令和7年7月29日
文部科学省では、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を実施しております。このたび、「第55回国際物理オリンピック（主催国：フランス）」に参加した生徒が、金メダル等を獲得したとの連絡を受けましたので、報告いたします。 また、文部科学省では、国際的な科学技術コンテストにおいて、特に優秀な成績をおさめた者等に対して文部科学大臣表彰等を行っており、このたびの成績を踏まえ、受賞者を決定しましたので、併せてお知らせします。 （共同発表：公益社団法人物理オリンピック日本委員会）
金メダル3名、銀メダル2名
（上記5名が文部科学大臣表彰を受賞する）
※金メダルは参加者の成績上位約8％、銀メダルは同じく約25％、銅メダルは同じく約50％の割合で与えられる。
5名の高校生
| 角谷 賢斗 さん | 開成高等学校（東京都） | 3年 | 金メダル |
| 濱田 泰成 さん | 灘高等学校（兵庫県） | 3年 | 金メダル |
| 佐藤 耀大 さん | 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校（神奈川県） | 3年 | 金メダル |
| 井戸沼 悠成 さん | 筑波大学附属駒場高等学校（東京都） | 3年 | 銀メダル |
| 伊丹 翔治 さん | 灘高等学校（兵庫県） | 3年 | 銀メダル |
91か国・地域/406名
フランス（パリ）/令和7年7月17日（木曜日）～7月25日（金曜日）
公益社団法人物理オリンピック日本委員会
・国際物理オリンピックは1967年にポーランドにて第1回大会が開催。
・2025年のフランス大会は、第55回目。
・日本は、2006年から参加を開始し、毎年5名の生徒を派遣（※）。本年は18回目の参加。
・一昨年の日本大会は、80か国・地域から387名の生徒が参加し、日本は金メダル2名、銀メダル3名受賞。
・本年のフランス大会は、91か国・地域から406名の生徒が参加し、日本は金メダル3名、銀メダル2名受賞。
※2024年のイラン大会は、不安定な中東情勢と現地への渡航の安全性を保証できない懸念が払拭できないことから、参加を中止し、日本代表選手全員を第８回ヨーロッパ物理オリンピックに派遣した。
7月16日（水曜日） 結団式/日本出国
7月17日（木曜日） 参加登録
7月18日（金曜日） 開会式
7月19日（土曜日） 実験問題試験
7月20日（日曜日） エクスカーション
7月21日（月曜日） 理論問題試験
7月22日（火曜日） 研究所訪問
7月23日（水曜日） エクスカーション
7月24日（木曜日） 表彰式/閉会式
7月25日（金曜日） フランス出国
2022年（第52回 スイス大会（オンライン開催））
銀メダル3名、銅メダル2名（参加規模：75か国・地域、368名）
2023年（第53回 日本大会）
金メダル2名、銀メダル3名（参加規模：80か国・地域、387名）
2024年（第54回 イラン大会）
不安定な中東情勢と現地への渡航の安全性を保証できない懸念が払拭できないことから、参加を中止し、第8回ヨーロッパ物理オリンピックに派遣。
国際物理オリンピックは、1967年にポーランドのワルシャワで第１回大会が開催された物理の国際的なコンテストであり、開催国を持ち回りとして毎年開催されている。参加資格は、20歳未満で且つ大学などの高等教育を受けていないこととされている。各国から高校生等が参加し、物理学に対する興味関心と能力を高め合うとともに、国際的な交流を通じて参加国における物理教育を一層発展させることを目的としている。科学･技術のあらゆる分野において増大する物理学の重要性、また次代を担う青少年の一般的教養としての物理学の有用性からも重要な国際イベントである。成績優秀者には金メダル（参加者の成績上位約8％）、銀メダル（同じく約25％）、銅メダル（同じく約50％）が与えられる。
各国内で選抜された最大5名の代表選手たちが、リーダーやオブザーバーからなる引率役員とともに参加する。8日間という長い会期の間、選手は理論問題・実験問題にそれぞれ5時間をかけて挑戦するほか、開催国の文化に触れる様々なイベントに参加することを通じて、他の国々からの参加者や主催者と国際的な交流を深める。引率役員は、試験問題についての討論会に参加し、自国語への翻訳作業や試験結果についての調整などを担う。各国の引率役員が理科教育推進のための国際的なネットワークを形成し、自国の理科教育を国際標準に照らして見直す良い機会ともなっている。
「物理チャレンジ」は、大学等に入学する前の青少年を対象として物理の持つ面白さと楽しさを体験してもらうことを目的とする全国規模のコンテストで、アジア物理オリンピック（APhO）と国際物理オリンピック（IPhO）に出場する日本代表選考を兼ねている。
「物理チャレンジ」は、2つの段階から構成されており、一段階目の「第1チャレンジ」は、「理論問題コンテスト」と「実験課題レポート」からなる。（2025年度からは、このような「総合コース」に加え「理論問題コンテスト」のみからなる「理論コース」の2コース選択制をとる。）理論問題コンテストは全国一斉にオンラインIBT形式（※）で実施し、また実験課題レポートは、参加者が自宅や学校で課題実験に取り組み、レポートにまとめて提出するものである。二段階目の「第2チャレンジ」は、第1チャレンジの総合成績により選抜された約100名が、夏休みに一堂に会する3泊4日の合宿形式のコンテストである。APhOとIPhOの形式に倣い、理論問題と実験問題についてそれぞれ5時間の試験を実施する。ここでは成績上位6名に金賞、続く12名に銀賞、続く12名に銅賞、さらに続く若干名に優良賞等を授与する。
第2チャレンジで優秀な成績をおさめた参加者から、翌年の物理オリンピック国際大会への参加資格を持つ日本代表選手候補者を12名選出し、9月に秋合宿を行った後、7か月間にわたる通信添削、実験実習、冬休み及び春休みの合宿研修等の教育研修を経て、3月末の行われる最終選考によって、IPhOとAPhOに派遣する日本代表選手を決定する。
なお、第2チャレンジは、APhO/IPhOを模した合宿形式のメリットを活かし、コンテストばかりでなく第一線の研究者との対話や先端研究施設の見学を実施し、参加者同士ならびに参加者と実行委員（物理学研究者）との交流を深める機会を設け、物理に興味を持つ生徒たちにとって充実した4日間となる構成としている。
2025年度は、東京理科大学野田キャンパス（千葉県野田市）で開催予定である。
※IBT形式とはInternet Based Testingの略称で、インターネットにつないだパソコンやタブレットで問題を閲覧して、複数の選択肢から正答をクリックして解答する試験方式のこと。
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