二 文部省の行政機構の整備等

 文部省の学術行政機構としては、昭和二十四年から、大学行政と学術行政とを一体的に推進するとの観点から、大学学術局が置かれていた。しかし、社会の様々な変化の進行に伴って、学術研究に対しても多岐にわたる課題が出現し、大学行政及び学術行政に対する需要が飛躍的に増大したことから、これに適切にこたえるため、文部省では四十九年に省内の機構改革を行い、大学学術局を大学局(五十九年、高等教育局に改組)と学術国際局とに分離、学術研究の振興は学術国際局が担当することとなり、我が国の学術行政のための体制の基礎が確立することとなった。またその際、従来からの学術課、研究助成課、情報図書館課及び国際学術課に加え、研究機関の設置及び運営指導に関する行政事務の充実を図るため学術課の一部を研究機関課として独立させ、学術行政の機能強化が図られた。なお、分離した両局は、相互に連携・協力しながらそれぞれの行政を進めている。

 その後も学術研究の飛躍的進展に伴う学術行政への多様なニーズにこたえるため、引き続き学術行政機構の整備が進められた。学術研究の社会的協力・連携、いわゆる産官学の研究協力を積極的に推進するための研究協力室の設置(研究助成課内、五十七年)、学術情報施策の一層の推進を目的とした情報図書館課の学術情報課への改組(五十九年)、学術行政の企画立案機能の強化と科学技術会議への積極的対応を図るための学術企画室の設置(学術課内、六十一年)、より幅広く専門的知識・知見を学術行政の企画・調査に活用するための科学官・学術調査官の大幅増員などである。

 四十二年に特殊法人として創設された日本学術振興会は、特別研究員制度等による研究者の養成、学術の国際交流協力の推進、産学協力の推進等、学術振興に関する諸事業を毎年拡充し、事業費総額は平成三年度までに特殊法人として発足した当時の約二〇倍にまで拡大した。

 なお、我が国の科学者の内外に対する代表機関として昭和二十四年から総理府に設けられていた日本学術会議は、設立後三十年以上経過したこともあり、その活性化に向けて改革が求められていたが、五十八年、より優れた会員を募るとの観点から会員の選出制度の改正を行った。これにより、従来の選挙による会員の選出に代えて、登録学術研究団体を母体とする研究連絡委員会ごとの推薦によることとなった。

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