四 大学入試の改善

 大学入試の改善については、戦後、様々な改革が試みられたが、国立大学協会における長年の調査研究や昭和四十六年の文部省入試改善会議の提案を経て、国公立大学においては、五十四年度入学者選抜から、共通第一次学力試験を取り入れた新しい選抜方法が実施された。共通第一次学力試験は、高等学校の段階における一般的かつ基礎的な学習の達成程度を問う良質な問題の確保と、各大学の第二次試験との適切な組合せによる多面的・総合的な評価を通じて、きめ細かで、丁寧な入試の実現を目指して導入された。また、共通第一次学力試験の導入と同時に、大学間の格差感を解消するため、国立大学入試の一期校、二期校制が廃止された。

 共通第一次学力試験の導入に伴い、難問・奇問を排した良質な出題により、高等学校教育の基礎的な到達度を判定することが可能になるとともに、この試験を利用する各大学における第二次試験についても特色ある多様化が図られたが、反面、いわゆる大学の序列化等が顕在化し、また、国公立大学のみの入試改善にとどまったとの問題点も指摘されていた。

 このため、臨時教育審議会の提言を踏まえ、平成二年度入学者選抜から、共通第一次学力試験に代えて、国公私立大学を通じて、それぞれの判断と創意工夫により教科・科目などを自由に利用できる大学入試センター試験が実施された。

 また、国公立大学の受験機会の複数化を図るため、昭和六十二年度入学者選抜から「連続方式」が導入され、平成元年度入学者選抜からは、この方式に加えて、受験生の選択の機会の拡充や多様な選抜方法の導入を更に促進する観点から、「分離・分割方式」も併用されることとなった。「分離・分割方式」については、各大学の積極的な取組が進められ、三年度においては、全国立大学の五〇%を超えることとなった。

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