国際物理オリンピックに参加した生徒が金メダル等を獲得しました。また、国際的な科学技術コンテストで特に優秀な成績をおさめた生徒に対する文部科学大臣表彰の受賞者を決定しました。

令和5年8月14日

 文部科学省では、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を実施しております。このたび、「第53回国際物理オリンピック(主催国:日本(東京都))」に参加した生徒が、金メダル等を獲得したとの連絡を受けましたので、報告いたします。
 また、文部科学省では、国際的な科学技術コンテストにおいて、特に優秀な成績をおさめた者等に対して文部科学大臣表彰等を行っており、このたびの成績を踏まえ、受賞者を決定しましたので、併せてお知らせします。
(共同発表:公益社団法人物理オリンピック日本委員会)

1.受賞状況

金メダル2名、銀メダル3名
(上記5名が文部科学大臣表彰を受賞する)
※金メダルは参加者の成績上位約8%、銀メダルは次の約17%、銅メダルはさらにその次の約25%の割合で与えられる。

2.参加者

5名の高校生等

3.受賞者詳細:

  田中(たなか) 優希(ゆうき) さん  灘高等学校(兵庫県) 3年 金メダル
  今村(いまむら) 晃太朗(こうたろう) さん  大手前丸亀高等学校(香川県) 3年 金メダル
  岩下(いわした) 幸生(こうき) さん  市立札幌開成中等教育学校(北海道) 6年 銀メダル
  喜多(きた) 俊介(しゅんすけ) さん  筑波大学附属駒場高等学校(東京都) 1年 銀メダル
  東川(ひがしがわ) レオン さん  筑波大学附属駒場高等学校(東京都) 3年 銀メダル

※2022年国際物理オリンピックで喜多俊介さんは銅メダルを獲得

4.参加国数/人数

80か国・地域/387名

5.場所/期間

日本/東京都
令和5年7月10日(月曜日)~7月17日(月曜日・祝)

6.派遣機関

公益社団法人物理オリンピック日本委員会

<参考資料>

◆大会概要

・国際物理オリンピックは1967年にポーランドにて第1回大会が開催。
・2023年の日本大会は、第53回目。
・日本は、2006年から参加を開始し、毎年5名の生徒を派遣。本年は17回目の参加。
・昨年のスイス大会は、75か国・地域から368名の生徒が参加し、日本は銀メダル3名、銅メダル2名受賞。
・本年の日本大会は、80か国・地域から387名の生徒が参加し、日本は金メダル2名、銀メダル3名受賞。
 

◆日本代表団(参加生徒)の日程

7月10日(月曜日) 開会式
7月11日(火曜日) 実験問題試験
7月12日(水曜日) エクスカーション
7月13日(木曜日) 理論問題試験
7月14日(金曜日) エクスカーション/講演
7月15日(土曜日) エクスカーション
7月16日(日曜日) エクスカーション
7月17日(月曜日) 表彰式/閉会式

◆国際物理オリンピックにおける直近の日本代表の成績

2019年(第50回 イスラエル・テルアビブ大会)
 金メダル1名、銀メダル4名
 (参加規模:78か国・地域、360名)
2020年 新型コロナウイルス感染拡大により2021年に延期。
2021年(第51回 リトアニア・ヴィリニュス大会(オンライン開催))
 金メダル1名、銀メダル3名、銅メダル1名
 (参加規模:76か国・地域、368名)
2022年(第52回 スイス大会(オンライン開催))
 銀メダル3名、銅メダル2名
 (参加規模:75か国・地域、368名)

◆国際物理オリンピック(IPhO=International Physics Olympiad)

 国際物理オリンピックは、1967年にポーランドのワルシャワで第1回大会が開催された物理の国際的なコンテストであり、開催国を持ち回りとして毎年開催されている。参加資格は、20歳未満で且つ大学などの高等教育を受けていないこととされている。各国から高校生等が参加し、物理学に対する興味関心と能力を高め合うとともに、国際的な交流を通じて参加国における物理教育を一層発展させることを目的としている。科学・技術のあらゆる分野において増大する物理学の重要性、また次代を担う青少年の一般的教養としての物理学の有用性からも重要な国際イベントである。成績優秀者には金メダル(参加者の成績上位約8%)、銀メダル(次の17%)、銅メダル(さらにその次の25%)が与えられる。
 各国内で選抜された最大5名の代表選手たちが、リーダーやオブザーバーからなる引率役員とともに参加する。8日間という長い会期の間、選手は理論問題・実験問題にそれぞれ5時間をかけて挑戦するほか、開催国の文化に触れる様々なイベントに参加することを通じて、他の国々からの参加者や主催者と国際的な交流を深める。引率役員は、試験問題についての討論会に参加し、自国語への翻訳作業や試験結果についての調整などを担う。各国の引率役員が理科教育推進のための国際的なネットワークを形成し、自国の理科教育を国際標準に照らして見直す良い機会ともなっている。
 

◆全国物理コンテスト「物理チャレンジ」

 「物理チャレンジ」は、大学等に入学する前の青少年を対象として物理の持つ面白さと楽しさを体験してもらうことを目的とする全国規模のコンテストで、国際物理オリンピック日本代表候補者の選考を兼ねている。
「物理チャレンジ」は、2つの段階から構成されており、一段階目の「第1チャレンジ」は、「理論問題コンテスト」と「実験課題レポート」からなる。理論問題コンテストは全国一斉にオンラインIBT形式(※)で実施し、また実験課題レポートは、参加者が自宅や学校で課題実験に取り組み、レポートにまとめて提出するものである。二段階目の「第2チャレンジ」は、第1チャレンジの総合成績により選抜された約100名が、夏休みに一堂に会する3泊4日の合宿形式のコンテストである。物理オリンピック国際大会の形式に倣い、理論問題と実験問題についてそれぞれ5時間の試験を実施する。ここでは成績上位6名に金賞、続く12名に銀賞、続く12名に銅賞、さらに続く若干名に優良賞等を授与する。
 第2チャレンジで優秀な成績をおさめた参加者から、翌年の物理オリンピック国際大会への参加資格を持つ日本代表選手候補者を12名選出し(2022年度は14名)、9月に秋合宿を行った後、7か月間にわたる通信添削、実験実習、冬休み及び春休みの合宿研修等の教育研修を経て、3月末に行われる最終選考によって、国際物理オリンピック(IPhO)に派遣する5名の日本代表選手と、アジア物理オリンピック(APhO)に派遣する8名の日本代表選手を決定する。
 なお、第2チャレンジは、APhO/IPhOを模した合宿形式のメリットを活かし、コンテストばかりでなく第一線の研究者との対話や先端研究施設の見学を実施し、参加者同士ならびに参加者と実行委員(物理学研究者)との交流を深める機会を設け、物理に興味を持つ生徒たちにとって充実した4日間となる構成としている。
2023年度は、岡山国際交流センター(岡山県岡山市)で開催予定である。
※IBT形式とはInternet Based Testingの略称で、インターネットにつないだパソコンやタブレットで問題を閲覧して、複数の選択肢から正答をクリックして解答する試験方式のこと。
 

お問合せ先

文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課

冨田、勝屋
電話番号:03-6734-4191(直通)

公益社団法人物理オリンピック日本委員会事務局

菊池
電話番号:03-5228-7406、080-2254-0930

(科学技術・学術政策局人材政策課)