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自在配列と機能

1.目標名

自在配列と機能

2.概要

グラフェン、ダイヤモンド等の炭素同素体、DNA、タンパク質等の生体高分子、液晶分子、ガス分離膜等の機能材料に見られるように、物質の特性や機能は組成だけでなく配列構造に大きく依存しており、原子や分子の並びを制御することは機能材料設計においても重要な要素である。また、構造純度を高めることは材料やデバイスの機能向上に直結している。
本戦略目標では、原子や分子を一次元から三次元まで思い通りに配列させる技術や、配列の順序を自在に制御する技術を開発することによって、機能材料設計の新しい指針を得ることを目的とする。その際、配列構造の原子レベルでの解析や電子状態の計測技術等の開発にも注力し、材料物性・機能との相関を解明することにより、ナノスケール配列制御に由来する特性を機能材料として活用する方法論の体系化を目指す。

3.達成目標

本戦略目標では、原子や分子を思い通りの位置や順序で精密に配列させる技術を開発するとともに、配列に由来する材料機能との相関を解明することによって、機能材料設計の新しい指針を獲得することを目指す。具体的には、以下の3つの達成を目指す。
(1)一次元~三次元配列や順序を制御する技術の開発と体系化
(2)配列構造の解析・計測技術の開発
(3)ナノスケール配列により生み出される物性・機能を活かした材料の創製

4.研究推進の際に見据えるべき将来の社会像

3.「達成目標」の実現を通じ、これまでにない新機能材料等を基盤技術として様々な分野や領域に普及させることにより、以下に挙げるような社会の実現に貢献する。
・制御された配列により発現する機能を活かした、高機能かつ省エネルギーデバイスにより実現される超スマート社会
・マルチスケールで階層制御された信頼性の高い機能材料が可能にする安全・安心な社会

5.具体的な研究例

(1)一次元~三次元配列や順序を制御する技術の開発と体系化
原子や分子を自在に一次元~三次元配列させるための基盤技術を開発する。具体的には以下の研究等を想定。
・モノマーを望み通りの順序に配列させるシークエンス制御高分子合成法の開拓
・異種原子の繰り返し構造を有する二次元物質の創製
・デンドリマーやMOF(金属有機構造体)、セラミックスなどを鋳型とする原子の三次元配列手法の確立

(2)配列構造の解析・計測技術の開発
ナノスケールでの配列構造や電子状態等を計測・解析する技術を開発し、配列と物性・機能の相関を解明する。また、材料設計の新しい指針を探索する。具体的には以下の研究等を想定。
・原子レベルの分解能を有する解析技術の開発
・ナノスケール配列からメゾ・マクロスケール領域での物性を予測するマルチスケールシミュレーション手法の開発

(3)ナノスケール配列により生み出される物性・機能を活かした材料の創製
ナノスケール配列により発現する物性・機能を活用する方法論を確立し、革新的な機能材料を開発する。具体的には以下の材料開発に関する研究等を想定。
・幾何学構造を利用した高精度な分離材料
・原子や分子の並びを鍵とするセンシング材料や高効率発光材料
・二次元物質の層構造制御による超伝導材料

6.国内外の研究動向

原子・分子の配列を制御して物性・機能発現を目指すことは化学・物理のグランドチャレンジであり、我が国が組織的に取組むことによって先導的な役割を果たすことができる。我が国の強みである精密性を生かし、ナノスケールから高精度で物質を作り上げる技術が見出され、本戦略目標の推進に必要な基盤技術が整いつつある。

(国内動向)
新学術領域研究「原子層科学」(平成25~29年度)、「配位アシンメトリー」(平成28~令和2年度)、戦略目標「環境・エネルギー材料や電子材料、健康・医療用材料に革新をもたらす分子の自在設計『分子技術』の構築」(平成24~令和元年度)、「選択的物質貯蔵・輸送・分離・変換等を実現する物質中の微細な空間空隙構造制御技術による新機能材料の創製」(平成25~令和2年度)、「二次元機能性原子・分子薄膜による革新的部素材・デバイスの創製と応用展開」(平成26~令和3年度)等の関連プロジェクトにより、二次元物質創製や自己組織化、機能性分子の精密合成や分子レベルの空間空隙を利用する新材料に関する研究が実施され、ナノスケールから高精度で物質を作り上げる技術が見出されつつある。

(国外動向)
グラフェンをはじめとする二次元物質に関して、EUではGraphene Flagshipに代表される大型プロジェクトが動いており、また、英国や中国などでは専門の研究所が設立されるなど巨額の投資がなされている。また、MOF材料開発やナノ計測分野など国際的に競争が熾烈である。

7.検討の経緯

「戦略目標の策定の指針」(令和元年7月科学技術・学術審議会基礎研究振興部会決定)に基づき、以下のとおり検討を行った。

1.科学研究費助成事業データベース等を用いた国内の研究動向に関する分析及び研究論文データベースの分析資料を基に、科学技術・学術政策研究所科学技術予測センターの専門家ネットワークに参画している専門家や科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)の各分野ユニット、日本医療研究開発機構(AMED)のプログラムディレクター等を対象として、注目すべき研究動向に関するアンケートを実施した。

2.上記アンケートの結果及びJST-CRDSで行われた『俯瞰ワークショップ ナノテクノロジー・材料分野 区分別分科会「機能と物質の設計・制御~材料科学の未来戦略~」』等を参考にして分析を進めた結果、機能性材料開発において原子や分子レベルでの配列制御や階層構造制御が重要であるとの認識を得て、注目すべき研究動向「原子・分子の自在配列に基づく機能材料の創製」を特定した。

3.令和元年11月に、文部科学省とJSTは共催で、注目すべき研究動向「原子・分子の自在配列に基づく機能材料の創製」に関係する産学の有識者が一堂に会するワークショップを開催し、特に注目すべき国内外の動向、研究や技術開発の進展が社会的・経済的に与え得るインパクトやその結果実現し得る将来の社会像、研究期間中に達成すべき目標等について議論を行った。そこでの議論等を踏まえ、本戦略目標を作成した。

8.閣議決定文書等における関係記載

「第5期科学技術基本計画」(平成28年1月22日閣議決定)
第2章(3)<2> ii) 新たな価値創出のコアとなる強みを有する基盤技術
・革新的な構造材料や新機能材料など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「素材・ナノテクノロジー」

「ナノテクノロジー・材料科学技術研究開発戦略」(平成30年8月ナノテクノロジー・材料科学技術委員会策定)
4(1)(ii)戦略的・持続的に取組を進めるべき研究領域
・分子技術:(前略)「分子技術」による物質・材料開発へのブレークスルーを志向して、新たな視点を加味しながら推進し続けることが重要である。
・革新的な分離技術を生み出すマテリアル:(前略)分離の鍵を握るマテリアルの研究開発は、引き続き進めていくべき重要な研究領域である。

9.その他

これまでの戦略事業や新学術領域研究などの関連施策において得られている成果の活用や形成されている研究者コミュニティとの積極的な連携等が望まれる。その際、マルチスケールシミュレーション等の取組みにおいては、研究者コミュニティ内で適切なデータ管理ポリシーを考慮したうえで、既存データを積極的に利活用することが望まれる。また、諸外国の動向等を踏まえて、国内外の幅広い研究者の共同研究を積極的に進めることにより、効果的・効率的に研究を推進することを期待する。

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課
金子、濱田
03-5253-4111(内線4120)