大学院設置基準の一部を改正する省令の施行について(通知)

 2文科高第288号
 令和2年6月30日
各国公私立大学長
大学を設置する各地方公共団体の長
各公立大学法人の理事長
大学を設置する各学校法人の理事長        殿
大学を設置する各学校設置会社の代表取締役
放送大学学園理事長
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構長
文部科学省高等教育局長      
  伯井 美徳

大学院設置基準の一部を改正する省令の施行について(通知)

 

 この度,別添1のとおり「大学院設置基準の一部を改正する省令」(令和2年文部科学省令第24号)(以下「改正省令」という。)が令和2年6月30日に公布され,同日から施行されることとなりました。
 今回の改正は,「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿~社会を先導する人材の育成に向けた体質改善の方策~(審議まとめ)」(平成31年1月22日中央教育審議会大学分科会),「経済財政運営と改革の基本方針2019」(令和元年6月21日閣議決定)等を踏まえ,大学院におけるリカレント教育の推進のため,「他大学院の単位互換及び入学前の既修得単位の認定の柔軟化」及び「入学前の既修得単位等を勘案した在学期間の短縮」を行うものです。
 今回の改正の概要及び留意すべき事項は下記のとおりですので,十分御了知いただき,その運用に当たっては遺漏なきようにお取り計らいください。
 

 

第1 改正の概要

1.他大学院の単位互換及び入学前の既修得単位の認定の柔軟化

 (A)大学院は,教育上有益と認めるときは,学生が他の大学院において修得した単位を,15単位を超えない範囲で当該大学院において修得したものとみなすことができることとすること。(B)大学院は,教育上有益と認めるときは,学生が当該大学院に入学する前に他の大学院において修得した単位(科目等履修生として修得した単位を含む。)を,15単位を超えない範囲で当該大学院に入学した後,当該大学院において修得したものとみなすことができることとすること。
 (A)及び(B)で修得したものとみなすことができる単位数は,合わせて20単位を超えないものとすること。(第15条関係)

2.入学前の既修得単位等を勘案した在学期間の短縮

 大学院は,入学前に当該大学院及び他の大学院において修得した単位(入学資格を有した後,修得したものに限る。)を当該大学院において修得したものとみなす場合であって,当該単位の修得により当該大学院の修士課程又は博士課程(前期及び後期の課程に区分する博士課程における後期の課程を除く。)の教育課程の一部を履修したと認めるときは,当該単位数,その修得に要した期間その他を勘案して1年を超えない範囲で当該大学院が定める期間在学したものとみなすことができることとすること。ただし,修士課程については,当該課程に少なくとも1年以上在学するものとすること。
 修士課程を修了した者の大学院設置基準第17条第1項(同条第2項の規定により読み替えて適用する場合を含む。この文について同じ。)に規定する博士課程における在学期間(同条第1項の規定により博士課程における在学期間に含む修士課程における在学期間を除く。)については適用しないこととすること。(第18条関係)

3.その他

 その他所要の規定の整備を行うこととすること。

第2 留意事項

1. 他大学院の単位互換及び入学前の既修得単位の認定の柔軟化について

(1)今回の改正は,累積した学修を評価することにより社会人等のリカレント教育を促進するため,他大学院の単位互換の範囲及び入学前の既修得単位の認定について,それぞれこれまで10単位を超えない範囲であったものを,15単位を超えない範囲へと拡充し,両者合わせて20単位を超えないこととするものであること。

(2)他大学院の単位互換及び入学前の既修得単位の認定に当たっては,その互換又は認定しようとする他大学院等の授業科目が当該大学院の教育課程に即したものであることが前提であり,大学院の単位やそれに基づく学位の信頼性や通用性を損なうことのないよう,内部質保証の体制整備に十分留意する必要があること。また,別添4(令和元年8月13日付け元文科高第328号 別添3)も参照すること。

(3)他大学院の単位互換及び入学前の既修得単位の認定により,リカレント教育への対応のみならず,教育資源の有効活用,教育内容の豊富化,他大学院との連携等の取組が進むことが期待されること。

(4)他大学院において履修した1つの授業科目について修得した単位が2単位以上の場合,これを分割した上で単位を認定することはできないこと。

(5)入学前に他大学院において修了に必要な単位として認定された単位についても,当該大学院において教育上有益と認めるとき,当該大学院において修得したものとみなし,単位として認定できること。

2.入学前の既修得単位等を勘案した在学期間の短縮について

(1)今回の改正は,累積した学修を評価することにより社会人等のリカレント教育を促進するため,学部段階や専門職大学院において既に認められている入学前の既修得単位等を勘案した在学期間の短縮制度を,大学院においても法令上位置づけるものであること。

(2)入学前の単位等を勘案した在学期間の短縮を認定するに当たっては,むやみに在学期間の短縮を行うのではなく,当該学生の修得した単位の授業科目が当該大学院における学位授与の方針及び教育課程編成・実施の方針に照らし合わせて体系的であるかどうか,当該大学院において必要な研究指導に要する期間や当該学生が論文又は特定課題に努めるに当たり必要な期間を考慮する等,十分に検討を行い判断すること。

(3)修士課程については,入学前の既修得単位等を勘案して1年を超えない範囲で在学したものとみなすことが可能であること。ただし,この場合においても,1年以上在学するものとするため,第3条第3項の規定により標準修業年限を1年以上2年未満とした修士課程や第16条ただし書の規定による在学期間を適用する場合は,特に留意が必要であること。

(4)博士課程(前期及び後期の課程に区分する博士課程における後期の課程を除く。)については,入学前の既修得単位等を勘案して1年を超えない範囲で在学したものとみなすことが可能であること。また,第17条第1項ただし書の規定による在学期間を適用する場合と併せて適用することも可能であること。

(5)医学を履修する博士課程,歯学を履修する博士課程,薬学を履修する博士課程(当該課程に係る研究科の基礎となる学部の修業年限が6年であるものに限る。)又は獣医学を履修する博士課程については,入学前の既修得単位等を勘案して1年を超えない範囲で在学したものとみなすことが可能であること。また,第44条ただし書の規定による在学期間を適用する場合と併せて適用することも可能であること。

(6)修士課程を修了後,博士課程に入学し,第17条第1項又は第2項の規定により博士課程における在学期間に修士課程における在学期間を含む場合,当該博士課程における在学期間については,本改正の内容は適用しないこと。ただし,この場合においても,当該修士課程における在学期間に本改正の内容は適用できること。

(7)修士課程修了後,例えば異なる分野の博士課程に入学し,第17条第1項又は第2項の規定によらず博士課程における在学期間に修士課程における在学期間を含まない場合,入学前の既修得単位等を踏まえた在学期間の短縮は可能であること。

3. 今回の改正は,リカレント教育の促進を目的として行ったものであるが,リカレント教育の実施に当たっては,教育内容の広報の工夫、学修成果の可視化や学修量の明示等も含めて検討することが期待されること。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

電話番号:03‐5253‐4111(内線3312)

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