一 文部省の行政体制

文部省機構の改革

 昭和四十七年の機構改革の後、今日までに文部本省、外局の内部部局において行われた機構改革を要約すると次のとおりになる。

(一)学術国際局の設置 四十九年六月、高等教育の急激な拡大、高度な学術研究の振興や教育、学術、文化の国際交流・協力の推進に対応するため、大学学術局を改組し、高等教育の計画的整備等高等教育を担当する大学局と学術振興と国際交流を担当する学術国際局を設置した。また、学術国際局にはユネスコ国際部を置き、国際的な事務の総合的な推進を図るとともに、日本ユネスコ国内委員会の事務を処理することとし、これに伴い日本ユネスコ国内委員会事務局を廃止した。

(二)昭和五十九年の機構改革 五十九年七月、臨時行政調査会の答申を踏まえ、社会の変化に対応する総合的な文教行政を推進するための機構改革を行った。

ア 総合調整機能の充実強化を図るため、大臣官房に総務審議官を設置するとともに、各局に置かれていた審議官を官房に集中し、機動的対応が行えるようにした。

イ 各局に分散されていた義務教育を中心とする学校教育の人的・物的条件の整備に係る行政を一体的に遂行するため、教育助成局を設置し、同局には財務課、地方課、教職員課、海外子女教育課(六十三年六月までは海外子女教育室)、施設助成課が置かれた。また、これに伴い、初等中等教育局を再編成し、同局では教育内容及び方法等や生徒指導など指導行政を一元的に所掌することとした。

ウ 国・公・私を通じた総合的な大学教育その他高等教育に関する行政を推進するため、管理局で所掌していた私立大学等に係る事務を大学局に移管し、大学局を高等教育局とするとともに、学校法人等私学関係行政の一体的推進を図るため、同局に私学部を設置した。

エ 文化行政に係る企画部門を充実し、本省の事務との連携を強化するため、文化庁の長官官房の庶務課を総務課とするとともに、文化財保護部の管理部門の簡素化を図るため、管理課及び無形文化民俗文化課を統合して伝統文化課を設置した。

 以上の機構再編成に伴い、管理局及び従来学術国際局に置かれていたユネスコ国際部を廃止した。

(三)生涯学習局の設置等 六十三年七月、臨時教育審議会の答申を踏まえ、生涯学習体系への移行への積極的対応を図るため、社会教育局を改組して、生涯学習の振興に関し、学校教育、社会教育、体育・スポーツ、文化を通じて、関係施策の企画調整を行う生涯学習局を新たに設置し、同局には生涯学習振興課、社会教育課、学習情報課、青少年教育課、婦人教育課を置いた。また、スポーツに対する国民のニーズの増大と多様化にこたえる一方、我が国の競技力の向上を図るため、体育局のスポーツ課を生涯スポーツ課と競技スポーツ課に分離するとともに、健康教育の総合的な推進を図るため、学校保健課と学校給食課を統合して学校健康教育課を設置した。

(四)教育改革推進本部の設置 なお、五十九年八月に総理府に設置された臨時教育審議会から六十年六月に出された第一次答申を具体化するため、同年六月全閣僚から成る教育改革閣僚会議が設置されたことを受け、文部省として教育改革を推進するため、同年七月文部省内に事務次官を本部長とする教育改革推進本部を置いた。さらに、六十二年八月同審議会が解散した後は、教育改革のための施策を実施していくため、同年八月文部大臣を本部長とする教育改革実施本部を設置した。

所轄機関、附属機関等

 昭和四十七年以降、国立沖縄青年の家ほか四カ所の国立青年の家が新たに設置され、また、五十年十月国立室戸少年自然の家を第一号とし、その後、一三の国立少年自然の家が、五十二年五月国立国際美術館が、同年十月国立婦人教育会館がそれぞれ設置されるとともに、五十五年五月国立オリンピック記念青少年総合センターが特殊法人から直轄機関とされた。また、六十一年七月国立社会教育研修所が特殊法人国立教育会館に統合・廃止された。さらに、五十二年五月大学入試センターが、平成三年七月学位授与機構が、四年七月国立学校財務センターがそれぞれ設置された。

審議会の設置

 昭和四十七年度末文部省に設置されていた審議会は、中央教育審議会をはじめ、一八審議会であったが、その後、五十三年五月高等専門学校審議会が廃止され、六十二年九月従来の大学設置審議会と私立大学審議会が改組されて大学審議会と大学設置・学校法人審議会が設置され、また、平成二年七月従来の社会教育審議会が発展的に改組され、分科会として社会教育分科審議会を置く生涯学習審議会が設置された。

図文部本省組織変遷図

図文部本省組織変遷図

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