三 伝統的建造物群の保護

 昭和五十年の法改正により創設された伝統的建造物群保存地区は、まちづくりに全体的な責任を持つ市町村が住民の合意と協力を得て主体的に保存を図る制度であり、歴史的な集落や町並みと環境を包括的に守る言わば「面」の文化財保護である。平成四年三月現在、秋田県角館町角館(武家町)、長野県南木曽(なぎそ)町妻籠(つまご)宿(宿場町)、岐阜県白川村荻町(山村集落)等、三四地区が重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。これらの地区は、年々、伝統的な町並みが整備され、文化財の保存にとどまらず、良好な生活環境にあるまちづくりや地域の活性化の核として活用されつつある。

 なお、地区内の建物は外観保存を主とし、内部は規制せず、所有者が自由に改造して快適な生活を送れるように配慮している。国においては、選定した地区の保護のために、市町村が行う保存修理、修景、防災施設等の設置、公有化などの事業に対して補助している。

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学制百二十年史編集委員会

-- 登録:平成21年以前 --