一 社会の変化と文化財の活用

 文化財は、我が国の永い歴史の中で生まれ、はぐくまれ、今日の世代に守り伝えられてきた貴重な国民的財産であり、歴史や文化を正しく理解する上に欠くことのできないものであると同時に、将来の文化の向上発展の基礎をなすものである。

 戦後の経済の高度成長と科学技術の発達がもたらした高度産業社会、都市化の進展に伴い、国民は、物質的豊かさを享受する一方、精神的な豊かさと潤いを求めて、文化財や伝統文化に対する関心を高めてきている。また、余暇時間の増大、学習活動の活発化などに伴い、文化財を鑑賞したり、自ら伝統芸能をたしなんだり、文化財の愛護活動を行う国民の層も広がりを見せている。さらに、地域の伝統芸能、史跡や伝統的建造物群などの文化財を活用した「まちづくり」、「むらおこし」を進める動きも活発になっている。このような社会の変化に対応して、文化財保護行政においても、文化財の保存に留意しつつ、文化財の公開・活用が更に進展するよう積極的に施策を進めている。

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学制百二十年史編集委員会

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