四 男女共同参画型社会の形成

 昭和五十年(一九七五年)とそれに続く十年間は国連が「国際婦人年」及び「国連婦人の十年」と定め、世界各国で女性の地位の向上のための諸活動が進められた。政府は、婦人問題企画推進本部を設置し、五十二年に「国内行動計画」を策定し、六十年には「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」を批准した。婦人教育でも、性別役割分担意識の是正を図り婦人問題の解決を目指す観点が重視され、六十年度から「婦人問題学習講座」の、また、六十一年度から「婦人の職業生活準備セミナー」の開設を奨励した。ナイロビ世界婦人会議で採択された「西暦二〇〇〇年に向けての婦人の地位向上のための将来戦略(ナイロビ将来戦略)」を受けて、六十二年には「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画-男女共同参画型社会の形成を目指す-」が策定された。平成三年第一次改定が行われ、男女の家庭・地域・社会への共同参画や国際化・情報化に対応した施策の充実を目指している。

 このような動きに対応して、女性学の台頭が見られ、五十年代には我が国でも女性学研究グループが誕生し、全国会議や国際会議が開かれた。女性学は、従来の学問のあらゆる分野を女性の視点で見直し、教育や実践活動と密接な連携を図る学際的な研究と言われ、「新国内行動計画」ではその研究成果の社会教育における活用が指摘されている。国立婦人教育会館では、五十五年度から「女性学講座」を、五十八年度から「高等教育機関における女性学関連講座開設状況調査」を実施している。

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