学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)

  3文科初第861号

令和3年8月23日

各都道府県教育長
各指定都市教育長
各都道府県知事                                            御中
附属学校を置く各国公立大学法人の長
構造改革特別区域法第12 条第1項の
認定を受けた各地方公共団体の長

文部科学省初等中等教育局長

瀧本 寛

(公 印 省 略)

 

学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)


 
この度、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(令和3年文部科学省令第37号)が、令和3年8月23日に公布され、同日施行されました。
今回の改正は、学校や教員が直面する課題が多様化・複雑化し、学校における働き方改革の推進、GIGAスクール構想の着実な実施、医療的ケアをはじめとする特別な支援を必要とする児童生徒への対応等が喫緊の課題となっていることを踏まえ、こうした課題に対応する学校の指導・運営体制の強化・充実を図るため、学校において教員と連携協働しながら不可欠な役割を果たす支援スタッフとして、医療的ケア看護職員、情報通信技術支援員、特別支援教育支援員及び教員業務支援員について、新たにその名称及び職務内容を規定するものです。
今回の改正の概要及び留意事項は、下記のとおりですので、十分に御了知の上、関係する規定の整備等について、今後、適宜御対応願います。
各都道府県教育委員会におかれては所管の学校及び域内の指定都市を除く市区町村教育委員会に対して、各指定都市教育委員会におかれては所管の学校に対して、各都道府県知事及び構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては所轄の学校及び学校法人等に対して、附属学校を置く各国公立大学法人の長におかれては管下の学校に対して、このことを十分御周知願います。

1 改正の概要
(1)医療的ケア看護職員について
小学校において、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケア(人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為をいう。以下同じ。)を受けることが不可欠である児童(以下「医療的ケア児」という。)の療養上の世話又は診療の補助に従事する医療的ケア看護職員について、その名称及び職務内容を規定するものであること(学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)(以下「施行規則」という。)第65条の2関係)。
(2)情報通信技術支援員について
教育活動その他の学校運営における情報通信技術の活用に関する支援に従事する情報通信技術支援員について、その名称及び職務内容を規定するものであること(施行規則第65条の5関係)。
(3)特別支援教育支援員について
教育上特別の支援を必要とする児童の学習又は生活上必要な支援に従事する特別支援教育支援員について、その名称及び職務内容を規定するものであること(施行規則第65条の6関係)。
(4)教員業務支援員について
教員の業務の円滑な実施に必要な支援に従事する教員業務支援員について、その名称及び職務内容を規定するものであること(施行規則第65条の7関係)。
なお、上記(1)~(4)については、小学校における職員に関する規定に位置付けるとともに、幼稚園、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校に準用させること(施行規則第39条、第79条、第79条の8第1項、第104条第1項、第113条第1項及び第135条第1項関係)。
(5)スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーに関する規定の幼稚園への準用について
スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーに関する規定を幼稚園に準用させること(施行規則第39条、第65条の3及び第65条の4関係)。
(6)施行期日
本省令の施行期日を公布日(令和3年8月23日)としたこと。
2 留意事項
(1)医療的ケア看護職員について
1. 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和3年法律第81号)において、学校に在籍する医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な支援を受けられるようにするため、学校の設置者に対して、看護師等の配置等の措置を講ずることが求められているなど、学校現場への配置の必要性が高まっている医療的ケア看護職員について、医療的ケア児の療養上の世話又は診療の補助に従事する職員として、施行規則第65条の2に規定するものであり、その具体的な職務内容は、主に次のものが考えられること。
・ 医療的ケア児のアセスメント
・ 医師の指示の下、必要に応じた医療的ケアの実施
・ 医療的ケア児の健康管理
・ 認定特定行為業務従事者である教職員への指導・助言
2. 医療的ケア看護職員は、保健師、助産師、看護師、准看護師(以下「看護師等」という。)をもって充てること。
3. 医療的ケア看護職員は、例えば、施行規則第65条の3及び第65条の4で規定する、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと同様、学校に配置される者の名称であり、この度の改正により、看護師等と異なる新たな資格を設けるものではないこと。
4. 医療的ケア看護職員の職務内容として規定される「療養上の世話又は診療の補助」※とは、医療的ケア児に対して、施行規則第65条の2に規定される医療的ケアやそれに関連する業務を行うものであること。
※「療養上の世話又は診療の補助」とは、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)において規定される看護師の業である。
(2)情報通信技術支援員について
1. 情報通信技術支援員は、GIGAスクール構想の推進により、全国の小中学校等において、児童生徒の1人1台端末や高速大容量の通信環境等が整備され、学校への配置の必要性がますます高まっているICT支援員について、教職員の日常的なICT活用の支援に従事する職員として、施行規則第65条の5に規定するものであり、その具体的な職務内容は、ICTを活用した授業支援、校務支援、環境整備支援、校内研修支援等が考えられること。
詳細については、「教育の情報化に関する手引-追補版-(令和2年6月)」第8章第2節を参照のこと。
(参考)「教育の情報化に関する手引」について
「教育の情報化に関する手引」について
2. 国においては、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018年度~2022年度)」において、情報通信技術支援員(ICT支援員)を4校に1人配置することを目標とし、地方財政措置を講じているところであり、各都道府県・指定都市教育委員会等におかれては、その趣旨に鑑み、情報通信技術支援員の配置促進に積極的に努め、GIGAスクール構想の実現、推進を図られたいこと。
(3)特別支援教育支援員について
1. 中央教育審議会答申「「令和の日本型教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」(令和3年1月26日)や「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告」(令和3年1月)においても適切な配置や確保、活用等について報告されるなど学校現場における重要性が高まっている特別支援教育支援員について、教育上特別の支援を必要とする児童の学習又は生活上必要な支援に従事する職員として、施行規則第65条の6に規定するものであり、その具体的な職務内容は、主に次のものが考えられること。
・ 基本的生活習慣確立のための日常生活上の介助
・ 学習支援
・ 学習活動、教室間移動等における介助
・ 健康・安全確保
・ 周囲の児童生徒の障害理解促進
2. 特別支援学校において「介助員」「介助職員」「介護職員」等の名称により既に配置されている職員について、「特別支援教育支援員」の名称を使用することが望ましいが、この度の改正により、当該名称の使用を妨げたり、当該職員の職務内容に変更を加えたりするものではないこと。
(4)教員業務支援員について
1. 教員業務支援員は、中央教育審議会答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」(平成31年1月25日)(以下「働き方改革答申」という。)等において配置の必要性が指摘されているスクール・サポート・スタッフについて、教員の業務の円滑な実施に必要な支援に従事する職員として、施行規則第65条の7に規定するものであり、その具体的な職務内容は、主に次のものが考えられること。
・学習プリントや家庭への配布文書等の各種資料の印刷、配布準備
・採点業務の補助
・来客対応や電話対応
・学校行事や式典等の準備補助
・各種データの入力・集計、掲示物の張替、各種資料の整理等の作業  
また、上記以外の職務内容についても、教員の業務の円滑な実施に必要な支援に該当するものであれば、従事することを妨げるものではなく、例えば、新型コロナウイルス感染症対策のための清掃活動(消毒作業を含む。)や子供の健康観察の取りまとめ作業についても従事可能であること。
2. 教員業務支援員が配置される各学校においては、校長等の管理職が学校組織マネジメントを行い、教員業務支援員が教職員及び様々な支援スタッフ(以下「教職員等」という。)との適切な役割分担の下で、教職員等と連携しながら業務に従事できるよう、勤務の体制や環境等に配意すること。
また、各学校を所管する教育委員会等においては、教員業務支援員が円滑に業務に従事できるよう、例えば、教員業務支援員や教職員等が参照可能な手引やマニュアルの作成、教職員等から教員業務支援員に対して業務を依頼するに当たっての方法の整理等により、各学校における教員業務支援員の活用を支援すること。
3. 今般規定する教員業務支援員については、各都道府県・指定都市教育委員会等において、従前から独自の名称を使用している場合があるところ、今後、教員業務支援員の名称を使用することが望ましいが、当該独自の名称を使用することを妨げるものではないこと。
4. 働き方改革答申において、これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務について、「基本的には学校以外が担うべき業務」、「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」、「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」に整理され、文部科学省においては、「学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)」(平成31年3月18日付け30文科初第1497号文部科学事務次官通知)等により、各業務の役割分担・適正化のために必要な取組の実施をお願いしているところ、教員業務支援員が担う業務については、主に「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」に含まれるものであり、各業務の役割分担・適正化に係る取組を一層推進する観点からも、教員業務支援員の積極的な配置促進を図られたいこと。
また、「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)」(令和2年7月17日付け2初初企第14号文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長・財務課長通知)により、教諭等の標準的な職務の明確化を図り、教諭等がその専門性を発揮し本来の職務に集中できるような環境の整備についてお願いしているところ、こうした取組の一層の推進のためにも、教員業務支援員の積極的な配置促進が有効であること。
(5)幼稚園におけるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの活用について
1. 幼稚園におけるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの活用に当たっては、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における留意事項等を示した「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行等について(通知)」(平成29年3月31日付け28文科初第1747号文部科学省初等中等教育局長通知)を踏まえつつ、多様な背景を持つ家庭や幼児の発達の課題に対応する観点に留意すること。
2. 幼稚園においてスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーを活用する際には、地域の小中学校に配置されているスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーや、幼児教育アドバイザー等を含む自治体における幼児教育推進体制等との連携に留意すること。


学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)(3文科初第861号)
学校教育法施行規則の一部を改正する省令(令和3年文部科学省令第37号)


【本件連絡先】
(医療的ケア看護職員及び特別支援教育支援員関係)
文部科学省初等中等教育局
特別支援教育課企画調査係
TEL:03-5253-4111(内線3193)

(情報通信技術支援員関係)
文部科学省初等中等教育局
情報教育・外国語教育課 情報教育振興室
TEL:03-5253-4111(内線2702)

(教員業務支援員関係)
文部科学省初等中等教育局
財務課校務調整係
TEL:03-5253-4111(内線2587)

(幼稚園におけるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーに関する規定関係)
文部科学省初等中等教育局
幼児教育課企画係
TEL:03-5253-4111(内線3136)

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

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