国際数学オリンピック参加生徒の成績及び文部科学大臣表彰受賞者の決定について

令和2年9月29日

 文部科学省では、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を実施しております。この度オンラインにより開催された「第61回国際数学オリンピック」に参加した生徒が、全員メダルを獲得したとの連絡を受けましたので、報告いたします。
 また、文部科学省では、国際的な科学技術コンテストにおいて、特に優秀な成績をおさめた者等に対して文部科学大臣表彰等を行っており、このたびの国際数学オリンピックの成績を踏まえ、受賞者を決定しましたので、併せてお知らせします。
(共同発表:公益財団法人数学オリンピック財団)

1.受賞状況

銀メダル5名、銅メダル1名
(上記6名が文部科学大臣表彰を受賞する。)

2.参加者

6名の高校生

3.受賞者詳細

 渡辺(わたなべ) 直希(なおき)さん

 広島大学附属高等学校(広島県) 3年(17歳)

 銀メダル

 神尾(かみお) 悠陽(ゆうひ)さん

 開成高等学校(東京都) 2年(16歳)

 銀メダル

  石田(いしだ) 温也(あつや)さん

  洛南高等学校(京都府) 3年(18歳)

  銀メダル

 馬杉(ますぎ) 和貴(かずき)さん

 洛南高等学校(京都府) 3年(18歳)

 銀メダル

 宿田(しゅくた) 彩斗(あやと)さん

 開成高等学校(東京都) 3年(18歳)

 銀メダル

 平山(ひらやま) 楓馬(ふうま)さん

 灘高等学校(兵庫県) 3年(17歳)

 銅メダル

(年齢は本大会終了日時点のもの)
(文部科学大臣表彰受賞者を◎、文部科学大臣特別賞受賞者を〇で示す)
※渡辺さんは2018年、2019年の国際数学オリンピックで銅メダルを獲得。
※馬杉さんは2018年の国際数学オリンピックで銀メダルを獲得。
※宿田さんは2019年の国際数学オリンピックで銀メダルを獲得。

4.参加国数/人数

105 か国・地域 / 616 名

5.開催地/会期

オンライン開催(大会主催国/都市:ロシア/サンクトペテルブルグ)
令和2年9月19日(土曜日)~28日(月曜日)(日本時間)

6.派遣機関

公益財団法人 数学オリンピック財団

◆大会概要

・国際数学オリンピックは1959年にルーマニアにて第1回大会が開催。
・2020年のロシア大会は、第61回目。
・日本は、1990年から参加を開始し、毎年6名の生徒を派遣。本年は31回目の参加。
・昨年のイギリス大会は、112か国・地域から621名の生徒が参加し、日本は金メダル2名、銀メダル2名、銅メダル2名受賞、国別順位13位。
・本年のロシア大会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりオンラインで開催され、105か国・地域から616名の生徒が参加し、日本は銀メダル5名、銅メダル1名受賞、国別順位18位。
・来年も、ロシアで実施される予定。

◆日本代表団(参加生徒)の日程

 9月20日(日曜日)

 オンライン開会式

       21日(月曜日)

 コンテスト第1日目

       22日(火曜日)

 コンテスト第2日目

      28日(月曜日)

 オンライン閉会式

 ◆参加生徒

 渡辺(わたなべ) 直希(なおき)さん

 広島大学附属高等学校(広島県) 3年(17歳)

 銀メダル

 神尾(かみお) 悠陽(ゆうひ)さん

 開成高等学校(東京都) 2年(16歳)

 銀メダル

 石田(いしだ) 温也(あつや)さん

 洛南高等学校(京都府) 3年(18歳)

 銀メダル

 馬杉(ますぎ) 和貴(かずき)さん

 洛南高等学校(京都府) 3年(18歳)

 銀メダル

 宿田(しゅくた) 彩斗(あやと)さん

 開成高等学校(東京都) 3年(18歳)

 銀メダル

  平山(ひらやま) 楓馬(ふうま)さん

  灘高等学校(兵庫県) 3年(17歳)

  銅メダル

◆国際数学オリンピックにおける過去3年間の日本代表の成績

2017年(第58回 ブラジル大会)
金メダル2名、銀メダル2名、銅メダル2名
国別順位6位(参加規模:111か国・地域、615名)
2018年(第59回 ルーマニア大会)
金メダル1名、銀メダル3名、銅メダル2名
国別順位13位(参加規模:107か国・地域、594名)
2019年(第60回 イギリス大会)
金メダル2名、銀メダル2名、銅メダル2名
国別順位13位(参加規模:112か国・地域、621名)

◆日本代表団からのコメント

国際数学オリンピック(IMO)は、毎年、2日間に亘って、3問ずつそれぞれ4時間半で合計6問を解くことを競うコンテストです。今年の問題も数学の4分野(代数(A)、組み合わせ(C)、幾何(G)、整数論(N))から、次のように出題されました。
1日目 問題1: G、問題2: A、問題3: C
2日目 問題4: C、問題5: N、問題6: C
問題1は例年通りの平易な幾何の問題で、全員が完答できました。問題2は例年見られないような形の不等式を示す問題で、苦戦した選手も見受けられました。問題3は見た目に反してグラフ理論の性質が本質的に関わる問題でした。問題4は与えられた条件は複雑でしたが、難易度は標準的でした。証明には必要のない条件もあり、戸惑った選手もいました。問題5は見た目がシンプルで、解法もきれいな整数論の問題でした。問題6はソーシャルディスタンスから着想を得て作問された、非常に難しい組み合わせ幾何の問題でした。
両日とも最も難しい問題が組み合わせ論の問題であり、このように分野が偏ることは日本が参加し始めてからは初めてのことでした。
選手たちはよく頑張り、銀メダル5、銅メダル1を獲得し、国別順位は18位で立派な成績を収めました。
 なお、2023 年には、20年ぶりに日本でIMOの 大会が開催されます。今後とも皆様のご支援をお願い申し上げます。
 

◆国際数学オリンピック(IMO=The International Mathematical Olympiad)

国際数学オリンピックは、世界各国・地域の数学的才能に恵まれた若者を見出し、その才能を伸ばすチャンスを与えること、また世界中の数学好きの若者や教育関係者であるリーダーたちが互いに国際交流を深めることを目的として開催されています。
大会の参加資格は、「コンテスト当日20歳未満で大学教育(または、それに類するもの)を受けていないもの」とされており、各国6名まで参加できます。参加者は1日4時間半、各3問の筆記試験を2日間に渡り取組み、その得点合計で競います。成績優秀者にメダルが与えられ、金メダルは参加者の約12分の1、銀メダルは約12分の2、銅メダルは約12分の3が受賞します。
第1回大会は、1959年にルーマニアにおいて、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、旧チェコスロバキア、旧東ドイツ、旧ソ連を招待して開催されました。その後、1980年を除き毎年7月に開催されています。

◆日本数学オリンピック(JMO=Japan Mathematical Olympiad)

日本における国際数学オリンピックへの派遣事業は1988年から企画され、1989年には委員2名が第30回西ドイツ大会を視察し、翌年の第31回北京大会において初めて参加しました。当初、事業の運営母体は任意団体であり、有志の寄付によって運営を行っていました。その後、元協栄生命保険株式会社の故川井三郎名誉会長の寄付及び富士通株式会社、元協栄生命保険株式会社、株式会社アイネスの寄付を基金として、1991年3月に文部省(現在の文部科学省)所管の財団として、財団法人数学オリンピック財団が設立され、派遣事業を行ってきました。
財団は2013年4月から内閣府所管の公益法人数学オリンピック財団となり、現在、この財団により日本数学オリンピックが実施され、毎年、国際数学オリンピックへの代表選手を選抜しています。また、2003年国際数学オリンピックが東京で開催されたのを契機に、中学生以下の大会である日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)が実施されており、若年層の関心とレベルアップを図っています。

◆本参考資料に関するお問い合わせ先

  公益財団法人数学オリンピック財団 事務局 担当:宮下義弘
     TEL 03-5272-9790 Fax 03-5272-9791
   数学オリンピック財団ホームページ

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

小田沙織、伊藤、中島
電話番号:03-6734-4191

公益財団法人数学オリンピック財団

宮下義弘
電話番号:03-5272-9790

(科学技術・学術政策局人材政策課)