昭和五十二年七月、最高裁判所大法廷は、いわゆる「津地鎮祭」事件について判決を下した。この事件は、昭和四十年に津市が主催した津市体育館の起工式(地鎮祭)が宗教法人である神社の宮司主宰の下に神式にのっとって挙行され、その挙行費用に公金が支出されたことについて、その適法性が争われたものであった。この判決においては、津市が行った地鎮祭について、その目的は専ら世俗的なもので、その効果は、神道を援助、助成、促進するものでないから、憲法第二十条第三項により禁止される宗教的活動には当たらず、これに対する公金の支出も憲法第八十九条に違反するものではないとされた。この判決は、憲法における政教分離の原則及び国の機関などと宗教活動とのかかわり合いについて、最高裁判所としての判断を示したということで、大きな意義を持つものである。
学制百二十年史編集委員会
-- 登録:平成21年以前 --