第一条 徒弟学校ハ職工タルニ必要ナル教科ヲ授クル所トス
第二条 徒弟学校入学者ノ資格ハ年齢十二年以上及尋常小学校卒業以上ニ於テ之ヲ定ムヘシ但尋常小学校卒業ノ者ニアラサルモ特ニ学校長ノ許可ヲ得テ入学スルコトヲ得
徒弟学校ニ於テハ男女ヲ混同スルコトヲ得ス
第三条 徒弟学校ハ尋常小学校又ハ高等小学校ニ附設スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ其ノ小学校ノ教授ヲ妨ケサル限ハ校舎及備品器具ヲ使用セシムルコトヲ得
第四条 徒弟学校ノ教科目ハ修身、算術、幾何、物理、化学、図画及職業ニ直接ノ関係アル諸科目並実習トス
前項ノ教科目ハ修身ヲ除ク外学校長ニ於テ便宜取捨撰択シ又ハ随意科トスルコトヲ得但実習ハ設備上又ハ其ノ他ノ関係ニ依リ学校ニ於テ教授スルニ不便ナル職業ニ限リ之ヲ欠クコトヲ得
第五条 徒弟学校ニ於ケル教科ハ一種又ハ数種ノ職業ニ就テ之ヲ定メ若ハ数種ノ職業ニ共通シテ之ヲ定ムヘシ
第六条 尋常小学校ヲ卒業セスシテ入学ノ許可ヲ得タル者ニハ本科ノ外読書、習字ヲ課スヘシ又作文ヲ加フルコトヲ得
尋常小学校卒業ノ者ト雖其ノ志望ニ依リ読書、習字、作文ノ一科目又ハ数科目ヲ授クルコトヲ得
本条ノ場合ニ於テ修身ハ読書ニ附帯シテ之ヲ教授スルコトヲ得
第七条 徒弟学校ノ修業年限ハ六箇月以上四箇年以下トス
第八条 徒弟学校ハ日曜日又ハ夜間タリトモ便宜教授時間ヲ設クルコトヲ得
第九条 徒弟学校ハ土地ノ情況ニ応シ季節ヲ限リ教授スルコトヲ得
第十条 徒弟学校ノ教員ハ文部大臣ニ於テ工業教員タルニ適当ナリト認ムル者又ハ小学校教員ノ資格アル者又ハ相当ノ普通教育ヲ受ケ職業上ノ知識又ハ経験ヲ有シ地方長官ノ許可ヲ得タル者ヲ以テ之ニ充ツヘシ
第十一条 徒弟学校ニ於テ教科用図書ヲ用フル場合ニハ修身、読方、習字ニ係ルモノハ尋常小学校高等小学校補習科又ハ実業補習学校用トシテ文部大臣ノ検定ヲ経タルモノタルヘシ其ノ他ノ教科目ニ係ルモノハ検定ヲ経ルノ限ニ在ラス
徒弟学校ノ教科用図書ハ府県ニ於ケル審査採定ヲ要セス各学校長ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第十二条 徒弟学校ノ教科目修業年限教授時間及季節ヲ定ムルニハ市町村立ニ係ルモノハ市参事会町村長（又ハ之ニ準スヘキ者）ニ於テ私立ニ係ルモノハ設立者ニ於テ地方長官ノ許可ヲ受クヘシ
第十三条 市町村立徒弟学校ニ於テハ実業又ハ教育ニ経歴アル者及其ノ学校ノ設立維持ニ功労アル者ヲ以テ商議員トシ其ノ学校ニ関スル事件ヲ商議セシムルコトヲ得
第十四条 市町村立徒弟学校ニ於テ授業料ヲ徴収スルト否トハ市町村ノ便宜タルヘシ
第十五条 女子ニ刺繍、機織及其ノ他ノ職業ヲ授クル為ニ設クル所ノ女子職業学校ニシテ此ノ規程ニ依ルモノハ徒弟学校ノ種類トス
学制百年史編集委員会
-- 登録：平成21年以前 --