わが国は、明治五年に学制を頒布して以来、本年をもって満百年を迎える。百年前、われわれの先達は、日本の歴史の変革期にあたり勇気と英断をもって近代的教育制度の基本を定め、新しい時代のとびらをひらいた。この学制に基づく明治期の基礎確立、大正期の整備・充実、戦時下の苦難の克服、戦後jの新教育の再建を経て国際的にも高い教育の水準に到達した。今日におけるわが国の反映をささえてきたのは、まさにこの教育の成果によるものであり、この間における教育の普及と充実に対する国民の不断の熱意と努力に思いをいたすとき、感慨ひとしお深いものがある。しかしながら、近年、科学技術の進歩は著しく、世界の各国は、国家繁栄の基礎として、教育の重要性を認識し、国力をあげて教育の刷新・充実に努めている。わが国が限りない未来にわたって発展を続けていくためには、さらに教育への努力を傾注し、昭和四十六年六月の「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」の中央教育審議会の答申にも述べられているとおり、教育のよりいっそうの普及とその質的充実に努め、創造性に富んだ豊かな青少年の育成を図る必要がある。

 学制百年の記念すべきこの年が新たな教育百年への飛躍の年とならんことを願ってやまない。

 この際、学制頒布百周年の記念事業の一つとして本書を刊行し、百年間の教育の歩みを振り返ることは、きわめて意義が深いことと信ずる。

 本書が教育関係者をはじめとして、一般に広く利用され、今後のわが国の教育の進展に寄与することができれば、よろこびこれにまさることはない。

 

昭和四十七年八月
文部大臣  稻葉 修