一 新著作権法の定着

 昭和四十五年、長年にわたる関係者の努力の結果、明治三十二年に制定された旧著作権法を全面改正する形で現行の著作権法が制定され、翌年一月から施行された。この新しい著作権法は、著作権の原則的保護期間を国際的水準である著作者の死後五十年までに延長するなど著作者の権利の保護を強化するとともに、著作権者等の利益と公共の利益との調整を図りつつ、著作物の円滑公正な利用を期するため一定の場合には著作権を制限し著作物を自由に利用できることとする措置について整備した。また、著作物の公衆への伝達に関して重要な役割を担っている実演家、レコード製作者及び放送事業者に著作権に準じた一定の保護を与える著作隣接権制度を新たに設けるなど、我が国の著作権制度を先進国の水準に引き上げる画期的な内容のものであった。

 文化庁は、この新しい著作権法の定着を図り、国民の著作権に対する理解を深めるため、全国各地で各種の著作権講習会を開催するとともに、著作権法ハンドブックなどの啓蒙(もう)資料を刊行した。講習会の参加者は年々増加し、また、著作権を何らかの形で認識している人の割合が、五十三年の総理府の世論調査では六八%であったのに対し、平成三年の民間調査機関の調査では八四%に増加するなど、国民の著作権に対する理解と関心も高まった。

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