三 芸術祭

 芸術祭は、昭和二十一年以来、毎年秋に開催され、六十年には第四〇回記念芸術祭を迎えた。この間、芸術祭は期間中行われる優れた公演の中から選定委嘱する協賛公演の開始(四十四年)、参加公演の部門増加などにより、年々拡大されていったが、その一方で総花的な内容、芸術祭そのものの性格の曖昧(あいまい)さ、運営のマンネリズムなどが指摘されるようになり、この四〇周年を機に開催の在り方が見直されることになった。その結果、芸術祭は「演劇、音楽、舞踊、演芸の舞台芸術を中心とした祭典」としてコンクール的性格を弱め、フェスティバル的性格を強調することとし、1)主催公演の教育・文化週間における集中的実施、2)地方開催の実施、3)参加公演部門の「演劇、音楽、舞踊、演芸」四部門への縮小と媒体芸術に対する奨励(芸術作品賞)の分離独立、4)優秀参加公演に対する従来の芸術祭大賞と芸術祭優秀賞の「芸術祭賞」への一本化、などが決定された。地方開催については、五十三年からの大阪での開催に加え、六十年から毎年他の地方一か所でも公演が行われるようになった。また、六十一年からアジア・太平洋諸国の民族芸能を招く国際公演が開始された。

 なお、芸術祭については、時代の推移、社会の変化等に対応しつつ、改善を図り、前述のとおり六十年度に抜本的な改革を図ってきたところである。しかし、近年国民の文化に対する関心は高く、また、社会の多様化など芸術・文化を取り巻く環境は著しく変化していることから、関係者の協力を得て、更に一層の改善の検討を行うこととしている。

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