二 教科書採択の改善

 教科書採択に関しては、従来より採択に関する過当な競争の防止と公正な採択の確保が重要な課題であった。特に、教科書に関する過当な宣伝行為については、採択の公正な実施を妨げ、ひいては教科書の質的低下を招くなどのおそれがあるため、文部省は昭和三十一年の「教科書業における特定の不公正な取引方法」に関する公正取引委員会の指定などに基づき、教科書発行者に対して厳しく指導してきた。また、教科書の採択は、採択権者(公立学校にあっては所管の教育委員会)の責任において適正かつ公正に行われる必要があり、外部からの圧力等に影響されることのないよう指導を重ねてきた。

 臨時教育審議会の第三次答申は、教科書採択の組織・手続、採択理由の周知などについて、適切な教科書採択や公正な競争の確保などを考慮しつつ、一層の改善を図るべきであるとした。この答申を受けて、「教科書採択の在り方に関する調査研究協力者会議」が開かれ、平成二年に報告をまとめたが、その報告では、1)専門的な教科書研究の充実、2)適正かつ公正な採択の確保、3)開かれた採択の推進などについて提言された。このうち、開かれた採択の関係では、保護者等の意見を反映するための工夫、採択結果等の周知・公表など保護者等の関心にこたえるような方策を講じることが求められた。この報告を踏まえ、文部省は教科書採択方法の改善が一層図られるよう指導を行った。

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