学校教育法(昭和二十二年三月二十九日法律第二十六号)

第一章 総則

 第一条 この法律で、学校とは、小学校、中学校、高等学校、大学、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園とする。

 第二条 学校は、国、地方公共団体及び別に法律で定める法人のみが、これを設置することができる。

 この法律で、国立学校とは、国の設置する学校を、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、別に法律で定める法人の設置する学校をいう。

 第三条 学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、監督庁の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。

 第四条 国立学校及びこの法律によって設置義務を負う者の設置する学校の外、学校(大学の学部又は大学院についても同様とする。)の設置廃止、設置者の変更その他監督庁の定める事項は、監督庁の認可を受けなければならない。

 第五条 学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。

 第六条 学校においては、授業料を徴収することができる。但し、国立又は公立の小学校及び中学校又はこれらに準ずる盲学校、聾学校及び養護学校における義務教育については、これを徴収することができない。

 国立又は公立の学校における授業料その他の費用に関する事項は、監督庁が、これを定める。

 第七条 学校には、校長及び相当数の教員を置かなければたらない。

 第八条 校長及び教員の免許状その他資格に関する事項は、監督庁がこれを定める。

 第九条 左の各号の一に該当する者は、校長又は教員となることができない。

 一 禁治産者及び準禁治産者

 二 長期六年の禁錮以上の刑に処せられた者

 三 長期六年未満の懲役又は禁錮の刑に処せられ、刑の執行を終り、又は刑の執行を受けることのないことに至らない者

 四 前条の免許状取上げの処分を受け、二年を経過しない者

 五 昭和二十一年勅令第二百六十三号による教職不適格者

 六 性行不良と認められる者

 第十条 私立学校は、校長を定め、監督庁に届け出なければならない。

 第十一条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることはできない。

 第十二条 学校においては、学生、生徒、児童及び幼児並びに職員の健康増進を図るため、身体検査を行い、及び適当な衛生養護の施設を設けなければならない。

 身体検査及び衛生養護の施設に関する事項は、監督庁が、これを定める。

 第十三条 左の各号の一に該当する場合においては、監督庁は、学校の閉鎖を命ずることができる。

 一 法令の規定に故意に違反したとき

 二 法令の規定により、監督庁のなした命令に違反したとき

 三 六箇月以上授業を行わなかったとき

 第十四条 学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定又は監督庁の定める規程に違反したときは、監督庁は、その変更を命ずることができる。

 第十五条 私立学校は、毎会計年度の開始前に収支予算を、毎会計年度の終了後二箇月以内に収支決算を監督庁に届け出なければならない。

 収支予算に重大な変更を加えようとするときも、また同様とする。

 第十六条 子女を使用する者は、その使用によって、子女が、義務教育を受けることを妨げてはならない。

第二章 小学校

 第十七条 小学校は、心身の発達に応じて、初等普通教育を施すことを目的とする。

 第十八条 小学校における教育については、前条の目的を実現するために、左の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。

 一 学校内外の社会生活の経験に基き、人間相互の関係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと。

 二 郷土及び国家の現状と伝統について、正しい理解に導き、進んで国際協調の精神を養うこと。

 三 日常生活に必要な衣、食、住、産業等について、基礎的な理解と技能を養うこと。

 四 日常生活に必要な国語を、正しく理解し、使用する能力を養うこと。

 五 日常生活に必要な数量的な関係を、正しく理解し、処理する能力を養うこと。

 六 日常生活における自然現象を科学的に観察し、処理する能力を養うこと。

 七 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図ること。

 八 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸等について、基礎的な理解と技能を養うこと。

 第十九条 小学校の修業年限は、六年とする。

 第二十条 小学校の教科に関する事項は、第十七条及び第十八条の規定に従い、監督庁が、これを定める。

 第二十一条 小学校においては、監督庁の検定若しくは認可を経た教科用図書又は監督庁において著作権を有する教科用図書を使用しなければならない。

 前項の教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。

 第二十二条 保護者(子女に対して親権を行う者、親権を行う者のないときは、後見人又は後見人の職務を行う者をいう。以下同じ。)は、子女の満六才に達した日の翌日以後における最初の学年の初から、満十二才に達した日の属する学年の終りまで、これを小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校に就学させる義務を負う。

 前項の義務履行の督促その他義務に関し必要な事項は、監督庁が、これを定める。

 第二十三条 前条の規定によって、保護者が就学させなければならない子女(以下学齢児童と称する。)で、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村立小学校の管理機関は、監督庁の定める規程により、教育に関し都道府県の区域を管轄する監督庁(以下都道府県監督庁と称する。)の認可を受けて、前条第一項に規定する義務を猶予又は免除することができる。

 第二十四条 第三十三条の規定により、小学校設置の義務を免除された区域内の学齢児童の保護者は、第二十二条第一項に規定する義務を免除されたものとする。

 第二十五条 経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。

 第二十六条 市町村立小学校の管理機関は、伝染病にかかり、若しくはその虞のある児童又は性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。

 第二十七条 学齢に達しない子女は、これを小学校に入学させることができない。

 第二十八条 小学校には、校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。但し、特別の事情のあるときは、事務職員を置かないことができる。

 小学校には、前項の外、助教諭その他必要な職員を置くことができる。

 校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。

 教諭は、児童の教育を掌る。

 養護教諭は、児童の養護を掌る。

 事務職員は、事務に従事する。

 助教諭は、教諭の職務を助ける。

 第二十九条 市町村は、その議会の議決を経て、その区域内にある学齢児童を就学させるに必要な小学校を設置しなければならない。

 第三十条 町村が、前条の規定によることを不可能又は不適当と認めるときは、市町村学校組合又は町村学校組合を設けることができる。

 第三十一条 町村が、前二条の規定によることを不可能又は不適当と認めるときは、その議会の議決を経て、小学校の設置に代え、学齢児童の全部又は一部の教育事務を、他の市町村、市町村学校組合又は町村学校組合に委託することができる。

 第三十二条 町村が、前二条の規定による負担に堪えないと都道府県監督庁が認めるときは、都道府県は、その議会の議決を経て、その町村に対して、必要な補助を与えなければならない。

 第三十三条 都道府県監督庁は、町村、市町村学校組合又は町村学校組合の一部について、第三十一条の不可能又は不適当と認める事情はあるが、同条及び前条の規定によることができないと認めるときは、その町村、市町村学校組合又は町村学校組合に、その一部に関し、小学校設置の義務を免除することができる。

 第三十四条 公立又は私立の小学校は、都道府県監督庁の所管に属する。

第三章 中学校

 第三十五条 中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、中等普通教育を施すことを目的とする。

 第三十六条 中学校における教育については、前条の目的を実現するために、左の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。

 一 小学校における教育の目標をなお充分に達成して、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。

 二 社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

 三 学校内外における社会的活動を促進し、その感情を正しく導き、公正な判断力を養うこと。

 第三十七条 中学校の修業年限は、三年とする。

 第三十八条 中学校の教科に関する事項は、第三十五条及び第三十六条の規定に従い、監督庁が、これを定める。

 第三十九条 保護者は、子女が小学校の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初から、満十五才に達した日の属する学年の終りまで、これを、中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校に就学させる義務を負う。

 前項の規定によって保護者が就学させなければならない子女は、これを学齢生徒と称する。

 第四十条 第二十一条、第二十二条第二項、第二十三条から第二十六条まで及び第二十八条から第三十四条までの規定は、中学校に、これを準用する。

第四章 高等学校

 第四十一条 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。

 第四十二条 高等学校における教育については、前条の目的を実現するために、左の各号に掲げる目標の達成に努めなければならないい。

 一 中学校における教育の成果をさらに発展拡充させて、国家及び社会の有為な形成者として必要な資質を養うこと。

 二 社会において果さなければならない使命の自覚に基き、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能に習熟させること。

 三 社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努めること。

 第四十三条 高等学校の学科及び教科に関する事項は、前二条の規定に従い、監督庁が、これを定める。

 第四十四条 高等学校には、通常の課程の外、夜間において授業を行う課程又は特別の時期及び時間において授業を行う課程を置くことができる。

 高等学校には、通常の課程を置かず、又は前項の課程の一のみを置くことができる。

 第四十五条 高等学校は、通信による教育を行うことができる。

 通信による教育に関し必要な事項は、監督庁が、これを定める。

 第四十六条 高等学校の修業年限は、三年とする。但し、特別の技能教育を施す場合及び第四十四条第一項の課程を置く場合は、その修業年限は、三年を超えるものとすることができる。

 第四十七条 高等学校に入学することのできる者は、中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者又は監督庁の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。

 第四十八条 高等学校には、専攻科及び別科を置くことができる。

 高等学校の専攻科は、高等学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者又は監督庁の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者に対して、精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的とし、その修業年限は、一年以上とする。

 高等学校の別科は、前条に規定する入学資格を有する者に対して、簡易な程度において、特別の技能教育を施すことを目的とし、その修業年限は、一年以上とする。

 第四十九条 高等学校に関する教科用図書、入学、退学、転学その他必要な事項は、監督庁が、これを定める。

 第五十条 高等学校には、校長、教諭及び事務職員を置かなければならない。

 第五十一条 第二十八条第二項から第四項まで、第六項及び第七項並びに第三十四条の規定は、高等学校に、これを準用する。

第五章 大学

 第五十二条 大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。

 第五十三条 大学には、数個の学部を置くことを常例とする。但し、特別の必要がある場合においては、単に一個の学部を置くものを大学とすることができる。

 第五十四条 大学には、夜間において授業を行う学部を置くことができる。

 第五十五条 大学の修業年限は、四年とする。但し、特別の専門事項を教授研究する学部及び前条の学部については、その修業年限は、四年を超えるものとすることができる。

 第五十六条 大学に入学することのできる者は、高等学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は監督庁の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。

 第五十七条 大学には、専攻科及び別科を置くことができる。

 大学の専攻科は、大学を卒業した者又は監督庁の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者に対して、精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的とし、その修業年限は、一年以上とする。

 大学の別科は、前条に規定する入学資格を有する者に対して、簡易な程度において、特別の技能教育を施すことを目的とし、その修業年限は、一年以上とする。

 第五十八条 大学には学長、教授、助教授、助手及び事務職員を置かなければならない。大学には、前項の外、必要な職員を置くことができる。

 学長は、校務を掌り、所属職員を統督する。

 教授は、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。

 助教授は、教授の職務を助ける。

 助手は、教授及び助教授の職務を助ける。

 第五十九条 大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。

 教授会の組織には、助教授その地の職員を加えることができる。

 第六十条 大学の設置の認可に関しては、監督庁は、大学設置委員会に諮問しなければならない。

 大学設置委員会に関する事項は、命令でこれを定める。

 第六十一条大学には、研究所その他の研究施設を附置することができる。

 第六十二条 大学には、大学院を置くことができる。

 第六十三条 大学に四年以上在学し、一定の試験を受け、これに合格した者は、学士と称することができる。

 学士に関する事項は、監督庁が、これを定める。

 第六十四条 公立又は私立の大学は、文部大臣の所轄とする。

 第六十五条 大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥を究めて、文化の進展に寄与することを目的とする。

 第六十六条 大学院には、数個の研究科を置くことを常例とする。但し、特別の必要がある場合においては、単に一個の研究科を置くものを大学院とすることができる。

 第六十七条 大学院に入学することのできる者は、第五十七条第二項に規定する者とする。

 第六十八条 大学院を置く大学は、監督庁の定めるところにより、博士その他の学位を授与することができる。

 博士その他の学位に関する事項を定めるについては、監督庁は、大学設置委員会に諮問しなければならない。

 第六十九条 大学においては、公開講座の施設を設けることができる。

 公開講座に関し必要な事項は、監督庁が、これを定める。

 第七十条 第二十八条第六項及び第四十五条の規定は、大学に、これを準用する。

第六章 特殊教育

 第七十一条 盲学校、聾学校又は養護学校は、夫々盲者、聾者又は精神薄弱、身体不自由その他心身に故障のある者に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施し、併せてその欠陥を補うために、必要な知識技能を授けることを目的とする。

 第七十二条 盲学校、聾学校及び養護学校には、小学部及び中学部を置かなければならない。但し、特別の必要のある場合においては、その一のみを置くことができる。

 盲学校、聾学校及び養護学校には、幼稚部及び高等部を置くことができる。

 第七十三条 盲学校、聾学校及び養護学校の小学部及び中学部の教科及び教科用図書、高等部の学科、教科及び教科用図書又は幼稚部の保育内容は、小学校、中学校、高等学校又は幼稚園に準じて、監督庁が、これを定める。

 第七十四条 都道府県は、その議会の議決を経て、その区域内にある学齢児童及び学齢生徒の中、盲者、聾者又は精神薄弱、身体不自由その他心身に故障のある者を就学させるに必要な盲学校、聾学校又は養護学校を設置しなければならない。

 第七十五条 小学校、中学校及び高等学校には、左の各号の一に該当する児童及び生徒のために、特殊学級を置くことができる。

 一性格異常者

 二精神薄弱者

 三聾者及び難聴者

 四盲者及び弱視者

 五言語不自由者

 六その他の不具者

 七身体虚弱者

 前項に掲げる学校は、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特殊学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。

 第七十六条 第十九条、第二十七条、第二十八条(第四十条及び第五十一条において準用する場合を含む。)、第三十四条、第三十七条、第四十五条から第四十八条まで、第五十条、第八十条及び第八十一条の規定は、盲学校、聾学校及び養護学校に、これを準用する。

第七章 幼稚園

 第七十七条 幼稚園は、幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。

 第七十八条 幼稚園は、前条の目的を実現するために、左の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。

 一健康、安全で幸福な生活のために必要な日常の習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること。

 二 園内において、集団生活を経験させ、喜んでこれに参加する態度と協同、自主及び自律の精神の芽生えを養うこと。

 三 身辺の社会生活及び事象に対する正しい理解と態度の芽生えを養うこと。

 四 言語の使い方を正しく導き、童話、絵本等に対する興味を養うこと。

 五 音楽、遊戯、絵画その他の方法により、創作的表現に対する興味を養うこと。

 第七十九条 幼稚園の保育内容に関する事項は、前二条の規定に従い、監督庁が、これを定める。

 第八十条 幼稚園に入園することのできる者は、満三才から、小学校就学の始期に達するまでの幼児とする。

 第八十一条 幼稚園には、園長及び教諭を置かなければならない。

 幼稚園には、前項の外、必要な職員を置くことができる。 園長は、園務を掌り、所属職員を監督する。

 教諭は、幼児の保育を掌る。

 第八十二条 第三十四条の規定は、幼稚園に、これを準用する。

第八章 雑則

 第八十三条 第一条に掲げるもの以外のもので、学校教育に類する教育を行うものは、これを各種学校とする。

 各種学校は、第一条に掲げる学校の名称を用いてはならない。

 第四条から第七条まで、第九条から第十一条まで、第十三条、第十四条及び第三十四条の規定は、各種学校に、これを準用する。、前項の外、各種学校に関し必要な事項は、監督庁が、これを定める。

 第八十四条 都道府県監督庁において、学校又は各種学校以外のものが各種学校の教育を行うものと認めるときは、その旨を関係者に通告して、前条の規定によらせることができる。

 第八十五条 学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。

 第八十六条 町村制を施行していない地域においては、この法律における町村及び町村学校組合に関する規定は、その地域におけるこれに準ずべきものに、これを適用する。

 前項の地域において、この法律により難い事項のあるときは、都道府県監督庁は、特別の処分をすることができる。

 第八十七条 この法律における市には、東京都の区を含むものとする。

 第八十八条 この法律に規定するものの外、この法律施行のため必要な事項は、監督庁が、これを定める。

第九章 罰則

 第八十九条 第十三条の規定(第八十三条第三項において準用する場合を含む。)による閉鎖命令に違反した者は、これを六箇月以下の懲役若しくは禁錮又は一万円以下の罰金に処する、

 第九十条 第十六条の規定に違反した者は、これを三千円以下の罰金に処する。

 第九十一条 第二十二条第一項又は第三十九条第一項の規定による義務履行の督促を受け、なお履行しない者は、これを一千円以下の罰金に処する。

 第九十二条 第八十三条第二項の規定に違反した者は、これを五千円以下の罰金に処する。

附則

 第九十三条 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。但し、第二十二条第一項及び第三十九条第一項に規定する盲学校、聾学校及び養護学校における就学義務並びに第七十四条に規定するこれらの学校の設置義務に関する部分の施行期日は、勅令で、これを定める。

 第九十四条 左に掲げる法律及び勅令は、これを廃止する。

 公立学校職員年功加俸国庫補助法

 現役国民学校職員俸給費国庫補助法

 現役青年学校職員俸給費国庫補助法

 青年学校教育費国庫補助法

 国民学校令

 青年学校令

 中等学校令

 師範教育令

 専門学校令

 高等学校令

 大学令

 盲学校及聾唖学校令

 幼稚園令

 私立学校令

 教育免許令

 学位令

 第九十五条 義務教育費国庫負担法の一部を次のように改正する。

 第一条 公立ノ小学校及中学校ノ義務教育ニ従事スル職員(勅令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)ノ俸給、特別加俸死亡賜金及勅令ヲ以テ定ムル旅費ノ為都道府県ニ於テ要スル経費ノ半額ハ国庫ニ於テ之ヲ負担ス

 第二条中「北海道地方費及府県」を「都道府県」に改める。

 第九十六条 第三十九条第一項に規定する保護者の義務は、昭和二十二年度においては、子女の満十三才に達した日の属する学年の終りまでとする。

 当分の間昭和二十三年度以降における、第三十九条第一項に規定する保護者の義務に関しては、勅令で、これを定める。

 第九十七条 この法律施行の際、現に存する従前の規定による国民学校、国民学校に類する各種学校及び国民学校に準ずる各種学校並びに幼稚園は、夫々これらをこの法律によって設置された小学校及び幼稚園とみなす。

 第九十八条 この法律施行の際、現に存する従前の規定(国民学校令を除く。)による学校は、従前の規定による学校として存続することができる。

 前項に規定する学校は、文部大臣の定めるところにより、従前の規定による他の学校となることができる。

 前二項の規定による学校に関し、必要な事項は、文部大臣が、これを定める。

 第九十九条 前条に規定する学校に係る教員免許状の効力、授与その他に関しては、第九十四条の規定にかかわらず、文部大臣の定めるもののみ、なお従前の例による。

 第百条 従前の規定による学校が、第一条に掲げる学校になった場合における在学者に関し必要な專項は、文部大臣の定めるところによる。

 第百一条 従前の規定による学校の卒業者の資格に関し必要な事項は、文部大臣の定めるところによる。

 第百二条 第二条の別に法律で定める法人とは、当分の問、農業会その他これに準ずる公共団体又は民法による財団法人とする。但し、盲学校、聾学校、養護学校若しくは幼稚園又はこの法律施行の際、現に存する従前の規定による学校で、民法による財団法人でないもの又はその設置者が民法による財団法人でないものの設置者は、当分の間、民法による財団法人であることを要しない。

 第百三条 小学校及び中学校には、第二十八条の規定(第四十条において準用する場合を含む。)にかかわらず、当分の間、養護教諭は、これを置かないことができる。

 第百四条 市町村は、第三十一条の規定(第四十条において準用する場合を含む。)にかかわらず、当分の間、学齢児童及び学齢生徒の全部又は一部の教育事務を、国、都道府県又は私立学校を経営する法人若しくは私人に委託することができる、

 私立学校においては、前項の規定により委託を受けた義務教育については、授業料を徴収することができない。

 第百五条 中学校は、当分の間、尋常小学校卒業者及び国民学校初等科修了者に対して、通信による教育を行うことができる。

 前項の教育に関し必要な事項、文部大臣の定めるところによるは。

 第百六条 第三条、第六条第二項、第八条、第十一条、十二条第二項、第二十条、第二十一条第一項、第二十二条第二項、第三十八条、第四十三条、第四十五条第二項、第四十七条、第四十八条第二項、第四十九条、第七十三条、第七十九条、第八十三条第四項及び第八十八条の監督庁並びに第四条及び第二十三条に規定する定をなす権限を有する監督庁は、当分の間、これを文部大臣とする。但し、文部大臣は、その権限を他の監督庁に委任することができる。

 第百七条 この法律において、市町村立小学校の管理機関とは、当分の間、市町村長とし、都道府県監督庁とは、当分の間、東京都長官、北海道庁長官又は府県知事とする。

 第百八条 従前の学位令による学位は、第九十四条の規定にかかわらず、第九十八条の規定による大学において、文部大臣の定めるものの外、なお従前の例により、これを授与することができる。

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