二 育児休業法の制定

 女子教員の増加傾向を背景として、昭和四十年代になって、女子教員に育児休業制度を設けることについて関係者の要望が高まり、四十二年から数回にわたり、議員提案により、その制度化のための法案が提出されてきたが、いずれも審議未了となっていた。四十七年には、勤労婦人福祉法が制定施行され、その中で、事業主に対して育児休業の実施についての努力義務を課した。このようなことを背景として、育児休業の対象として、女子教育職員のほか、看護婦、保母等も対象とすることとして、議員提案による「義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律」が、五十年の第七五回国会において与野党議員一致の下に可決成立した。

 この法律による育児休業制度においては、国・公立学校の女子教育職員が、その子供が一歳に達するまでの期間を限度として、任命権者が定める期間を育児休業できること、育児休業の許可に際して任命権者は代替教職員を臨時的に任用するものとすること、育児休業期間中は無給とするが、当分の間、育児休業給として共済掛金相当額を支給されることとされた。その後、平成三年五月に民間の労働者を対象とする「育児休業等に関する法律」が、また、同年十二月には「国家公務員の育児休業等に関する法律」及び「地方公務員の育児休業等に関する法律」がそれぞれ成立し、いずれも四年四月一日から施行された。これによって、女子教育職員も含めて一般職の公務員全体について育児休業制度が設けられ、「義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律」は廃止された。

 新しい公務員の育児休業制度においては、従来と同様に、育児休業に伴い臨時的任用を行うとともに、女子教育職員については当分の間、育児休業給を支給することとしているほか、新たに、一日の勤務時間の一部について勤務しないことを認める部分休業制度が設けられている。

 現在、国立及び公立の学校の教員については、出産した教員の九〇%以上が育児休業制度を利用している。

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