学校教育法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について(通知)

  2文科初第2124号

令和3年3月31日

各都道府県教育長
各指定都市教育長
各都道府県知事                                            御中
附属学校を置く各国公立大学法人の長
構造改革特別区域法第12 条第1項の
認定を受けた各地方公共団体の長

文部科学省初等中等教育局長

瀧本 寛

(公 印 省 略)

 

学校教育法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について(通知)


 この度、別添1のとおり学校教育法施行規則等の一部を改正する省令(令和3年文部科学省令第14号。以下「改正省令」という。)が、別添2のとおり高等学校学習指導要領の一部を改正する告示(令和3年文部科学省告示第61号。以下「改正告示」という。)が、別添3のとおり中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校の教育課程の基準の特例を定める件及び連携型中学校及び連携型高等学校の教育課程の基準の特例を定める件の一部を改正する告示(令和3年文部科学省告示第62号)が、それぞれ令和3年3月31日に公布されました。

これら省令及び告示は、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」(令和3年1月26日中央教育審議会答申)、「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(審議まとめ)~多様な生徒が社会とつながり、学ぶ意欲が育まれる魅力ある高等学校教育の実現に向けて~」(令和2年11 月13日中央教育審議会初等中等教育分科会新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会新しい時代の高等学校教
育の在り方ワーキンググループ。以下「高校ワーキンググループ審議まとめ」という。)及び「通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(審議まとめ)」(令和3年2月25日通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議)において、高等学校の特色化・魅力化や、高等学校通信教育の質保証等に向けた方策が提言されたことを踏まえ、所要の規定を整備するものです。

これら省令及び告示の概要及び留意すべき事項は下記のとおりですので、十分御了知いただき、その運用に当たっては遺漏なきようお取り計らいください。
各都道府県教育長におかれては所管の高等学校等(高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部をいう。以下この文において同じ。)及び高等学校等を設置する域内の市区町村教育委員会(指定都市教育委員会を除く。)に対し、各指定都市教育長におかれては所管の高等学校等に対し、各都道府県知事におかれては所轄の高等学校等及び学校法人に対し、附属学校を置く各国公立大学法人の長におかれては附属の高等学校等に対し、構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体(以下「認定地方公共団体」という。)の長におかれては所轄の高等学校等及び学校設置会社に対し、本通知の趣旨について十分御周知いただくようお願いします。

 

                                                                                                   記
 

第1 改正の概要

1 高等学校の特色化・魅力化関係
(1) 高等学校における三つの方針の策定・公表(学校教育法施行規則(昭和22 年文部省令第11号。以下「施行規則」という。)の一部改正)
① 高等学校は、高等学校学習指導要領に定めるところにより育成を目指す資質・能力に関する方針、教育課程の編成及び実施に関する方針及び入学者の受入れに関する方針(以下「三つの方針」という。)を定め、公表するものとすること。(施行規則第103 条の2関係)
② 上記①の規定は、入学者の受入れに関する方針を除き、中等教育学校の後期課程において準用すること。(施行規則第113 条第3項関係)

(2) 高等学校と関係機関等との連携協力体制の整備(高等学校設置基準(平成16 年文部科学省令第20 号。以下「設置基準」という。)の一部改正)高等学校は、各学科に係る三つの方針を踏まえ、当該学科における教育活動その他の学校運営を行うに当たり、当該高等学校が所在する地域の行政機関、事業者、大学等、国の機関、国際機関その他の関係機関及び関係団体との連携協力体制の整備に努めなければならないこと。(設置基準第19 条関係)

(3) 高等学校における「普通教育を主とする学科」の弾力化(設置基準及び高等学校学習指導要領(平成30 年文部科学省告示第68 号。以下「指導要領」という。)の一部改正)
① 高等学校の普通教育を主とする学科は普通科とされていたが、新たに普通科その他普通教育を施す学科として適当な規模及び内容があると認められる学科とすること。(設置基準第6条第1項関係)
② 高等学校の学科の名称は、学科として適当であるとともに、当該学科に係る三つの方針にふさわしいものとすること。(設置基準第6条の2関係)
③ 普通科以外の普通教育を主とする学科における各教科・科目等の履修については以下のとおりとすること。(指導要領第1章第2款の3の(2)のイ関係)
(a) 各学科に係る三つの方針を踏まえ、各学科の特色等に応じた目標及び内容を定めた学校設定教科に関する科目を設け、当該科目については全ての生徒に2単位以上履修させること。
(b) 上記(a)の学校設定教科に関する科目及び総合的な探究の時間を合計6単位以上履修させること。
(c) 上記(a)の学校設定教科に関する科目又は総合的な探究の時間を、原則として各年次にわたり履修させること。その際、当該科目及び総合的な探究の時間について相互の関連を図り、系統的、発展的な指導を行うことに特に意を用いること。
④ 普通教育を主とする学科のうち、学際的な分野に関する学校設定教科に関する科目を開設する学科(以下「学際領域に関する学科」という。)を置く高等学校は、大学等、国の機関又は国際機関その他の国際的な活動を行う国内外の機関若しくは団体との連携協力体制を整備するものとすること。(設置基準第20 条第1項関係)
⑤ 普通教育を主とする学科のうち、地域社会に関する学校設定教科に関する科目を開設する学科(以下「地域社会に関する学科」という。)を置く高等学校は、当該高等学校が所在する地域の行政機関又は事業者その他の地域の活性化に資する活動を行う機関若しくは団体との連携協力体制を整備するものとすること。(設置基準第21 条第1項関係)
⑥ 学際領域に関する学科又は地域社会に関する学科を置く高等学校は、上記④及び⑤の連携協力体制の整備に関し、関係機関及び関係団体との連携協力が円滑に行われるよう、連絡調整を行う職員の配置その他の措置を講ずるよう努めるものとすること。(設置基準第20 条第2項及び第21 条第2項関係)

(4) 施行期日及び経過措置
① 上記1(1)から(3)までの改正は、令和4年4月1日から施行すること。(改正省令附則第1条関係)
② 上記1(1)の改正に関し、改正省令の施行の日から令和7年3月31 日までの間は、高等学校の設置者が、特別の事情があり、かつ教育上支障がないと認める場合には、高等学校は、同条各号に掲げる方針を定め、公表することを要しないこと。(改正省令附則第3条関係)

2 高等学校通信教育の質保証関係
(1) 教育課程の編成・実施の適正化(高等学校通信教育規程(昭和37 年文部省令第32 号。以下
「通信教育規程」という。)の一部改正)
① 通信制の課程を置く高等学校(以下「実施校」という。)の校長は、通信教育の実施に当たっては、次に掲げる事項を記載した計画(以下「通信教育実施計画」という。)を作成し、生徒に対して、あらかじめ明示するものとすること。(通信教育規程第4条の3関係)
(a) 通信教育を実施する科目等の名称及び目標に関すること。
(b) 通信教育を実施する科目等ごとの通信教育の方法及び内容並びに一年間の通信教育の計画に関すること。
(c) 通信教育を実施する科目等ごとの学習の成果に係る評価及び単位の修得の認定に当たっての基準に関すること。
② 同時に面接指導を受ける生徒数は、少人数とすることを基本とし、40 人を超えてはならないこと。(通信教育規程第4条の2関係)
③ 多様なメディアを利用して行う学習を計画的かつ継続的に取り入れ、面接指導等の時間数の一部を免除しようとする場合には、添削指導及び面接指導との関連を図り、指導要領第1章第3款の2「学習評価の充実」に示す事項に配慮しながら、本来行われるべき学習の量と質を低下させることがないよう十分配慮しなければならないこと。(指導要領第1章第2款の5の(5)関係)
④ 試験は、各学校において、各教科・科目の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元など内容や時間のまとまりを見通しながら、各教科・科目の履修につき適切な回数を確保した上で、添削指導及び面接指導との関連を図り、その内容及び時期を適切に定めなければならないこと。(指導要領第1章第2款の5の(6)関係)

(2) サテライト施設の教育水準の確保(施行規則及び通信教育規程の一部改正)
① 実施校の設置者は、通信教育連携協力施設(当該実施校の行う通信教育について連携協力を行う次に掲げる施設をいう。以下同じ。)を設けることができること。この場合において、当該通信教育連携協力施設が他の設置者が設置するものであるときは、実施校の設置者は、当該通信教育連携協力施設の設置者の同意を得なければならないこと。(通信教育規程第3条第1項関係)
(a) 面接指導又は試験等の実施について連携協力を行う施設(以下「面接指導等実施施設」という。)
(b) 生徒の進路選択及び心身の健康等に係る相談、添削指導に附帯する事務の実施その他の学習活動等の支援について連携協力を行う施設であって、面接指導等実施施設以外のもの(以下「学習等支援施設」という。)
② 面接指導等実施施設は、実施校の分校又は協力校であることを基本とすること。ただし、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、大学、専修学校、指定技能教育施設(学校教育法第55 条の規定による指定を受けた技能教育のための施設をいう。以下同じ。)その他の学校又は施設を面接指導等実施施設とすることができること。(通信教育規程第3条第2項関係)
③ 面接指導等実施施設の編制、施設及び設備は、当該面接指導等実施施設に係る学校又は施設の種類、連携協力の内容及びその定員その他の事情を勘案し、通信教育規程第5条から第10 条までに定める基準に照らして、面接指導又は試験等の実施について適切に連携協力を行うことができるものでなければならないこと。(通信教育規程第10 条の2第1項関係)
④ 学習等支援施設の施設及び設備等は、教育上及び安全上支障がないものでなければならないこと。(通信教育規程第10 条の2第2項関係)
⑤ 実施校の設置者は、通信教育連携協力施設が上記③及び④の基準に適合することについて、確認を行うものとすること。この場合において、当該通信教育連携協力施設が実施校の存する都道府県の区域外に所在するときは、その所在地の都道府県知事が定める高等学校の通信制の課程の設置の認可に係る基準(当該基準が定められていないとき又は公表され
ていないときは除く。)を参酌して当該確認を行わなければならないこと。(通信教育規程第10 条の2第3項関係)
⑥ 通信教育連携協力施設の施設及び設備を使用する場合並びに通信教育規程第9条第4項に規定する場合のほか、実施校は、特別の事情があり、かつ、教育上及び安全上支障がない場合は、他の学校等の施設及び設備を一時的に使用することができること。(通信教育規程第11 条関係)
⑦ 実施校の学則中に、通信教育連携協力施設に関する事項を記載しなければならないこと。また、広域の通信制の課程を置く高等学校について、学則の記載事項のうち当該事項に係る変更を行う場合には、学校教育法第54 条第3項及び学校教育法施行令第24 条の2第4号の規定に基づき文部科学大臣に届け出なければならないこと。(施行規則第4条第2項第2号及び第16 条第1項関係)
⑧ 実施校の設置者は、実施校の通信制の課程に係る収容定員のうち、通信教育連携協力施設ごとの定員を学則で定めるものとすること。また、通信教育連携協力施設ごとの定員に係る学則変更の認可申請又は届出は、それぞれ認可申請書又は届出書に、施行規則第5条第2項の書類のほか、経費の見積り及び維持方法を記載した書類並びに当該変更後の定員に必要な校地校舎等の図面を添えてしなければならないこと。(通信教育規程第4条第2項及び施行規則第5条第3項関係)

(3) 主体的な学校運営改善の徹底(通信教育規程の一部改正)
① 実施校は、通信教育連携協力施設ごとに、当該通信教育連携協力施設における連携協力に係る活動の状況について評価を行い、その結果を公表するものとすること。また、当該結果を踏まえた当該通信教育連携協力施設において通信教育を受ける生徒の保護者その他の当該通信教育連携協力施設の関係者による評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとすること。(通信教育規程第13 条第1項及び第2項関係)
② 実施校は、上記①の評価結果を当該実施校の設置者に報告するとともに、当該通信教育連携協力施設における連携協力に係る活動の改善を図るため必要な措置を講ずるものとすると。(通信教育規程第13 条第3項関係)
③ 実施校は、次に掲げる教育活動等の状況(以下(d)から(e)までに掲げる事項にあっては、通信教育連携協力施設ごとの当該教育活動等の状況を含む。)についての情報を公表するものとすること。(通信教育規程第14 条第1項関係)
(a) 学科の組織並びに学科及び通信教育連携協力施設ごとの定員に関すること。
(b) 通信教育を行う区域に関すること。
(c) 通信教育連携協力施設ごとの名称及び位置に関すること。
(d) 教員及び職員の数その他教職員組織に関すること。
(e) 入学、退学、転学、休学及び卒業に関すること(入学者の数、在籍する生徒の数、退学若しくは転学又は卒業した者の数並びに進学者数及び就職者数その他進学及び就職等の状況を含む。)。
(f) 通信教育実施計画に関すること。
(g) 校地、校舎等の施設及び設備その他の生徒の教育環境に関すること。
(h) 授業料、入学料その他の費用徴収に関すること。
(i) 生徒の学習活動、進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること。
④ 上記③の情報の公表は、適切な体制を整えた上で、刊行物への掲載、インターネットの利用その他広く周知を図ることができる方法によって行うものとすること。(通信教育規程第14 条第2項関係)

(4) 施行期日及び経過措置
① 上記2(1)から(3)までの改正は、令和4年4月1日から施行すること。(改正省令附則第1条関係)
② 通信制の課程を置く高等学校において同時に面接指導を受ける生徒数については、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合に限り、なお従前の例によることができること。(改正省令附則第2条関係)
③ 改正省令の施行の際現に存する通信制の課程を置く高等学校の学則については、改正省令の施行の日以後最初に学校教育法施行規則第5条第1項の学則変更についての認可申請がなされる日又は令和5年3月31 日のいずれか早い日までの間は、なお従前の例によることができること。(改正省令附則第4条関係)

3 多様な学習ニーズへの対応関係
(1) 学校間連携及び定通併修の対象拡大(施行規則及び通信教育規程の一部改正)
① 生徒が在学する高等学校以外の高等学校又は中等教育学校の後期課程において科目の単位を修得した場合に、当該修得した単位数を当該生徒の在学する高等学校が定めた全課程の修了を認めるに必要な単位数のうちに加えることができる制度(以下「学校間連携」という。)については、その対象が科目の単位に限られていたが、総合的な学習の時間の単位をその対象に加えること。(施行規則第97 条第1項及び第2項関係)
② 通信教育規程第12 条についても、上記①と同旨の改正を行うこと。(通信教育規程第12条第1項、第2項及び第3項関係)

(2) 少年院における矯正教育の単位認定(施行規則の一部改正)
高等学校の校長は、教育上有益と認めるときは、当該校長の定めるところにより、少年院法(平成26 年法律第58 号)の規定による矯正教育で高等学校学習指導要領の定めるところに準じて修得したと認められるものに係る学修(当該生徒が入学前に行ったものを含む。)
を、当該生徒の在学する高等学校における科目の履修とみなし、当該科目の単位を与えることができること。(施行規則第100 条第3号関係)

(3) 単位制の課程における教育課程に関する情報の公表(単位制高等学校教育規程(昭和63 年文部省令第6号。以下「単位制規程」という。)の一部改正)
① 高等学校の単位制による課程(学年による教育課程の区分を設けない全日制の課程、定時制の課程及び通信制の課程をいう。以下同じ。)においては、そのうち定時制の課程及び通信制の課程について、多様な科目を開設するよう努めるものとされているが、全日制についても多様な科目を開設するよう努めるものとすること。(単位制規程第6条第1項関係)
② 単位制による高等学校を置く高等学校の設置者は、当該高等学校が単位制による課程を置くものであることを明示するものとすること。(単位制規程第10 条第1項)
③ 単位制による課程のうち全日制の課程又は定時制の課程であるものを置く高等学校の設置者は、教育課程に関する情報を公表するものとすること。(単位制規程第10 条第2項)
④ 上記②の明示及び③の情報の公表は、刊行物への掲載、インターネットの利用その他広く周知を図ることができる方法によって行うものとすること。(単位制規程第10 条第3項)

(4) 施行期日
上記3(1)及び(2)の改正は令和3年4月1日から、上記3(3)の改正は令和4年4月1日から、それぞれ施行すること。(改正省令附則第1条関係)

4 中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部への準用その他
① 上記1から3までの改正(1(1)のうち入学者の受入れに関する方針に関することを除く。)は、中等教育学校の後期課程に準用すること。(施行規則第113 条関係)
② 上記3(1)①、(2)及び(3)の改正は、特別支援学校の高等部に準用すること。(施行規則第135 条関係)
③ その他所要の規定の整備を行うこと。

第2 留意事項

1 高等学校に期待される社会的役割等の再定義及び三つの方針の策定・公表について
(1) 各設置者においては、その設置する高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。以下第2の1から4及び8において同じ。)が三つの方針を策定する前提として、各高等学校やその立地する市区町村等と連携しつつ、各高等学校に期待される社会的役割等(いわゆる「スクール・ミッション」。)を再定義することが望まれること。その際、以下の事項について留意すること。
① 当該社会的役割等は、在籍する生徒及び教職員その他の学校内外の関係者に対して分かりやすく当該高等学校の役割や教育理念を示すものとなるよう再定義することが望ましいこと。その際、各高等学校間のいわゆる学力差を固定化・強化するものとならないように十分配慮すること。
② 当該社会的役割等の再定義は、各地域や高等学校の実情等を踏まえ、各設置者において適切な時機を捉えて行うことが望まれること。
③ 当該社会的役割等の策定単位は、高等学校全体とすることが基本であるが、当該高等学校の一体的な運営に配慮しながら学科並びに全日制の課程、定時制の課程及び通信制の課程(以下単に「課程」という。)を策定単位にすることも考えられること。

(2) 三つの方針(いわゆる「スクール・ポリシー」。)は、高等学校教育の入学者選抜時から卒業時までの教育活動を一貫した体系的なものに再構成するとともに、教育活動の継続性を担保するために作成するものであり、形式的ではなく内容の伴う記述であること、三つの方針を相互に関連して整合性のあるものとして作成することが望まれること。なお、各方針において定めることが求められる内容は以下のとおりであること。
① 「高等学校学習指導要領に定めるところにより育成を目指す資質・能力に関する方針」(以下「育成を目指す資質・能力に関する方針」という。いわゆる「グラデュエーション・ポリシー」。)は、各高等学校に期待される社会的役割等に基づき、生徒の卒業後の姿を見据えて、学校教育活動を通じて生徒にどのような資質・能力を育成することを目指すのかを定める基本的な方針となるもの。
② 「教育課程の編成及び実施に関する方針」(いわゆる「カリキュラム・ポリシー」。)は、育成を目指す資質・能力に関する方針を達成するために、どのような教育課程を編成し、実施し、学習評価を行うのかを定める基本的な方針となるもの。
③ 「入学者の受入れに関する方針」(いわゆる「アドミッション・ポリシー」。)は、各高等学校に期待される社会的役割等や、育成を目指す資質・能力に関する方針と教育課程の編成及び実施に関する方針に基づく教育内容等を踏まえ、入学時に期待される生徒像を示す基本的な方針となるもの。

(3) 三つの方針の策定単位は、教育課程編成の基本的単位である学科又は課程とすることが基本であること。ただし、複数の学科や課程をまとめて策定単位とすることや、当該高等学校全体を策定単位にすることも妨げられないこと。また、三つの方針の運用上の名称は各設置者及び各高等学校において定めることが可能であること。

(4) 各高等学校においては、策定した三つの方針を起点としたカリキュラム・マネジメントを行い、各教育活動が組織的かつ計画的に実施され、改善が図られることや、教育活動や業務内容の重点化等が図られることが強く期待されること。各設置者においては、各高等学校における三つの方針の効果的な策定及び運用を推進するための指導及び助言並びに支援が期待されること。

(5) 中等教育学校の後期課程においては、生徒がその前期課程修了後に同一の学校内で進級するという性質を有するものであるため、入学者の受入れに関する方針を定めることは改正省令において定められていないこと。一方で、前期課程の生徒に対して、後期課程への進級時に期待される生徒像を示すことも各中等教育学校における指導上の工夫として考えられること。
また、中等教育学校の後期課程だけでなく、前期課程から後期課程までを通した三つの方針を策定することも指導上の工夫として考えられること。

(6) 上記(1)から(5)のほか、各高等学校の社会的役割等の再定義並びに三つの方針の策定及び運用に際しては、高校ワーキンググループ審議まとめ第3章1(3)及び(4)も参考の一つとして取り扱うこと。

2 高等学校と関係機関等との連携協力体制の整備について
(1) 各高等学校において連携・協働を行う関係機関等を検討する際には、各高等学校の三つの方針等を踏まえ、特色・魅力ある教育を行うために必要な体制を整備する観点から検討を行うことが望まれること。

(2) 関係機関等との連携協力体制を整備するに当たっては、関係機関等との連絡調整業務を校務分掌として特定の教職員に担わせることが考えられるが、その場合であっても、当該担当教職員のみが関係機関等との連携協力体制の整備に関わるのではなく、校長及び管理職等のリーダーシップの下で組織的に対応することや、設置者による積極的な支援及び関与が必要であること。また、いわゆるコーディネーターを配置することを含め、教職員以外の者が関係機関等との連絡調整を担うことも考えられるが、その場合には、責任体制等を明確にする必要があること。

(3) 大学等との連携・協働を行う場合には、施行規則第98 条に規定する生徒が在学する高等学校における学修以外の学修について在学校の科目の履修とみなして単位を与える制度の活用も考えられること。その際、「高等学校等における学校外学修の単位認定について」(29 初初企第4 号 平成29 年5 月9 日付け文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長通知)も参照すること。

3 高等学校における「普通教育を主とする学科」の弾力化について
(1) 設置基準第6条第1項に規定するその他普通教育を施す学科として適当な規模及び内容があると認められる学科(以下「新学科」という。)については、第20 条第1項に規定する学際領域に関する学科及び第21 条第1項に規定する地域社会に関する学科が主として想定されるが、どのような学科を設置するかについては、各設置者において各地域や高等学校の実情等を
踏まえて適切に判断すること。また、学際領域に関する学科及び地域社会に関する学科の両者の特徴を併せ持つ学科を設置することも可能であること。

(2) 設置基準第6条第1項に規定する「適当な規模及び内容」については、高等学校段階において普通教育として施す内容が指導要領の内容に照らし合わせて適当な教育内容となっているか、また、効果的な教育を行う上で適当な生徒定員となっているか等について、設置認可権者が適切に判断するものであること。

(3) 新学科の名称は、設置基準第6条の2の規定を踏まえつつ、学校外の関係者、とりわけ高等学校への進学を希望する中学生が当該学科における教育内容を容易に想起しうるものとすることが重要であること。なお、大学受験を目的としているかのような学科の名称は適切ではないこと。

(4) 新学科における教育課程の編成及び実施に際しては、以下の点に留意すること。
① 各学科に共通する各教科・科目の学びを基盤に置きつつ、学校設定教科に関する科目を含めた各教科・科目及び総合的な探究の時間を相互に関連付けながら教育課程全体として当該学科の特色等に応じた教育課程の編成及び実施に取り組むこと。
② 学校設定教科に関する科目において社会的課題等に関連した内容を取り扱う場合に、総合的な探究の時間において当該社会的課題等を踏まえた目標を設定し、その内容として目標を達成するにふさわしい探究課題を設定するなど、当該学校設定教科に関する科目と総合的な探究の時間については、特にその相互の関連性に留意し、系統的、発展的な指導を行うよう配意すること。
③ 指導要領第1章第2款の3の(3)のコの規定は新学科についても適用され、理数の「理数探究基礎」又は「理数探究」の履修によって総合的な探究の時間の履修と同様の成果が期待場合においては、指導要領第1章第2款の3の(2)のイの(イ)及び(ウ)の規定に基づく総合的な探究の時間の履修についても、「理数探究基礎」又は「理数探究」の履修をもって替えることができること。

(5) 新学科に係る校内体制及び関係機関等との連携協力体制については、以下の点に留意すること。なお、これらの点については新学科において特に重要と考えられるものであるが、普通科や専門教育を主とする学科、総合学科においても共通的に重要な点であること。
① 校長及び管理職等のリーダーシップの下、全ての教職員が協力してカリキュラム・マネジメントに取り組むことが必要であること。その際、各高等学校に期待される社会的役割等や各高等学校の三つの方針について全ての教職員の間で共通理解を図ることが重要であること。
② 新学科における学校設定教科に関する科目の指導においては、当該科目における学習内容と関連性の高い教科の免許状を有する教師を中心にしながら、当該教科・科目の学習内容に関連する専門性を有する外部人材の助力を得て指導することが重要であること。
③ 学際領域に関する学科及び地域社会に関する学科においては、関係機関等との連携協力体制を整備するため、高等学校の教職員が校務分掌として当該機関等との連絡調整業務を担うことのみならず、いわゆるコーディネーターを配置し、教職員以外の者が関係機関等との連絡調整を担うことも考えられるが、その場合には、責任体制等を明確にする必要があること。
④ 地域社会に関する学科においては、地域社会との連携を進める観点から、学校運営協議会を設置し、地域社会の参画・協力を得て学校運営を行うことが望まれること。また、設置基準第21 条第2項に規定する連携協力体制については、学校運営協議会と地域学校協働本部が有機的に連携し、学校設定教科に関する科目の開設及び実施その他の学校運営の円滑かつ効果的な実施に向けた取組を行っている場合も含まれること。

(6) 上記(1)から(5)のほか、新学科の設置及びその教育活動その他の学校運営に関しては、高校ワーキンググループ審議まとめ第3章2(1)も参考の一つとして取り扱うこと。

4 高等学校通信教育の質保証について
(1) 教育課程の編成・実施の適正化に際しては、以下の点に留意すること。
① 通信教育実施計画の作成に当たっては、通信教育規程第4条の3各号に掲げる事項がそれぞれ容易に理解できるよう記載されている必要があること。例えば、通信教育規程第4条の3第2号に掲げる「通信教育の方法及び内容並びに一年間の通信教育の計画」としては、通信教育規程第2条第1項及び第2項の規定に基づき、添削指導、面接指導及び試験並びに多様なメディアを利用した指導等の方法で区分した上で、その実施回数等に応じながら、取り扱う単元などの具体的な実施内容を記載するとともに、添削課題の提出日、面接指導の実施日及び試験の実施日並びに報告課題の提出日などの具体的な年間計画を記載するなど、容易に理解できるよう工夫して記載するものとすること。
② 通信教育実施計画の作成に当たっては、通信教育規程第3条の規定により通信教育連携協力施設を設ける場合には、通信教育規程第4条の3各号に掲げる事項に関する当該通信教育連携協力施設ごとの連携協力に係る活動の状況について、容易に理解できるよう記載されている必要があること。例えば、実施校と通信教育連携協力施設とで面接指導等の実施日が異なる場合には、当該通信教育連携協力施設で面接指導等を受けることを予定する生徒に対して、当該通信教育連携協力施設において実施される面接指導等の一年間の計画等が容易に理解できるよう記載し、明示するものとすること。
③ 通信教育実施計画の作成に当たっては、学校教育法等の関係法令に則って、高等学校として実施する高等学校通信教育と、正規の教育課程ではない教育活動(いわゆる「通学コース」。)とは明確に区別されるものであり、渾然一体となって記載されることがないようにすること。
④ 通信教育実施計画については、通信教育規程第4条の3の規定に基づき、生徒に対して、あらかじめ明示するものとするとともに、通信教育規程第14 条第1項第6号及び同条第2項の規定に基づき、広く一般に公開するものとすること。例えば、刊行物の掲載、学校ホームページを活用したインターネットの利用等の方法が考えられること。
⑤ 面接指導は、通信教育規程第4条の2の規定により、個々の生徒に応じたきめ細かな指導が行えるよう、少人数で行うことを基本とすること。具体的には、各学校や生徒の実態等を踏まえ、面接指導の意義及び役割を十分に発揮できるよう、各教科・科目等の特質に応じて適切に設定するべきものであり、同時に面接指導を受ける生徒数は、多くとも40 人を超えない範囲内で設定すること。
⑥ 多様なメディアを利用して行う学習を計画的かつ継続的に取り入れ、面接指導等の時間数の一部を免除しようとする場合には、本来行われるべき学習の量と質を低下させることがないよう、免除する時間数に応じて報告課題等の作成を求めるなど、高等学校教育として必要とされる学習の量と質を十分に確保すること。その際には、生徒の多様な状況に留意しつつ、観点別学習状況の評価が可能となるようその報告課題等の作成を求めるなどすること。
⑦ 試験は、添削指導及び面接指導等における学習成果の評価とあいまって、単位を認定するために個々の生徒の学習状況等を測るための手段として重要な役割を担うものであり、各教科・科目等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、添削指導及び面接指導等の内容と十分関連付けて、その内容及び時期を適切に定めることとすること。例えば、1科目20 分で実施することや、学期末以外の時期に行われる集中スクーリング(合宿等を伴って特定時期に集中的に行う面接指導をいう。以下同じ。)において試験を実施することなどは適切ではないこと。

(2) サテライト施設の教育水準の確保に際しては、以下の点に留意すること。
① 面接指導等実施施設は、実施校の分校又は協力校であることを基本とすること。ただし、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、大学、専修学校、指定技能教育施設その他の学校又は施設とすることができること。具体的に、「特別の事情」がある場合としては、例えば、生徒の通学可能区域に本校がなく、かつ、実施校の分校又は協力校を設けることができない等の場合などが考えられること。また、面接指導等実施施設として他の学校又は施設を使用して、添削指導、面接指導、多様なメディアを利用した学習を取り入れた指導、試験及び生徒の履修状況の把握や確認その他生徒の成績評価や単位認定等に関わる業務を行う場合には、実施校の身分を有しない通信教育連携協力施設の職員に実施させることなく、実施校の身分を有する教職員が責任を持って行うこととすること。
② 通信教育規程第10 条の2第3項に定める「通信教育連携協力施設を設ける場合」とは、新たな通信教育連携協力施設の設置と設置後の維持運営を併せ持つ意味であることから、通信教育連携協力施設が同条第1項及び第2項に定める基準に適合することについて、通信教育連携協力施設を新たに設ける場合に確認を行うとともに、設けた後も当該基準に従って適切に維持管理されていることの確認を行うべきであること。また、通信教育連携協力施設を設けた後に、通信教育規程第4条第2項に規定する通信教育連携協力施設ごとの定員を変更しようとする場合においても、同様に確認を行うこととすること。
③ 私立の実施校の設置者にあっては、通信教育規程第10 条の2第3項に規定する確認を行うに当たって、同条第1項及び第2項の規定を踏まえて所轄庁である都道府県又は認定地方公共団体が具体に定める認可基準を順守して、適切な教育環境が備わっていることを確認するものとすること。また、その具体的な確認内容及び確認結果については、所轄庁である都道府県又は認定地方公共団体からの求めに応じてすみやかに提出することができるよ
う、適切に保存及び管理すること。
④ 面接指導等実施施設における教育課程の適切な編成・実施が可能となるよう、その教育環境の確保に当たっては、当該面接指導等実施施設において面接指導等の実施に連携協力を行う各教科・科目等に応じて、例えば、保健体育等での実技、理科や家庭等での観察・実験や実習等が十分に実施することができるよう、実施校と同様に、面接指導等の実施に必要な実験・実習等のための施設及び設備や、保健体育の面接指導等の実施に必要な運動場等を確保することとすること。
⑤ 通信教育連携協力施設の教育環境の確保に当たっては、多様な生徒の実態を踏まえ、例えば保健室の整備や養護教諭等の配置を行うなど、生徒にとって安心・安全な居場所を提供することができるものとすること。

(3) 主体的な学校運営改善の徹底に際しては、以下の点に留意すること。
① 通信教育規程第13 条に定める通信教育連携協力施設における連携協力の状況の評価を行うに当たっては、実施校と同様に、「学校評価ガイドライン〔平成28 年改訂〕」(平成28 年3 月22 日、文部科学省作成)等を踏まえるとともに、実施校による各通信教育連携協力施設への実地調査の実施や連絡会議の開催等を通じて、少なくとも1 年度間に1 回は行うことを基本とすること。
② 通信教育規程第14 条に定める情報の公表に当たっては、公的な教育機関として社会への説明責任を果たし、外部から適切な評価を受けながら教育水準の向上を図る観点から、例えば、学校ホームページにおいて情報の公表を目的とするウェブページを設けて、同条第1項各号に掲げる事項等を体系的に整理して発信するなど、分かりやすく周知することができるよう工夫して公表するものとすること。

(4) 「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)について、今般の改正に伴い、上記(1)から(3)までの留意事項を加えるとともに、「通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(審議まとめ)」(令和3年2月25日通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議)等を踏まえ、高等学校通信教育の質保証を図る観点から、以下の点について明確化するなど、改めて整理することとしたこと。具体的に、ガイドラインの一部改訂に係る新旧対照表及び改訂後のガイドラインの全文については、別添4及び別添5を参照いただきたいこと。
① 面接指導は、指導要領に規定される各教科・科目等の目標及び内容を踏まえ、計画的かつ体系的に指導することが必要であるとともに、とりわけ特別活動や総合的な探究の時間は、不適切な運用も多く見受けられることから、指導要領に規定される目標及び内容に改めて留意した上で、適切に実施すべきであることを明確化したこと。
② 集中スクーリングの実施を計画する場合には、生徒及び教職員の健康面や指導面の効果を考慮して、例えば8時30 分から17 時15 分までとしたり、多くとも1日当たり8単位時間までを目安に設置したりするなど、1日に実施する面接指導の時間数を適切に定めること(なお、オリエンテーションなどの面接指導以外の活動をその時間の前後に位置付けることを妨げるものではないが、生徒及び教職員の健康面には十分に配慮すべきであること。)を明確化したこと。
③ 不登校経験や中途退学その他多様な課題を抱える生徒の実態等を踏まえ、きめ細かな支援の充実に努めることが重要であるところ、例えば養護教諭、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置するなどの対応が考えられることを明確化したこと。
④ 学校に在籍しながら履修登録を行わない生徒や、履修登録しているにも関わらず、添削課題への取組や面接指導への参加が困難な生徒に対しては、個々の実情に応じ、適切な指導又は支援を行うよう努めることが重要であるところ、例えば生徒や保護者等への面談や電話かけ等を行うなどの対応が考えられることを明確化したこと。
⑤ 外部の専門家を中心とした評価者による第三者評価の実施により、学校が自らの状況を客観的に見ることができるようになるとともに、専門的な分析や助言によって、学校運営や教育活動等の適正化に資するものとなることに加え、学校の優れた取組や、学校の課題とこれに対する改善方策等が明確となり、学校の活性化や信頼される魅力ある学校づくりにつながることが期待されるものであることから、主体的な学校運営改善の実現に向けた有効な手段として、学校の実情に応じ、第三者評価を活用することが考えられるものであることを明確化したこと。

5 学校間連携及び定通併修の対象拡大について
(1) 学校間連携を活用する場合は、両校において教育内容をあらかじめ確認し、生徒が在学する高等学校等(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む。以下第2の5から7において同じ。)において定める卒業に必要な単位数のうちに加えるに足る学習内容であるかについて、当該高等学校等において判断する必要があること。

(2) 学校間連携による授業の履修は、主として生徒が履修を希望する科目等が当該生徒の在学する高等学校等において開設されていない場合に行われることが考えられるが、当該高等学校等において開設されている科目等について、学校間連携によってより専門性の高い授業や特色のある授業を履修することも可能であること。ただし、学校間連携によって各科目等の履修が行われることを前提として教職員の配置等について通常の標準を下回らせることは不適切な対応であること。

(3) 施行規則第98 条は改正省令によって改正されていないことから、同条各号の規定により、大学等における学修等を生徒が在学する高等学校等における総合的な探究の時間(総合的な学習の時間を含む。以下同じ。)の履修とみなし、総合的な探究の学習の単位の修得を認めることができないことは変わらないこと。

(4) 上記(1)から(3)の学校間連携に関する留意事項は、通信教育規程第12 条による単位の取扱いにおいても同様であること。

(5) 施行規則第97 条及び通信教育規程第12 条の規定により、高等学校等の全日制の課程及び定時制の課程に在籍する生徒が、自校又は他校の通信制の課程において開設される科目等を履修することが可能であること。例えば、離島・中山間地域等に所在する高等学校等に在籍する生徒であっても、当該高等学校等に通学して授業を受けながら、一部の科目について通信制
の課程の科目等を受講することで、多様な科目を学ぶことなども考えられること。

6 少年院における矯正教育の単位認定について
(1) 少年院における矯正教育を高等学校等において単位認定することについては、「少年院在院者に対する高等学校教育機会の提供に関する検討会報告書」(令和2年12 月7日)を踏まえ、まずは、一部の少年院と通信制の課程を置く高等学校とが連携する中での取組において試行的に活用することが予定されていること。

(2) 今後、法務省の主導の下で、上記(1)の試行的な取組を踏まえ、少年院矯正教育の指導内容等に関する高等学校関係者向け手引きの策定が予定されているところ、当該手引きが策定された際には、各都道府県教育委員会等に対して改めてその旨を通知する予定であること。

(3) 少年院在院者に対する修学支援の充実に向けて、少年院と通信制の課程を置く高等学校とが連携する取組を行う中で、少年院内で面接指導等を実施することを目的とする場合には、通信教育規程第3条の規定に基づき、当該通信制の課程を置く高等学校は当該少年院に係る施設を面接指導等実施施設とすることが可能であること。私立の通信制の課程を置く高等学校
がその旨を内容とする学則の変更を行う場合においては、所轄庁である都道府県又は認定地
方公共団体は、その認可に当たって可能な限り配慮いただきたいこと。

7 単位制の課程における教育課程に関する情報の公表について
(1) 単位制の課程は、学年による区分を設けない教育課程に従って生徒が履修科目を選択し単位を修得することを可能にすること等を目的として制度化されたものであり、この趣旨目的を踏まえ、単位制の課程を置く高等学校等においては、入学年次にかかわらず多様な開設科目から生徒が選択履修することを可能とするなど、制度趣旨に照らした教育課程の編成及び実施並びに教員配置が求められること。

(2) 単位制規程第10 条第2項及び第3項の規定に基づき公表する教育課程に関する情報としては教育課程表が想定され、入学年次にかかわらず履修可能な科目や、生徒による選択が可能な科目が分かるようにすることが求められること。その際、入学年次にかかわらず履修できる科目数が限定的である教育課程を編成している高等学校等については、施行規則第103 条第1
項の規定の趣旨に鑑み、見直しが求められること。

(3) 単位制による課程については、多様な科目を開設し、選択幅の広い教育課程を編成するとともに、生徒の主体的、自律的な科目選択が可能となるようガイダンスの機能の充実を図ることが必要であること。

8 その他
高等学校に置く各学科における特色化・魅力化に際しては、高校ワーキンググループ審議まとめも参考にしながら、次のような点について留意すること。
① 各高等学校においては教育課程の類型としていわゆる文系・理系等の区別を設けている場合があるが、教育課程の編成に当たってはこうした類型に過度にとらわれず、生徒の将来のキャリア形成の観点から必要な教科・科目の履修が可能となるような教育課程の編成に努めること。
② 各設置者においては、生徒が進路変更を希望する場合の学校間、課程間又は学科間の異動に伴う転入学等の受入れに関し、柔軟な取組を積極的に進めること。
③ 各設置者においては、各都道府県内の小学校及び中学校等の設置者と連携し、各高等学校の特色・魅力を児童生徒に対して伝えるための取組を行うことが重要であること。
④ 職業教育を主とする学科を置く高等学校については、地域産業界や地方公共団体と一体となって最先端の職業人を育成するとともに、その特色化・魅力化に向けた取組を進めること。その際、次のような点に留意すること。
(a) 実社会において求められる知識及び技能が変化していることを踏まえ、担当教師の資質能力の向上に向けた取組や多様な知識及び経験を有する外部人材の活用に努めること。
(b) 職業教育に必要な施設・設備の充実に当たって、各設置者において計画的に整備を進めることが重要であること。
(c) 専攻科制度の活用や高等専門学校への改編も視野に入れつつ、必ずしも3年間に限らない教育課程や、高等教育機関等と連携した一貫した教育課程を編成・実施することも考えられること。
⑤ 総合学科を設置する高等学校については、多様な開設科目から科目選択が可能であること等の特徴を踏まえて、その特色化・魅力化に向けた取組を進めること。その際、次のような点に留意すること。
(a) 初年次における原則履修科目である「産業社会と人間」の内容と他教科・科目等の内容との相互の関連性と学習の系統性に留意したカリキュラム・マネジメントを実施すること。教育課程全体を系統的に実施する観点から、卒業年次において課題研究を履修させることも考えられること。
(b) 多様な科目を開設する観点から、施行規則第88 条の3の規定に基づくメディアを利用した授業を実施したり、施行規則第97 条の規定に基づく学校間連携の制度を活用したりすることが考えられること。


【別添1】学校教育法施行規則等の一部を改正する省令(令和3年文部科学省令第14 号)
【別添2】高等学校学習指導要領の一部を改正する告示(令和3年文部科学省告示第61 号)
【別添3】中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校の教育課程の基準の特例を定める
件及び連携型中学校及び連携型高等学校の教育課程の基準の特例を定める件の一部を改正する告示(令和3年文部科学省告示第62 号)
【別添4】高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン(令和3年3月一部改訂)
【別添5】高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインの一部改訂(新旧対照表)
【別添6】新しい時代の高等学校教育の実現に向けた制度改正等について(概要)
【別添7】学校教育法施行規則等の一部改正に関するQ&A(令和3年3月31 日 文部科学省初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)



【本件連絡先】
文部科学省 初等中等教育局参事官(高等学校担当)付
高校教育改革係、中高一貫教育支援係
電話: 03-6734-4111(内線 3705,3482)















   


 
   
 
 

お問合せ先

初等中等教育局参事官(高等学校担当)付