高等学校等における遠隔教育の実施に係る留意事項について(通知)

2文科初第1818号
令和3年2月26日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学法人の長 殿
高等学校を設置する学校設置会社を
所轄する構造改革特別区域法第12条第1項
の認定を受けた各地方公共団体の長

文部科学省初等中等教育局長
瀧本 寛


高等学校等における遠隔教育の実施に係る留意事項について(通知)
 

 高等学校等(全日制及び定時制課程の高等学校、中等教育学校の後期課程並びに特別支援学校の高等部をいう。以下同じ。)における遠隔教育の推進については、多様なメディアを高度に利用して、授業を行う教室等以外の場所で履修させる授業(以下「メディアを利用して行う授業」という。)を行うことができるよう、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成27年文部科学省令第19号)により、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号。以下「施行規則」という。)を改正するとともに、これまでも制度の弾力化を図ってきたところです。
 この度、高等学校等における遠隔教育の一層の推進を図るため、平成27年4月24日付け27文科初第289号「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行等について(通知)」の記Ⅲ留意事項の第1について、下記1のとおり改正するとともに、その他の関連制度に係る趣旨を明確化するため、下記2から4までのとおり補足することとしましたので、御了知の上、適切に対応されるようお願いします。また、今回の改正に伴い、改正後の高等学校等におけるメディアを利用して行う授業の実施に係る留意事項の全文について別添1のとおり、今回の改正に関するQ&Aについて別添2のとおり、それぞれ整理しましたのでお知らせします。
 各都道府県教育委員会におかれては所管の高等学校等及び域内の指定都市を除く市区町村教育委員会に対して、各指定都市教育委員会におかれては所管の高等学校等に対して、各都道府県におかれては所轄の高等学校等及び学校法人に対して、各国立大学法人におかれては管下の高等学校等に対して、このことを十分周知願います。
 

1 平成27年4月24日付け27文科初第289号「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行等について(通知)」の記Ⅲ留意事項の第1について、次の表により、改正前欄に掲げる記載の傍線を付した部分をこれに順次対応する改正後欄に掲げる記載の傍線を付した部分のように改め、改正後欄に掲げるその標記部分に二重傍線を付した記載で改正前欄にこれに対応するものを掲げていないものは、これを加えることとしたこと。

改正後 改正前
3 各教科・科目、総合的な探究の時間、特別活動又は特別支援学校高等部の自立活動(以下「各教科・科目等」という。)について、平成27年文部科学省告示第92号にいう、各教科・科目等の特質に応じ、相当の時間数、対面により行う授業の時間数は、高等学校等の生徒の発達段階等に鑑み必要とされるものであり、具体的には、50分を1単位時間とした場合、各教科・科目等や単位数にかかわらず、履修する各教科・科目等ごとに年間2単位時間以上(各教科・科目等の単位数を1単位と定めている場合には年間1単位時間以上)を確保しつつ、学校の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して、各高等学校等において適切に時間数を定めること。この場合において、各教科・科目等の特質を十分に考慮して、指導計画全体を通して体験的な学習活動が充実したものとなるよう意を用いるものとすること。
 また、知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の高等部においては、各教科、特別支援学校高等部学習指導要領で定めるこれら以外の教科、特別の教科 道徳及び特別活動、自立活動並びに総合的な探究の時間について、対面により行う授業の単位時間数は、各学校において、上記とおおむね同等とすることを標準として、生徒の実態及び学習活動に応じ適切に定めること。
3 平成27年文部科学省告示第92号にいう、教科・科目等の特質に応じ、相当の時間数、対面により行う授業の時間数は、高等学校等の生徒の発達段階等に鑑み必要とされるものであり、高等学校学習指導要領第1章第7款に定める面接指導時間を参考として、具体的には、50分を1単位時間とした場合、次のような時間数を標準とすること。
(1)国語、地理歴史、公民及び数学に属する科目 1単位時間以上
(2)理科に属する科目 4単位時間以上
(3)保健体育に属する科目のうち「体育」 5単位時間以上
(4)保健体育に属する科目のうち「保健」 1単位時間以上
(5)芸術及び外国語に属する科目 4単位時間以上
(6)家庭及び情報に属する科目並びに専門教科・科目 各教科・科目の必要の応じて2~8単位時間以上
 高等学校等における総合的な学習の時間、学校設定教科に関する科目のうち専門教科・科目以外のもの及び特別支援学校の高等部における自立活動は、その在り方が多様であることから、上記を参考にしつつ各高等学校等において適切に時間数を定めること。
 また、知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の高等部においては、各教科、特別支援学校高等部学習指導要領で定めるこれら以外の教科及び道徳の、対面により行う授業の単位時間数については、各学校において、上記とおおむね同等とすることを標準として、生徒の実態及び学習活動に応じ適切に定めること。
 対面により行う授業は上記時間数を標準としつつ、学校がその指導計画において、各教科・科目について、計画的かつ継続的にメディアを利用して行う授業を行う場合で、生徒の学習の成果を報告課題等により継続的に把握する等により、対面により行う授業と同等以上に、生徒の学習効果を高めるとともに、学習内容の定着状況を把握するための措置等を講じる場合にあっては、各教科・科目の対面により行う授業の時間数のうち10分の6以内の時間数を免除することができること。
 なお、特別活動については、原則としてメディアを利用して行う授業にはなじみにくいと考えられるが、学校がその指導計画において、生徒の学習の成果を報告課題等により継続的に把握する等により、対面により行う授業と同等以上に、生徒の学習効果を高めるとともに学習内容の定着状況を把握するための措置等を講じるとき、特別活動の時間数のうち10分の6以内の時間数をメディアを利用して行う授業で行うことができること。
6 高等学校及び中等教育学校の後期課程にあっては、施行規則第96条第2項の規定により、全課程の修了の要件として修得すべき単位数のうち、メディアを利用して行う授業の方法により修得する単位数は、36単位を超えないものとされているところ、授業全体の実施方法として、主として対面により授業を実施するものであり、対面により行う授業に相当する教育効果を有すると各高等学校等の判断において認められるものについては、上記の単位数の算定に含める必要はないこと。
 特別支援学校の高等部にあっては、施行規則第133条第2項の規定により、全課程の修了の要件として定められた単位数又は授業時数のうち、メディアを利用して行う授業の方法によるものは、それぞれ二分の一に満たないものとされているところ、その単位数又は授業時数の算定も同旨とすること。 

[記載を加える。]
7 その他各高等学校等におけるメディアを利用した授業の導入に当たっては、「高等学校における遠隔教育の在り方について」(平成26年12月8日、高等学校における遠隔教育の在り方に関する検討会議)も参照されたいこと。  6 その他各高等学校等におけるメディアを利用した授業の導入に当たっては、前述の「高等学校における遠隔教育の在り方について」も参照されたいこと。

2 施行規則第93条に規定する海外留学による単位認定には、外国の高等学校において、メディアを利用して行う授業を、当該外国における正規の教育方法として実施される場合についても、その対象に含まれるものであること。この場合において、校長が、生徒の留学先の外国の高等学校において、当該外国での正規の教育方法としてメディアを利用した授業を実施して行われた学修を、自校の高等学校の科目の履修とみなし単位認定を行うに当たっては、同時かつ双方向に行うことや対面授業を相当の時間数行うことといった国内制度の趣旨及び留意事項を踏まえるとともに、これらを踏まえた自校における学校教育活動と同等の教育効果を有すると認められるものについて行うべきであること。

3 施行規則第97条に規定する学校間連携等による単位認定には、同条に規定する他の高等学校において施行規則第88条の3の規定に基づくメディアを利用して行う授業を実施する場合についても、その対象に含まれるものであること。この場合において、校長が、生徒の履修先の他の高等学校において、施行規則第88条の3の規定によりメディアを利用した授業を実施して修得した単位数を、自校の高等学校の全課程の修了を認めるに必要な単位数のうちに加えるに当たっては、高等学校等におけるメディアを利用して行う授業の実施に係る関連規定及び留意事項を踏まえるとともに、これらを踏まえた自校における学校教育活動と同等の教育効果を有すると認められるものについて行うべきであること。

4 施行規則第98条第1号に規定する大学、高等専門学校又は専修学校の高等課程若しくは専門課程等における学修の単位認定には、大学において大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)第25条第2項の規定に基づくメディアを利用して行う授業を実施する場合、高等専門学校において高等専門学校設置基準(昭和36年文部省令第23号)第17条の2第1項の規定に基づくメディアを利用して行う授業を実施する場合、専修学校において専修学校設置基準(昭和51年文部省令第2号)第13条第1項の規定に基づくメディアを利用して行う授業を実施する場合についても、その対象に含まれるものであること。この場合において、校長が、生徒の履修先の大学、高等専門学校又は専修学校(高等課程・専門課程)において、正規の教育方法としてメディアを利用して行う授業を実施しして行われた学修を、自校の高等学校の科目の履修とみなし単位認定を行うに当たっては、同時かつ双方向に行うことや対面授業を相当の時間数行うことといった高等学校段階での制度の趣旨及び留意事項を踏まえるとともに、これらを踏まえた自校における学校教育活動と同等の教育効果を有すると認められるものについて行うべきであること。


【本件連絡先】
文部科学省初等中等教育局
参事官(高等学校担当)付高校教育改革係
電話 03-5253-4111(内線3482)

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(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)