平成30年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査の結果及び平成31年度以降の教育課程の編成・実施について

30文科初第1797号

平成31年3月29日

各都道府県教育委員会教育長殿
各指定都市教育委員会教育長殿

文部科学省初等中等教育局長        
永山 賀久


平成30年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査の結果及び平成31年度以降の教育課程の編成・実施について


 この度,平成30年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査の結果を別添のとおりとりまとめました。各都道府県教育委員会においては,所管の小・中学校等(義務教育学校及び中等教育学校前期課程を含む。以下同じ。)及び域内の市区町村教育委員会に対し,各指定都市教育委員会においては,所管の小・中学校等に対し,下記について周知するとともに,下記を踏まえた適切な対応をとるようお願いします。



1.平成30年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査の結果について 


 調査結果の概要及び全国的な状況は別添1,別添2に示すとおりであること。公立小・中学校等の設置者においては,本調査結果と域内の小・中学校等の教育課程の編成・実施状況等を踏まえつつ,教育施策の立案や域内の小・中学校等への指導・助言に適宜御活用いただきたいこと。


2.平成31年度以降の教育課程の編成・実施について 


 今般の調査結果によると,平成29年度の実績において,多くの公立小・中学校等で標準授業時数を超えて授業を実施していることが明らかになった(年間総授業時数の全国平均値は,小学校第5学年で1040.2単位時間(平成29年度の標準授業時数:980単位時間),中学校第1学年で1061.3単位時間(平成29年度の標準授業時数:1015単位時間)となっている。)。
 平成31年1月25日中央教育審議会答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」(以下「学校における働き方改革に関する答申」という。)において言われているように,我が国の将来を担う子供たちの教育は教師にかかっており,上述の授業時数の実績は,教師が崇高な使命を持って授業を実施されたことを示すものにほかならない。
 しかし,同答申及び平成31年3月18日付け30文科初第1497号文部科学事務次官通知「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」にもあるとおり,各学校の指導体制を整えないまま標準授業時数を大きく上回った授業時数を実施することは教師の負担増加に直結するものであることから,このような教育課程の編成・実施は行うべきではなく,仮に標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画している場合には,指導体制の整備状況を踏まえて精査して教師の時間外勤務の増加につながらないようにするなど,教育課程の編成・実施に当たっても学校における働き方改革に十分配慮することが求められる。
  このことから,公立小・中学校等及びその設置者においては,2020年度以降に実施される新学習指導要領を見据えて,平成31年度以降の各小・中学校等の教育課程の編成・実施に当たって以下の(1)から(3)の点に留意すること。
(1) 標準授業時数は,学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎とし,学校運営の実態などの条件も十分考慮しながら定めたものである。各学校においては,児童生徒の実態及び標準授業時数を踏まえて,各学校の指導体制に見合った授業時数を設定する必要がある。
(2) 標準授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により当該授業時数を下回った場合,下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反するとされるものではなく,災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態に備えることのみを過剰に意識して標準授業時数を大幅に上回って教育課程を編成する必要はない。
(3) 今般の調査結果では,例えば,学校における働き方改革に関する答申において標準授業時数を大きく上回った授業時数と指摘された,小学校第5学年において1086単位時間以上の授業時数を確保する小学校が,平成30年度の計画段階で全体の25.7%見られた。特に小学校においては,2020年度から全面実施される新小学校学習指導要領の下で小学校第3~6学年の標準授業時数が増加する。各学校においては,これらのことも踏まえて,教育課程の編成・実施に当たって学校における働き方改革に配慮した対応を検討することが重要である。
 上記の(1)から(3)に留意した上で,平成31年度以降の教育課程の編成に当たって標準授業時数を大きく上回る授業時数を確保している学校においては,【1】児童生徒の学習状況や教職員の勤務状況,【2】当該校における近年の休校や学級閉鎖等の状況を考慮しつつ,平成31年度以降の年間授業計画等を今一度精査し,必要な場合には,授業時数の見直しなどの措置をできるだけ早い段階で講じること。設置者においては,各学校における教育課程の編成・実施に当たっても学校における働き方改革に十分配慮がなされるよう各学校を指導するとともに,必要に応じ学校における働き方改革の実現に向けた条件整備等を検討すること。



 (※)本通知における1単位時間は,小学校については45分,中学校については50分として計算されている。






【本件担当】
文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室




お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

電話番号:03-5253-4111(代表)

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