令和6年7月23日
文部科学省では、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を実施しております。このたび、「第8回ヨーロッパ物理オリンピック(主催国:ジョージア)」に参加した生徒が、金メダル等を獲得したとの連絡を受けましたので、報告いたします。
また、文部科学省では、代表選手の努力の成果を顕彰するため、文部科学大臣特別賞の受賞者を決定しましたので、併せてお知らせします。
(共同発表:公益社団法人物理オリンピック日本委員会)
金メダル1名、銀メダル2名、銅メダル1名
(参加者全員が文部科学大臣特別賞を受賞する)
※金メダルは参加者の成績上位約8%、銀メダルは次の約17%、銅メダルはさらにその次の約25%の割合で与えられる。
5名の高校生
角谷 賢斗 さん | 開成高等学校(東京都) | 2年 | 金メダル |
濱田 泰成 さん | 灘高等学校(兵庫県) | 2年 | 銀メダル |
小林 悠大 さん | 大阪星光学院高等学校(大阪府) | 3年 | 銀メダル |
坂本 聖 さん | 群馬県立高崎高等学校(群馬県) | 3年 | 銅メダル |
窪田 裕成 さん | 新潟県立新潟高等学校(新潟県) | 3年 | 優秀賞 |
55か国・地域/256名
ジョージア・クタイシ/
令和6年7月15日(月曜日)~7月19日(金曜日)
公益社団法人物理オリンピック日本委員会
・ヨーロッパ物理オリンピックは2017年にエストニアにて第1回大会が開催。
・2024年のジョージア大会は、第8回目。
・日本は、2020年のルーマニア大会(新型コロナウイルス感染拡大によりエストニア主催のオンライン大会に変更)に5名の生徒が参加。本年は2回目の参加。
・本年のジョージア大会は、55か国・地域から256名の生徒が参加し、日本は金メダル1名、銀メダル2名、銅メダル1名受賞。
7月15日(月曜日) 開会式
7月16日(火曜日) 実験問題試験
7月17日(水曜日) 理論問題試験
7月18日(木曜日) Moderation
7月19日(金曜日) 表彰式/閉会式
2020年(第4回 ルーマニア・サトゥ・マーレ大会(オンライン大会))
※エストニア主催のオンライン大会に変更
金メダル2名、銀メダル2名、銅メダル1名
(参加規模:54か国・地域、257名)
ヨーロッパ物理オリンピックは、2017年にエストニアで第1回大会が開催された欧州地域の高等教育機関就学前の若者が参加する物理コンテストで、40~50の国・地域から、最大5名の代表選手が参加し、毎年開催されている。日本は2020年、第4回EuPhO2020エストニア大会に初めて日本代表選手5名がオンラインで参加した。
今回、物理オリンピック日本委員会は、最近の不安定な中東情勢と現地への渡航の安全性を保証できない懸念が払拭できないことから、国際物理オリンピック(イラン大会)への参加を中止し、参加予定であった日本代表選手全員について、同時期に開催される第8回ヨーロッパ物理オリンピックに派遣することを決定した。
国際物理オリンピックは、1967年にポーランドのワルシャワで第1回大会が開催された物理の国際的なコンテスト。参加資格は、20歳未満で且つ大学などの高等教育を受けていないこととされている。各国から高校生等が参加し、物理学に対する興味関心と能力を高め合うとともに、国際的な交流を通じて参加国における物理教育を一層発展させることを目的としている。科学・技術のあらゆる分野において増大する物理学の重要性、また次代を担う青少年の一般的教養としての物理学の有用性を鑑み、開催国を持ち回りとして毎年開催されている。成績優秀者には金メダル(参加者の成績上位8%)、銀メダル(同25%)、銅メダル(同50%)が与えられる。
各国内で選抜された最大5名の代表選手たちが、リーダーやオブザーバーからなる引率役員とともに参加する。従来の現地開催形式では、8日間という長い会期の間、選手は理論問題・実験問題にそれぞれ5時間をかけて挑戦するほか、他の国々からの参加者や主催者と国際的な交流を深める。引率役員は、試験問題についての討論会に参加し、自国語への翻訳作業や試験結果についての調整などを担う。現地開催の場合には、現地での交流を通じて各国の引率役員が理科教育推進のための国際的なネットワークを形成し、自国の理科教育を国際標準に照らして見直す良い機会ともなっている。
「物理チャレンジ」は、大学等に入学する前の青少年を対象として物理の持つ面白さと楽しさを体験してもらうことを目的とする全国規模のコンテストで、APhOとIPhOに出場する日本代表選考を兼ねている。
「物理チャレンジ」は、2つの段階から構成されており、一段階目の「第1チャレンジ」は、「理論問題コンテスト」と「実験課題レポート」からなる。理論問題コンテストは全国一斉にオンラインIBT形式(※)で実施し、また実験課題レポートは、参加者が自宅や学校で課題実験に取り組み、レポートにまとめて提出するものである。二段階目の「第2チャレンジ」は、第1チャレンジの総合成績により選抜された約100名が、夏休みに一堂に会する3泊4日の合宿形式のコンテストである。APhOやIPhOの形式に倣い、理論問題と実験問題についてそれぞれ5時間の試験を実施する。ここでは成績上位6名に金賞、続く12名に銀賞、続く12名に銅賞、さらに続く若干名に優良賞等を授与する。
第2チャレンジで優秀な成績をおさめた参加者から、翌年のAPhO/IPhOへの参加資格を持つ日本代表候補者を12名選出し、9月に秋合宿を行った後、7か月間にわたる通信添削、実験実習、冬休み及び春休みの合宿研修等の教育研修を経て、最終選考によって、IPhOに派遣する5名の日本代表選手と、APhOに派遣する8名の日本代表選手を決定する。
なお、第2チャレンジは、APhO/IPhOを模した合宿形式のメリットを活かし、コンテストばかりでなく第一線の研究者との対話や先端研究施設の見学を実施し、参加者同士ならびに参加者と実行委員(物理学研究者)との交流を深める機会を設け、物理に興味を持つ生徒たちにとって充実した4日間となる構成としている。
※IBT形式とはInternet Based Testingの略称で、インターネットにつないだパソコンやタブレットで問題を閲覧して、複数の選択肢から正答をクリックして解答する試験方式のこと。
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