一 教育内容の改善

 急激に進展する国際化の時代にあって、大学の諸活動は、本来、最も国際的な視野を持って行われるべきものである。大学が行っている国際交流活動のうち、研究者の交流及び国際的な共同研究等の学術の交流や留学生の派遣及び受入れの詳細については、第九章学術及び第十一章教育・文化・スポーツの国際交流の章において述べることとし、本節においては、国際的に活躍し得る人材の育成のために大学等において行われてきている施策を中心に述べることとする。

 国際化のためには、民族固有の文化や価値観の相違に対する理解を深めることが必要であり、そのためにはまず、外国語教育をはじめ教育内容の在り方が重要になってくる。外国語教育については、開設科目が英語、ドイツ語、フランス語等の欧米諸国の言語に偏るこれまでの傾向が、近年は徐々に中国語、ロシア語等アジア諸国の言語にも広がっており、さらに、LL装置を利用するなど機器の充実を図ったり、外国語教育のカリキュラムを研究することを目的とする外国語センターを設置する大学も徐々にではあるが増加している。

 このほか、昭和六十三年度現在で、大学の学部については上智大学比較文化学部等、大学院については埼玉大学政策科学研究科、東京大学工学系研究科、名古屋大学工学研究科、上智大学外国語学研究科、青山学院大学文学研究科、国際大学国際関係学研究科等においては、英語による授業が行われている。

 また、国際化の進展に呼応して、外国語学部はもとより、法学部、経済学部、文学部などの人文系学部を中心に国際関係の学部・学科の新増設・改組が増加し、平成三年度現在で、学部については、国立四大学五学部、公立四大学四学部、私立四〇大学四二学部、大学院については国立七大学院八研究科、公立二大学院二研究科、私立一一大学院一二研究科に及んでいる。中でも、近年は国際開発援助等を通じて国際社会に貢献することの重要性が高まっていることから、文部省は、国際社会において活躍する人材の養成を目的とする大学院の課程として、三年度に名古屋大学、埼玉大学、四年度に東京大学、神戸大学、横浜国立大学に国際開発研究科等を設置した。このほか、二年三月には、我が国の経済協力に携わる人材養成を強化する観点から、我が国の大学等高等教育機関における開発援助に関する教育・研究を振興することを目的として、文部省と外務省の共管の財団法人国際開発高等教育機構(FASID)が設立された。

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