二 初等中等教育における発展

 初等中等教育段階では、小・中学校では義務教育ということもあり私学の占める比重は必ずしも大きくない。平成三年度現在、私立小学校の児童数は約六万五、〇〇〇人で○・七%、私立中学校の生徒数は約二一万人で四%となっている。しかしながら、高等学校では私学の生徒数は約一五八万人で二九%を占めており、我が国における後期中等教育の普及に重要な役割を果たしている。特に、都市部においては私学の占める割合が高く、高等学校の生徒数で見ると東京都で二分の一を、大阪府、福岡県などでそれぞれ三分の一を超えている。

 これらの私立学校では、従前から独自の教育理念に基づき、中・高一貫教育、宗教教育、生徒指導、女子教育など特色ある教育を行ってきた。近年、特に高等学校においては、国際化、情報化に対応した特色ある教育課程を編成するもの、学科間の枠を越えて履修を認めるもの、単位制を採るものなど新しいタイプの高等学校が設置されてきており、高等学校教育の多様化に寄与している。

 また、幼稚園では、特に私学への依存度が大きく、平成三年度現在私立幼稚園の幼児数は約一五六万人で七九%を占めており、四、五歳児の就園率の上昇に大きな役割を果たしてきた。

 なお、私立幼稚園に関しては、当分の間の措置として学校法人立のほか個人立等の幼稚園も認められているが、私立学校振興助成法が制定されたのを機に、個人立等学校法人以外のものが設置する幼稚園が昭和五十一年度から新たに私学助成の対象とされ、助成を受けた幼稚園の設置者は翌年度から五年以内に学校法人化の措置を講ずる義務を負うこととされた。これにより、個人立等の幼稚園の学校法人化が促進されることとなり、私立幼稚園に占める学校法人立幼稚園の割合は、五十年度には四〇%であったが、平成三年度には七八%に達している。(第三章第八節二参照)

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