四 特色ある文化活動の振興

 昭和五十年代以降、「地方の時代」の名の下に地方の発展、活性化が推進されていったが、その中で地域住民の文化への強い志向に応じるとともに、地域自らが文化的な主体性を確立し、維持していくための文化の振興が積極的に進められ、その結果、四十三年の文化庁発足当時七都道府県にしかなかった独立の文化行政担当課は、五十四年にはすべての都道府県に設置されるに至り、文化行政の体制が整備されると同時に、芸術文化関係予算も大幅に伸びた。これに伴い、公立文化会館や美術館をはじめ様々な文化施設が増加し、整備され、人々の文化活動もこうした施設を舞台として更に多様に展開するようになった。

 このような地方の文化行政に対し、文化庁は、四十二年に開始した公立文化会館の建設費補助の拡充を図るとともに、五十二年から都道府県の要請に基づき、その芸術文化事業に専門家を派遣するなど、その整備、充実を支援した。また、地方の文化会館や美術館の職員及び文化行政担当者等を対象とした研修会、研究協議会等を開催した。さらに平成二年度からは、新たに「地域文化振興特別推進事業」を開始し、地域における特色・個性ある地域文化団体等の文化活動の水準向上・活性化を促すとともに、その文化活動の定着化を図り、文化の「まちづくり」、「むらおこし」を促進することにした。音楽祭・演劇祭・舞踊祭等の開催による文化活動や、地域に関連した楽曲・脚本等の創作委嘱による創作活動の推進のほか、これらに関連した研修会・シンポジウムの開催等の事業を実施し、地域文化の振興を図ることがその主な事業内容である。さらに平成四年度からは、芸術家と一体となって芸術創造活動を支えている文化会館のマネージメント担当者の資質の向上を図るための養成研修事業を始めた。

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