一 生涯スポーツをめぐる状況

 近年における都市化、生活の便利化等による身体的活動の機会の減少、さらに、社会の高度化、高齢化、情報化、国際化等の進展は、国民の間にスポーツが健康・体力の維持増進や、心豊かで明るく活力に満ちた生活を営む上で欠くことのできないものであるという認識を高め、スポーツ活動への参加を促進している。総理府の「体力・スポーツに関する世論調査」によると、昭和四十年には国民の四三%が何らかの運動やスポーツを実施していたのに対して、四十七年が六〇%、六十三年が六四%と上昇している。

 また、スポーツ実践者の増加に伴い、スポーツ活動に対する国民のニーズは多種多様になってきた。自分たちの興味・関心や欲求、あるいは能力・適性等に合ったスポーツに親しもうとする志向が強まり、新しいスポーツを考案したり、既存のスポーツのルールを一部改善するなどして、いわゆるニュースポーツが数多く開発され、普及が図られている。

 他方、学校週五日制の具体化に伴い、親子や異年齢集団によるスポーツ活動の機会を身近に提供する必要性が増大している。

 このような状況の中で、すべての人々が生涯の各時期にわたって、それぞれの体力や好みに合ったスポーツを楽しむことができる条件の整備が大きな課題となってきた。

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