四 国立美術館の整備

 東京国立近代美術館(昭和二十七年設置)、国立西洋美術館(三十四年設置)、京都国立近代美術館(四十二年設置)に続く、第四の国立美術館として、五十二年、国立国際美術館が開館した。

 国立国際美術館は、四十五年に開催された日本万国博覧会の万国博美術館の施設を利用して大阪府吹田市に設置された。日本の美術と世界の美術とが密接な関係を保ちながら発展してきていることを時代や地域の区分を越えて示すという目的を持ち、世界の現代美術を重点的に収集、現代美術の多様な展開を紹介している。

 その他の国立美術館においても設備の充実が図られている。東京国立近代美術館は、本館に続いて旧近衛(このえ)師団司令部庁舎(四十七年重要文化財指定)を活用して、五十二年工芸館を開館し、また、六十一年神奈川県相模原市に映画フィルム専用の収蔵庫を持つフィルムセンター分館を新設した。京都国立近代美術館は、六十一年に新館を建設した。

 また、公私立の美術館が増加し、優秀な学芸員の確保や館蔵品の体系的な収集などが重要な課題となったことから、五十七年度から文化庁と国立美術館の共催で学芸員に対し、近現代美術に関する研修会を実施し、さらに五十九年度から公私立美術館の学芸員を一定期間国立美術館に個別に受け入れる研修制度を設けた。

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