国際数学オリンピックに参加した生徒が金メダル等を獲得しました。また、国際的な科学技術コンテストで特に優秀な成績をおさめた生徒に対する文部科学大臣表彰の受賞者を決定しました。

令和5年7月14日

 文部科学省では、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を実施しております。このたび「第64回国際数学オリンピック(主催国:日本(千葉県))」に参加した生徒が、金メダル等を獲得したとの連絡を受けましたので、報告いたします。
 また、文部科学省では、国際的な科学技術コンテストにおいて、特に優秀な成績をおさめた者等に対して文部科学大臣表彰等を行っており、このたびの国際数学オリンピックの成績を踏まえ、受賞者を決定しましたので、併せてお知らせします。
(共同発表:公益財団法人数学オリンピック財団)

1.受賞状況

金メダル2名、銀メダル3名、銅メダル1名
(上記6名が文部科学大臣表彰を受賞する)
※ 金メダルは参加者の約12分の1、銀メダルは約12分の2、銅メダルは約12分の3の割合で与えられる。

2.参加者

6名の高校生

3.受賞者詳細

    北村(きたむら) 隆之介(りゅうのすけ) さん 東京都立武蔵高等学校(東京都) 3年 金メダル
    古屋(ふるや) (たのし さん 筑波大学附属駒場高等学校(東京都) 3年 金メダル
    狩野(かのう) 慧志(さとし さん 長野県松本深志高等学校(長野県) 1年 銀メダル
    (はやし) 康生(やすお) さん 海城高等学校(東京都) 3年 銀メダル
    若杉(わかすぎ) 直音(なおと さん 帝塚山学院泉ヶ丘高等学校(大阪府) 1年 銀メダル
    小出(こいで) 慶介(けいすけ さん 灘高等学校(兵庫県) 3年 銅メダル

※2022年国際数学オリンピックで北村隆之介さんは銀メダルを獲得

4.参加国数/人数

112か国・地域/618名

5.場所/期間

日本/千葉県
令和5年7月2日(日曜日)~7月13日(木曜日)

6.派遣機関

公益財団法人数学オリンピック財団

<参考資料>

◆大会概要

・国際数学オリンピックは1959年にルーマニアにて第1回大会が開催。
・2023年の日本大会は、第64回目。
・日本は、1990年から参加を開始し、毎年6名の生徒を派遣。本年は34回目の参加。
・昨年のノルウェー大会は、104か国・地域から589名の生徒が参加し、日本は金メダル1名、銀メダル4名、銅メダル1名受賞(国別順位8位)。
・本年の日本大会は112か国・地域から618名の生徒が参加し、金メダル2名、銀メダル3名、銅メダル1名受賞(国別順位6位)。

◆日本代表団(参加生徒)の日程

  7月2日(日曜日)             大会役員 到着
  7月3日(月曜日)             参加各国団長団 到着
  7月4日(火曜日)~6日(木曜日)   団長会議
  7月6日(木曜日)             参加各国選手団 到着
  7月7日(金曜日)             開会式
  7月8日(土曜日)             コンテスト1日目
  7月9日(日曜日)             コンテスト2日目
  7月10日(月曜日)~11日(火曜日) 採点会議、団長会議、観光・国際交流
  7月12日(水曜日)             閉会式
  7月13日(木曜日)                   参加各国代表団 帰国
 

◆国際数学オリンピックにおける過去3年間の日本代表の成績

2020年(第61回 ロシア・サンクトペテルブルク大会(オンライン開催))
  銀メダル5名、銅メダル1名
  国別順位18位(参加規模:105か国・地域、616名)
2021年(第62回 ロシア・サンクトペテルブルク大会(オンライン開催))
  金メダル1名、銀メダル2名、銅メダル3名
  国別順位25位(参加規模:107か国・地域、619名)
2022年(第63回 ノルウェー・オスロ大会)
  金メダル1名、銀メダル4名、銅メダル1名
  国別順位8位(参加規模:104か国・地域、589名)

◆日本代表団からのコメント

国際数学オリンピック(IMO)は毎年、2日間に渡って3問ずつそれぞれ4時間半で合計6問を解くことを競うコンテストです。今年の問題も数学4分野(代数(A)、組合せ(C)、幾何(G)、整数論(N))から次のように出題されました。
 
1日目 問題1:N、問題2:G 問題3:A
2日目 問題4:A、問題5:C 問題6:G
 
問題1は比較的易しい整数論の問題で、日本選手は非常によくできていました。問題2は対称性のない三角形についての標準的な問題でした。問題3は見た目がすっきりした数列と多項式の難問でしたが日本選手はよくできていました。問題4は多くの変数に関する不等式の問題でしたが、日本選手は全員完答できました。問題5は日の丸をモチーフにした組み合わせの問題でした。問題6はなかなか手掛かりが見つからない、幾何の難問でした。全体として標準的な難易度の試験であり、メダルのボーダーは例年通りでした。日本選手は金メダル2、銀メダル3、銅メダル1を獲得し、国別順位6位の成績を収めました。
 

◆国際数学オリンピック(IMO=The International Mathematical Olympiad)

 国際数学オリンピックは、世界各国・地域の数学的才能に恵まれた若者を見出し、その才能を伸ばすチャンスを与えること、また世界中の数学好きの若者や教育関係者であるリーダーたちが互いに国際交流を深めることを目的として開催されています。
 大会の参加資格は、「コンテスト当日20歳未満で大学教育(または、それに類するもの)を受けていないもの」とされており、各国6名まで参加できます。参加者は2日間に渡り1日4時間半、各3問の筆記試験に取組み、その得点合計でメダルを競います。
第1回大会は、1959年にルーマニアにおいて、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、旧チェコスロバキア、旧東ドイツ、旧ソ連を招待して開催されました。その後、1980年を除き毎年7月に開催されています。

◆日本数学オリンピック(JMO=Japan Mathematical Olympiad)

 日本における国際数学オリンピックへの派遣事業は1988年から企画され、1989年には委員2名が第30回西ドイツ大会を視察し、翌年の第31回北京大会において初めて参加しました。当初、事業の運営母体は任意団体であり、有志の寄付によって運営を行っていました。その後、元協栄生命保険株式会社の故川井三郎名誉会長の寄付及び富士通株式会社、元協栄生命保険株式会社、株式会社アイネスの寄付を基金として、1991年3月に文部省(現在の文部科学省)所管の財団として、財団法人数学オリンピック財団が設立され、派遣事業を行ってきました。
 財団は2013年4月から内閣府所管の公益財団法人数学オリンピック財団となり、現在、この財団により日本数学オリンピックが実施され、毎年、国際数学オリンピックへの日本代表選手を選抜しています。また、2003年国際数学オリンピックが東京で開催されたのを契機に、中学生以下を対象とした日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)が実施されており、若年層の関心とレベルアップを図っています。
 

お問合せ先

文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課

冨田、勝屋
電話番号:03-6734-4191(直通)

公益財団法人数学オリンピック財団

淺井
電話番号:03-5272-9790

(科学技術・学術政策局人材政策課)