一 研究者の養成の重要性

 学術研究の基本となるのは研究者の知的活動であることから、学術研究の発展のためには、これに従事する研究者の養成・確保が最も重要であることは言うまでもない。特に、若手研究者については、将来において研究の中核を担うだけの存在ではなく、その時点においても、柔軟で新鮮な発想を生かすことによって、研究の新しい展開に寄与することが大いに期待されるものであり、その養成・確保が特に重要である。また、大学等の学術研究機関は、基礎研究から応用研究にわたる各方面における研究者の養成をも担うものであるため、優秀な人材を確保することは、我が国全体の研究水準の維持・向上のためにも極めて重要である。

 また、大学の研究者については、昭和五十年代中ごろから、全体として高齢化の傾向が進んでおり、大学における研究活力を将来にわたって維持していく上で、若手研究者の増加とその流動化を図っていくことが求められている。

 このような観点から、研究者、特に優れた若手研究者の養成・確保については、学術振興の中心課題の一つとして、学術研究自体の高度化や多様化、産業構造の新たな展開等に起因する研究者需要の質的・量的な変化、人口構成や価値観等の社会的な背景の変動など、その時々の多様な要素を踏まえ、種々の施策が講じられてきた。

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