四 史跡等の整備と活用

史跡名勝天然記念物の指定等

 史跡名勝天然記念物の指定については、近年、史跡は吉野ケ里(よしのがり)遺跡などの新発見の遺跡を中心に、名勝は平安神宮神苑(えん)などの庭園を中心に、天然記念物は、イリオモテヤマネコなどの全国調査の結果に基づき保存すべき動植物を中心に、指定を進めている。平成四年三月現在、史跡一、三〇三件、名勝二五七件、天然記念物九一四件を指定している。

史跡等の整備・活用

 史跡等については、その保存を図るとともに、国民が歴史や伝統文化に親しむ場として公開・活用を推進することが社会的に要請されるようになった。文化庁においては、昭和四十一年度から、「風土記の丘」事業を開始し、古墳、城跡等が集中的に所在する地域の広域的な整備を進め、平成三年度までに西都原(さいとばる)風土記の丘(宮崎県)等一一か所が完成した。昭和五十三年度からは往時のたたずまいを残している街道、水路の整備・活用を図る「歴史の道」事業について国庫補助を開始し、平成三年度までに陸奥上(むつかみ)街道(宮城県)等四か所の整備を終え、中仙道(長野県)等三か所が整備中となっている。元年度から始まった「ふるさと歴史の広場」事業では、往時の建物の実物大復元などの立体的整備や、遺構全体の模型やガイダンス施設の設置などを行い、三年度に全国で二四か所が整備中であり、個性ある地域作りに積極的に寄与している。さらに、三年度に始まった「生活関連重点化枠」の中では、「地域中核史跡等整備特別事業」を行い、地域の政治・文化等の中心であった国分寺、国府跡等の史跡等を、住民が地域の歴史を学んだり、憩いの場所として活用できるよう、買上げ及び整備を一体的に進めている。

 また、昭和五十年ごろから特別天然記念物カモシカの食害問題が起こってきた。このため、文化庁は、環境庁及び林野庁と協議して国としての統一方針を定め、保護地域の設定を進めるとともに、保護柵(さく)の設置などの対策を行っている。

平城・藤原宮跡

 特別史跡平城宮跡については、土地の国有化、奈良国立文化財研究所による発掘調査を進めてきたが、昭和五十三年度に策定した「特別史跡平城宮跡保存整備基本構想」に基づき、宮跡全体を遺構博物館として保存と活用を図ることとし、宮跡地の買上げや整備を進めている。また、特別史跡藤原宮跡(奈良県橿原(かしはら)市)及び飛鳥地区(奈良県高市郡明日香村)についても、発掘調査、土地の買上げ整備基本構想の策定、整備を進めている。

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