三 高等教育の計画的整備

 高等教育の規模は昭和三十年代後半以降急激に拡大したが、これに伴い、教育条件の低下や大学の大都市への過度の集中、進学機会の地域間格差等の問題が生ずるに至り、このような状況の下で、四十六年の中央教育審議会答申等において高等教育の計画的整備の必要性が指摘され、四十七年には、高等教育懇談会において高等教育の拡充整備の長期的な在り方についての検討が開始され、五十一年、戦後初めての高等教育計画である「昭和五十年代前期高等教育計画」が取りまとめられた。さらに、五十四年には大学設置審議会大学設置計画分科会から、「昭和五十年代後期高等教育計画」が報告された。以後、両計画に沿って、量的拡大の抑制、教育研究条件の改善、地域配置の適正化等の観点から高等教育機関の整備が図られた。

 また、六十一年度以降の高等教育の整備については、五十九年六月に大学設置審議会大学設置計画分科会より「昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備について」が報告された。この計画は、平成十二年度までの十五年間の展望に立ち、当面昭和六十一年度から平成四年度までの七年間の高等教育の整備の内容と方向として、1)開かれた高等教育機関、高等教育機関の国際化、特色ある高等教育機関の三つの視点に立って質的充実を図ること、2)十八歳人ロピーク時の平成四年度において少なくとも昭和五十八年度と同程度の進学機会(進学率三五・六%)を確保するという考え方の下に量的整備を図ること、3)大都市への大学等の集中を抑制し引き続き地方に重点を置いた整備を進めること、を示した。この計画を踏まえ、高等教育の質的充実、高等教育機関の地域間格差の是正、国際化、情報化等の社会の変化等に対応した学部等の整備が図られた。

 さらに、平成三年五月には大学審議会より「平成五年度以降の高等教育の計画的整備について」答申が行われ、今後の十八歳人口の急減等を考慮し、大学等の新増設・定員増は原則抑制の方針等が示された。

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