一 国際教育到達度評価学会(IEA)による数学及び理科教育調査

 戦後日本の教育が大きく注目されるようになった一つの契機は、IEAが実施した数学及び理科の教育調査で日本人が優秀な成績を収めたことであった。昭和三十九年の第一回数学調査(一二か国が参加)では日本の中学生の成績がイスラエルに次いで二位を記録し、また、四十五年に実施された第一回理科調査(一九か国が参加)でも、我が国の小学生及び中学生が最高の成績を収めた。さらに、五十五~五十七年及び五十八年にはそれぞれ数学、理科の第二回の調査が行われ、ここでも日本は極めて優秀な結果を収めた。

 もともとこのIEAの調査は、文化・社会・経済などそれぞれ異なった背景の下で、各国における教育条件と学習到達度との関係を研究するという目的で行われたものであり、必ずしも到達度そのものの優劣を比較するという意図を持つものではなかったが、この調査結果は、日本の数学・理科教育、ひいては教育全体の水準の高さを示すものとして国際的にしばしば引用されるようになった。

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