中学校学習指導要領(抄)(昭和三十三年十月一日文部省告示第八十一号)

目次

第一章 総則
 第一 教育課程の編成
 第二 指導計画作成および指導の一般方針
 第三 道徳教育

第二章 各教科

 第一節 国語
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第二節 社会
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第三節 数学
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第四節 理科
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第五節 音楽
  第一 目標
  第二 各学年の目標および容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第六節 美術
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第七節 保健体育
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第八節 技術・家庭
  第一 目標
  第二 各学年の目標および内容A男子向きB女子向き
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第九節 外国語
  第一 目標
  第二 英語についての各学年の目標および内容
  第三 英語についての指導計画作成および学習指導の方針
  第四 ドイツ語についての各学年の目標および内容
  第五 ドイツ語についての指導計画作成および学習指導の方針
  第六 フランス語についての各学年の目標および内容
  第七 フランス語についての指導計画作成および学習指導の方針
  第八 その他の外国語

 第十節 農業
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第十一節 工業
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第十二節 商業
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第十三節 水産
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

 第十四節 家庭
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画作成および学習指導の方針

第三章 道徳、特別教育活動および学校行事等

 第一節 道徳
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画作成および指導上の留意事項

 第二節 特別教育活動
  第一 目標
  第二 内容,
  第三 指導計画の作成および指導の方針

 第三節 学校行事等
  第一 目標
  第二 内容
  第三 指導計画作成および指導上の留意事項

施行期日

第一章 総則

第一 教育課程の編成

一 一般方針

 中学校の教育課程は、必修教科・選択教科、道徳、特別教育活動および学校行事等によって編成するものとすることとなっており、必修教科は、国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育および技術・家庭の各教科、選択教科は外国語、農業、工業、商業、水産、家庭、数学、音楽および美術の各教科となっている(学校教育法施行規則(以下「規則」という。)第五十三条)。

 各学校においては、教育基本法、学校教育法および同法施行規則、中学校学習指導要領、教育委員会規則等に示すところに従い、地域や学校の実態を考慮し、生徒の発達段階や経験に即応して、適切な教育課程を編成するものとする。

二 授業時数の配当

(一)中学校の各学年における必修教科および選択教科(以下「各教科」という。)、道徳ならびに特別教育活動のうちの学級活動(以下「学級活動」という。)の授業時数については、次の表のように定められている。(規則第五十四条)。

学級活動の授業時数

学級活動の授業時数

(二)上掲(一)の表に示された授業時数は、年間の最低授業時数であるから、各学校においては、下記「四特例」に示す場合を除き、この表に示す授業時数を下ってはならないこととなっている(規則第五十四条)。

(三)上掲(一)の表において、授業時数の一単位時間は五十分となっており、かっこ内の授業時数は年間授業日数を三十五週とした場合における週当りの平均授業時数である。

(四)各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等に授業時数を配当するにあたっては、下記の事項に注意する必要がある。

ア 各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等の年間の総授業時数ならびに各教科、道徳および特別教育活動のそれぞれの年間の最高授業時数は定められていないが、これらの授業時数を定めたり、配当したりするにあたっては、生徒の負担過重にならないように考慮すること。

イ 特別教育活動のうちの生徒会活動、クラブ活動などや学校行事等については、それらに充てる授業時数は定められていないが、年間、学期月または週ごとに適切な授業時数を配当するようにすることが望ましいこと。

 なお、この場合、それらの実施によって、各教科、道徳および学級活動に充てる授業時数が上掲(一)の表に示された最低授業時数を下らないようにすること。

ウ 各教科、道徳および学級活動についての各学年の授業は、年間三十五週以上にわたって行うように計画すること。

エ 各教科、道徳および学級活動に充てる週当り授業時数の計は、同一学年のすべての生徒について同一とすること。

オ 各教科、道徳および特別教育活動についての一週間の時間割を作成するにあたっては、上掲(一)の表のうち、かっこ内に示した週当りの平均授業時数を参照し、季節およびその値の事情を考慮し、調和的、能率的な指導を行いうるようにすること。

カ 各教科、道徳および学級活動の授業の一単位時間は、五十分とすることが望ましいこと。季節およびその他の事情により、授業の一単位時間を五十分未満として授業を行う場合においても当該学年において上掲(一)の表に示す授業時数を下らないようにすること。

 なお、授業の一単位時間には、教室を移動したり、休憩したりするのに要する時間を含まないものとすること。

キ 各学年における各教科、道徳および学級活動の授業時数の計は一、一二〇単位時間を下ってはならないこととなっている。第二学年および第三学年にあっては、必修教科、選択教科、道徳および学級活動の最低授業時数をとる場合には、これらの計が、一、一二〇単位時間には達しないようになっているが(規則第五十四条別表第二、国表備考第三号および第四号イ)、各学校においては、その実情に即応して、各教科、道徳または学級活動のうち必要と思われるものに授業時数を増して配当し、それらの計が、所定の一、一二〇単位時間以上となるようにしなければならないこと。

三 選択教科の運営

 選択教科は、土地の状況ならびに生徒の進路および特性を考慮して設けるものとし(規則第五十三条第三項)、その際下記によるものとする。

(一)選択教科の授業時数については、次のとおりとなっている(規則第五十四条別表第二および同表備考第四号)。

ア 学校は、毎学年一以上の選択教科について一〇五単位時間以上を生徒に履修させなければならないこととなっており、このうち、少なくともいずれか一の教科の授業時数は、七〇単位時間以上(外国語にあっては一〇五単位時間以上)でなければならないこととなっていること。

イ 上記アによって七〇単位時間以上履修する選択教科のほかに、農業、工業、商業、水産または家庭(以下「職業に関する教科」という。)のうち一以上の教科を履修させる場合における当該職業に関する教科についての授業時数は、上掲二の(一)の表に示されている授業時数にかかわらず、それぞれ三十五単位時間とすることができることとなっていること。

(二)学校は、個々の生徒について、その進路、特性等をじゅうぶん考慮し、それぞれの生徒に適した選択教科を選択させて履修させるように指導しなければならない。

(三)選択教科のうち外国語については、英語、ドイツ語、フランス語その他の現代の外国語のうちいずれか一か国語を履修させることを原則とし、第一学年から履修させることが望ましい。

(四)進路、特性等により数学をさらに深く学習しようとする生徒に対しては、第三学年において、選択教科の数学を履修させることが望ましい。

(五)第三学年において、進路、特性等により職業に関する教科を学習しようとする生徒に対しては、地域や学校の実態と生徒の必要とに応じ、職業に関する教科について、一四〇単位時間以上履修させることが望ましい。

(六)選択教科の音楽または美術については、生徒の進路、特性等に応じて履修できるようにすることが望ましい。

四 特例

(一)私立の中学校においては、各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等のほか、宗教を加えて教育課程を編成することができ、この場合は、宗教をもつて道徳に代えることができることとなっている(規則第五十五条で準用する第二十四条第二項)。また、宗教の時間と道徳の時間とをあわせて設けている中学校にあっては、宗教の授業時数をもって道徳の授業時数の一部に代えることができることとなっている(規則第二十四条の二別表第一備考第三号のかっこ書き)。

(二)複式学級において、特に必要がある場合は、各教科について所定の年間最低授業時数を変更し、または各教科の目標の達成に支障のない範囲において各教科についての学年別の順序によらないことができることとなっている(規則第五十五条で準用する第二十五条の二第一項)。なお、道徳および学級活動については、年間最低授業時数を変更することはできない。

(三)特殊学級の教育課程については、生徒の実態に即応し、特に必要がある場合は特別の教育課程を編成し、実施することができることとなっている(規則第七十三条の十二第一項)。

(四)非常変災、伝染病等により、臨時に授業を行わない場合で、その年間に所定の授業時数を補うことができないようなやむを得ない事情があるときは、年間の最低授業時数を下ることができることとなっている(規則第五十五条で準用する第二十四条の二第二項)。

(五)上記(二)(三)および(四)の場合は、当該中学校の設置者は、市町村の中学校にあっては都道府県教育委員会に、私立の中学校にあっては都道府県知事に届け出なければならないこととなっている(規則第五十五条で準用する第二十四条の二第二項および第二十五条の二第三項ならびに第七十三条の十二第二項)。

 なお、(二)および(三)の場合にあっては、あらかじめ届け出なければならないことになっていることに特に留意する必要がある。

 また、国立の中学校にあっては、文部大臣に届け出るものとする。

第二 指導計画作成および指導の一般方針

一 学校においては、下記の事項に留意して、各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等について、相互の関連を図り、全体として調和のとれた指導計画を作成するとともに、発展的、系統的な指導を行うことができるようにしなければならない。

(一)各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等について、第二章以下に示すところに基き、地域や学校の実態を考慮し、生徒の経験に即応して、具体的な指導の目標を明確にし、実際に指導する事項を選定し、配列して、効果的な指導を行うようにすること。

(二)第二章に示す各教科(職業に関する教科を除く。)の内容に関する事項は、特に示す場合を除き、いずれの学校においても取り扱うことを必要とするものである。各学校において特に必要と認められる場合には、第二章に示していない事項を加えて指導することをさまたげるものではない。しかし、いたずらに、指導する事項を多くしたり、程度の高い事項を取り扱ったりして、学年別の目標や内容の趣旨を逸脱し、または生徒の負担過重とならないよう慎重に配慮すること。

(三)職業に関する教科については、下記の事項に留意して指導計画を作成し、職業生活または家庭生活に関する基礎的な知識と技能を習得させるようにするものとすること。

ア 一の教科を履修させる場合においては、第二章に示された当該教科の内容を標準とすること。

イ 土地の状況や学校の事情などに即応し、第二章に示されていない内容についても指導することができること。

ウ 授業時数や土地の状況、学校の事情などに即応して、第二章に示した当該教科の内容のいずれかに重点をおいて指導することもできること。

エ 二以上の教科を履修させる場合においては、その指導する事項について相互に密接な関連を図るようにすること。

(四)第二章に示す各教科の学年別の内容に掲げる事項の順序は、特に示す場合を除き、そのまま指導の順序を示すものではない。各学校においては、各事項のまとめ方や順序をくふうして指導するようにすること。

(五)政治および宗教に関する事項の取扱については、それぞれ教育基本法第八条および第九条の規定に基き、適切に行うように配慮しなければならないこと。

(六)生徒が心身の状況によって履修することが困難な各教科は、その生徒の心身の状況に適合するように課さなければならないこととなっている(規則第五十五条で準用する第二十六条)。各学校においては、このような生徒については特別な配慮をしなければならないこと。

(七)第二章第二節社会「第三指導計画作成および学習指導の方針」の七に示す特例については、これを実施しようとする場合は、公立の中学校にあっては市町村の教育委員会に、私立の中学校にあっては都道府県知事に、国立の中学校にあっては文部大臣にあらかじめ届け出るものとすること。

二 各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等の指導を能率的、効果的にするためには、下記の事項について留意する必要がある。

(一)生徒の発達段階や経験をよく理解しておくこと。

(二)学習の目標を生徒にじゅうぶんはあくさせること。

(三)生徒の興味や関心を重んじ、自主的、自発的な学習をするように導くこと。

(四)生徒の個人差に留意して指導し、それぞれの生徒の個性や能力をできるだけ伸ばすようにすること。

(五)学級における好ましい人間関係を育て、教室内外の整とんや美化に努めるなど学習環境を整えるようにすること。

(六)教科書その池の教材、教具などについて常に研究し、その活用に努めること。また、学校図書館の資料や視聴覚教材等については、これを精選して活用するようにすること。

(七)指導の成果を絶えず評価し、指導の改善に努めること。

第三 道徳教育

 学校における道徳教育は、本来、学校の教育活動全体を通じて行うことを基本とする。したがって、道徳の時間はもちろん、各教科、特別教育活動および学校行事等学校教育のあらゆる機会に、道徳性を高める指導が行われなければならない。

 道徳教育の目標は、教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基く。すなわち、人間尊重の精神を一貫して失わず、この精神を、家庭、学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし、個性豊かな文化の創造、民主的な国家および社会の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。

 道徳の時間においては、各教科、特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関連を保ちながら、これを補充し、深化し、統合し、またはこれとの交流を図り、生徒の望ましい道徳的習慣、心情、判断力を養い、社会における個人のあり方についての自覚を主体的に深め、道徳的実践力の向上を図るように指導するものとする。

 道徳の時間におげる指導は、学級担任の教師が担当することを原則とする。

第二章 各教科(略)

第三章 道徳、特別教育活動および学校行事等(略)

施行期日(略)

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-- 登録:平成21年以前 --