滋賀県立安土城考古博物館、京セラメディカル株式会社、白河天体観測所、大阪大学レーザーエネルギー学研究センター

解説「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」

産業技術総合研究所 奥山康子

「漢字一文字+『物』」で表記される物は、生物、動物、食物など、ごく基本的な存在であり、鉱物もその一つです。しかし残念なことに鉱物は、子供にも大人にもなじみが薄いのが現状です。鉱物は、便利な現代生活を支える基礎的な材料のさらにその原料なのですが、同時に宇宙や地球の形成を読み解く科学の上での情報源や、数十億年におよぶ自然の造形物としての意味も持ちます。「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」ポスターでは、鉱物の多様な側面をわかりやすくお見せします。美しい鉱物写真と、専門研究者による最新の研究成果を反映させた解説は、学校教育や社会教育の現場は勿論のこと、家庭内でも、身のまわりで使われている物質、資源やエネルギー、環境問題を考えるうえでの話題を提供するでしょう。
本ポスターのほぼ4分の3の領域については、鉱物が生成する主な場所である地球に加え、地球の原材料であったかもしれない小惑星、そして最近の研究から鉱物が見つかってきている太陽系外の原始恒星系に似た場を、背景に配しています。大部分は広大な宇宙空間にあたりますが、そこにいろいろな鉱物を紹介するコラム、鉱物の性質を解説するコラム、そして鉱物にまつわる先端的研究を紹介するコラムをちりばめています。
自然界の物質である鉱物は、ながらく博物学の研究対象でもあり、系統分類学が成立しています。コラム「いろいろな鉱物」では、確立された系統分類学にのっとりながらそれを単純化した区分をおこない、よく知られていたり際立った美しさを持つ鉱物22種を紹介します。鉱物に欠かせない「結晶」という性質、鉱物の多様性を増す理由の一つ「鉱物の色」の2点も、それぞれコラムにて解説しています。解説文は短いですが、なにより美しい鉱物画像が解説内容を雄弁に語っています。
鉱物科学の先端的研究としては、地表付近での生命活動によって作り出される鉱物、地球の何千kmという深部領域の研究、日本のお家芸ともいうべき無人小惑星探査と探査機が持ち帰った宇宙物質、そして太陽系外から見つかる鉱物という四つの要素を、コラムとして紹介しています。深部領域の研究から太陽系外に見出される鉱物までのコラムは、画面の対角線にあたる帯のような領域「はやぶさの道」に配し、地球からはるか太陽系外までの空間的広がりをイメージすることができます。
本ポスターの残り4分の1の領域では、鉱物と私たちの暮らしのかかわりをビジュアルに解説しています。現代生活には多様な工業製品が欠かせませんが、それらはさまざまな金属・非金属素材を用いて作られたものです。そしてこういった素材を得るためには、原料としての鉱物が欠かせません。鉱物から素材を得るプロセスは「製錬」「精製」「副産物回収」など様々ですが、これらを学校教育で学ぶ機会はほとんどありません。このため私たちは、現代生活が多種多様な鉱物を資源として利用して成り立っていることを忘れがちです。考えてみれば、人類による文明の発達の陰には、ほとんど常に新たな鉱物の利用法の発見がありました。本ポスターの右下4分の1の領域では、人類がはるか過去から現代まで鉱物を使って生活を便利に変えてきた歴史を要約するとともに、今後の鉱物利用によって開ける未来の生活を展望します。この領域でも、私たちを支える資源鉱物の美しい画像が、見る人に新たな感動を与えるでしょう。思いがけない鉱物が資源としても有用である事実は、驚きを誘うかもしれません。
平成24年度から高校理科の新学習指導要領が実施されたことにより、鉱物の科学を含む地学の履修率は大幅に改善される見込みとなっています。特に平成25年度は多くの学校で地学が新規に開講され、各種教材の需要が大いに高まると見込まれます。かつては博物学の対象でもあった基本的な物でありながら、いまや私たちからちょっと縁遠くなった感のある「鉱物」について、本ポスターによって画像を通じて親しむとともに、美しい理科教材として活用されることを期待します。
最後に、文部科学省関係者の方々、本ポスターの作成に直接的・間接的に携わってくださった全ての皆様、そして画像を提供していただいた方々に厚く御礼申し上げます。

【問合せ先】
奥山 康子(産業技術総合研究所)
電話:029-861-3883
FAX:029-861-3717

〒305-0074 茨城県つくば市東1-1-1 産総研中央第7 地圏資源環境研究部門

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

大塚、伊東
電話番号:03-6734-4191(直通)

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

-- 登録:平成25年03月 --