一 大学の研究所

 国立大学附置研究所は、大正から昭和十年代にかけて設置されたものが多いが、四十年代後半以降、学術研究の動向や社会的要請等を踏まえ、大学共同利用機関等への改組・転換が行われたこともあり、現在、二〇大学に六三研究所が設置されている。これらのうち、広く全国の大学等の同一分野の研究者に利用させる共同利用研究所は、現在、七大学に一四研究所が設置されている。また、公私立大学においても、設置の理念や建学の精神あるいは当該大学の研究の歴史や伝統などを踏まえ、平成三年現在、公立大学に三四、私立大学に二五四の附置研究所等が設置されている。これは、昭和四十七年に比べ倍増となっているが、その内容は、研究者数、施設、設備などの点で様々で、実態にはかなりの差異がある。大学附置研究所を研究分野ごとに分類すると、国立大学関係では理工系が多く、公私立大学では相対的に人文社会系の研究所が多い。また、大学附置研究所の研究者数は、平成二年現在、国立大学が二、九〇七人、公私立大学が九一四人となっている。

 国立大学には、附置研究所のほかに、各種の研究関係施設が設置されている。全国共同利用施設は、一般的には、附置研究所と比較して、組織は小規模であるが、的を絞った研究を行うとともに、全国の大学等の研究者に共同利用させるためのもので、昭和四十六年の大阪大学核物理研究センターの創設以後、平成三年度において、一一大学に二〇施設が設置されている(うち大型計算機センター七施設を含む)。国立大学における教育研究は、学部・大学院と研究所を中心に展開されているが、それらの補完又は支援のための施設である学内共同教育研究施設(三年度現在、一四四施設)や学部又は附置研究所附属の研究施設(三年度現在、三〇六施設)が設置されている。

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