三 留学生受入れ制度

国費留学生

 国費留学生制度は、日本政府の奨学金による留学生の招致制度として、昭和二十九年に大学の学部留学生、大学院研究留学生を対象にスタートしたが、五十年代に入って、国際的な日本語及び日本文化への関心の高まりや留学生のニーズの多様化等に対応して制度の拡充が図られた。五十四年度には、日本語の普及や日本文化に対する正しい理解の促進を目的とする日本語・日本文化研修留学生制度、五十五年度には、開発途上国における現職教員等のレベルアップに協力することを目的とする教員研修留学生制度が設けられたほか、五十七年度から、アジアや太平洋地域の開発途上国における中堅技術者としての能力の育成及び職業や生活に必要な実際的な能力の育成に協力することを目的とする高等専門学校及び専修学校留学生制度がそれぞれ開始された。これらの国費留学生に対しては往復航空券のほか、大学院、学部、高等専門学校の各レベルに応じて奨学金が支給され、授業料も免除されることとなっている。また、財団法人日本国際教育協会を通じて、渡日一時金の支給、宿舎費補助、医療費補助等の援助措置が講じられている。

外国政府派遣留学生

 外国政府派遣留学生は、派遣国の奨学金による我が国への留学生であり、これまで派遣国政府の要請にこたえ、国際協力を推進する観点から、可能な限り協力を行ってきた。昭和五十四年度から開始した中国及び五十九年度から開始したマレーシアからの政府派遣留学生に対しては、現地での日本語等の予備教育のために教員を派遣し、協力を行ってきた。さらに、六十年度から開始したインドネシア政府派遣留学生、平成三年度から開始したブラジル政府派遣留学生については、現地での選考等に協力するため教員等を派遣している。なお、タイ及びシンガポールからも政府派遣留学生を受け入れており、文部省では国立大学への入学等について可能な限り便宜を図っている。また、これらの留学生は、派遣国政府から学費等の支給を受ける者であるが、医療費については、財団法人日本国際教育協会からの援助を受けられることとなっている。

私費留学生

 私費留学生は、自らの意志と経済的負担で我が国の高等教育機関において教育を受ける者であるが、近年の円高等の事情により我が国における留学環境は厳しいものになっている。このため、昭和五十三年度に、文部省は、財団法人日本国際教育協会を通じ、学業・人物共に優れ留学生活上経済的援助が必要と認められる者に対し学習奨励費を支給する制度を設けた。当初、学部在学者を対象としていたが、六十一年度から大学院学生、平成元年度から短期大学及び専修学校に対象を拡充して今日に至っている。また、医療費についても補助措置が講じられている。留学生の大部分を占める私費留学生に対する奨学金支給等の支援事業については、近年、公益法人や地方公共団体においても実施されるようになってきておりその数も増大しているが、いまだ不十分であり、今後の充実が期待されている。

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-- 登録:平成21年以前 --