二 高等専門学校の整備と分野の拡大

 科学技術の進歩や産業構造の変化は著しく、高等専門学校が時代の進展に対応して改組転換を進めることは重要な課題である。電波工業高等専門学校については、昭和五十年代前半に、電波通信学科の一部について電子工学科や情報工学科への改組を行った。商船高等専門学校については、六十年から、一部の学科について情報系学科等への改組を行った。また、工業高等専門学校についても、産業構造の変化に対応するとともに、産業界からの高等専門学校卒業者に対する強い人材需要にこたえるため、六十年代になってから、情報科学、バイオテクノロジーや材料科学の発展に対応するための学科への改組転換や新学科の設置を積極的に進めている。

 高等専門学校は、専門的な職業能力の養成に適した学校制度として高い評価を受け、工業と商船以外の分野に拡大することが求められてきたが、臨時教育審議会答申においてもその方向で提言があり、大学審議会答申に基づき、平成三年の学校教育法の改正により分野の拡大が実現し、工業及び商船以外の分野の学科の設置が可能となった。また、分野の拡大と併せて、高等専門学校卒業者に対する「準学士」の称号の創設、専攻科制度の創設が行われた。なお、高等専門学校設置基準についても、大学審議会答申に基づき、三年に、大学設置基準の大綱化など高等教育全般の改革の一環として、設置基準の大綱化による制度の弾力化、学習機会の多様化を図るとともに、自己点検・評価に関する規定を新たに設けるなど大幅な改正を行った。

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