三 国連大学の創設

 国連大学は、人類の存続、発展及び福祉に係る世界的な問題についての研究、研修及び知識の普及を目的とし、国連総会の決議によって、昭和四十九年十一月に設置された国連機関である。国連大学の特徴は、教授陣やキャンパスを持って学生を受け入れるのではなく、世界各地の大学・研究機関とネットワークを構成し、研究・研修事業、研究成果の普及等を行う研究・研修機関であることにある。

 国連大学設立の構想は、四十四年に当時のウ・タント国連事務総長により提唱されたもので、我が国は、知的・文化的な面において世界に貢献するとの観点から、当初から国連大学設立の構想に強い関心を持ち、国連、ユネスコなどの場で、積極的に国連大学構想の審議に参画するとともに、四十八年六月、国連事務総長に対して、大学本部を東京首都圏内に設置するための資本的経費の全額負担と国連大学基金に対する一億ドルの拠出を申し出た。これを受けて、四十八年十二月、第二八回国連総会は、国連大学憲章を採択するとともに、大学本部を東京首都圏内に設置することを決定した。国連大学本部事務所は、四十九年十二月、東京に開設された。引き続いて、東京において研究研修センターの建設が進められることとなっている。

 我が国は、国連大学本部を誘致して以来、本部施設を提供するとともに、大学基金への一億ドルの拠出を行う等、国連大学への協力を積極的に実施してきた。文部省は、我が国と国連との協定に基づき、東京・青山に国連大学恒久的本部施設を建設し、平成四年六月に完成・移転した。また、三年度からは、ユネスコと国連大学の共同事業を推進するため、ユネスコ・国連大学共同研究事業信託基金を拠出している。さらに、四年度からは、日本の大学・学会との共同研究事業を実現するため、日本・国連大学共同研究事業拠出金を拠出している。

お問合せ先

学制百二十年史編集委員会

-- 登録:平成21年以前 --